混合介護に厚生労働省が初指針

介護保険が適用されるサービスと
保険外サービスを組み合わせる「混合介護(選択的介護)」。

9月28日に厚生労働省は、この混合介護について
具体的指針をはじめて策定し、都道府県に通知しました。

このコラムでもお伝えしていますが、
すでに東京都豊島区が国の特区制度を活用した
「混合介護」のモデル事業をはじめています。

また、政府の規制改革推進会議が明確化を求めており、
こうした動きにも対応したものです。

認知症の人たちや要介護者が増える時代において、
要介護者や家族の要望に対応した介護サービスが
適正、的確に提供されることが求められています。

公的介護保険では、1~3割の自己負担で
介護保険適用サービスが受けられます。

これに加えて、家族から要望の強かった
家族の掃除・洗濯などの家事や散歩同行、ペットの世話など
適用外の有料サービス(全額自己負担)も認めることが
混合介護の趣旨です。

豊島区が混合介護のテスト的実験に踏み切った背景には、
上記のような介護保険適用外のサービスを求める
家族や本人の要望が強まっていたことがあげられます。

一方で、公的介護保険と自己負担サービスを明確に区分するため、
厚生労働省は不適正事例をあげていました。

それでも、本人の同意かつ会計の区別がある条件で、
自立につながる保険外のサービスが特例的に認められていました。

しかし、明確な指針がなかったため、地方自治体によって、
個別のサービスを認めるかどうかの判断が異なるなどの
問題点も指摘されていました。

筆者が通知内容の中から、
混合介護と直接関連する箇所を要約しますと、

保険外サービスの内容を文書で提示して、本人の同意を得て、
料金請求を区別することは、すでに厚生労働省が例示しています。

今回の通知では、サービスを実施する際の指針を
個別に具体的に例示しています。

訪問介護では、介護保険適用サービスを提供している合間や前後に
ペットの世話や庭の草むしり、同居家族の部屋の掃除や買い物など。

また外出支援の付き添い、通院介助後の見守りのほか、
デイサービスの送迎途中の買い物同行なども例示されています。

要介護者と家族の食事を同時に作って、同時に提供することは、
介護保険と適用外のサービスを区別できないなどの理由から、
「不適正」といった判断が示されています。

参考までに、厚生労働省が都道府県を通じて、
保険者である市町村の介護保険担当者に通知した
内容の中から関連する項目を抜粋します。

1)これまでの取扱い
訪問介護については、前述の基準解釈通知に加え、
「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」
(平成12年11月16日老振発第76号)において、

「保険給付の範囲外のサービスについて、利用者と事業者の間の契約に基づき、
 保険外のサービスとして、保険給付対象サービスと明確に区分し、
 利用者の自己負担によってサービスを提供することは、当然、可能である」
と旨示しているところである。

2)訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合の例
訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合としては、
訪問介護の前後に連続して保険外サービスを提供する場合と、

訪問介護の提供中に、一旦、訪問介護の提供を中断した上で
保険外サービスを提供し、その後に訪問介護を提供する場合がある。

例えば以下のようなサービスの提供が可能である。

1.訪問介護の対象とはならないサービスを利用者本人に提供
・訪問介護の提供の前後や提供時間の合間に、
 草むしり、ペットの世話のサービスを提供すること

・訪問介護として外出支援をした後、引き続き、
 利用者が趣味や娯楽のために立ち寄る場所に同行すること

・訪問介護の通院等乗降介助として受診等の手続を提供した後に、
 引き続き、介護報酬の算定対象とならない院内介助を提供すること

 ※ 介護報酬の算定対象となる、訪問介護における院内介助の範囲については、
 「訪問介護における院内介助の取扱いについて」
 (平成22年4月28日付事務連絡)を参照すること

2.同居家族に対するサービスの提供
・訪問介護の提供の前後や提供時間の合間に、同居家族の部屋の掃除、
 同居家族のための買い物のサービスを提供すること

 ※ 利用者本人分の料理と同居家族分の料理を同時に調理するといった、
  訪問介護と保険外サービスを同時一体的に提供することは認めない

3)訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱い

訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合には、
1)で示したとおり、保険外サービスを訪問介護と明確に区分することが
必要であり、その具体的取扱いとして、事業者は以下の事項を遵守すること。

1.保険外サービスの事業の目的、運営方針、利用料等を
 指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定めること

2.契約の締結に当たり、利用者に対し、上記1の概要その他の
 利用者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した
 文書をもって丁寧に説明を行い、保険外サービスの内容、提供時間、
 利用料等について、利用者の同意を得ること。
 なお、保険外サービスの提供時間は、訪問介護の提供時間には含めないこと

3.契約の締結前後に、利用者の担当の介護支援専門員に対し、
 サービスの内容や提供時間等を報告すること。
 その際、当該介護支援専門員は、必要に応じて事業者から提供された
 サービスの内容や提供時間等の保険外サービスに関する情報を
 居宅サービス計画(週間サービス計画表)に記載すること

4.利用者の認知機能が低下しているおそれがあることを十分に踏まえ、
 保険外サービスの提供時に、利用者の状況に応じ、別サービスであることを
 理解しやすくなるような配慮を行うこと。

 例えば、訪問介護と保険外サービスを切り替えるタイミングを丁寧に説明する等、
 利用者が別サービスであることを認識できるような工夫を行うこと

5.訪問介護の利用料とは別に費用請求すること。
 また、訪問介護の事業の会計と保険外サービスの会計を区分すること

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執筆:渋川智明先生

東北公益文科大学名誉教授
法政大学大学院、目白大学大学院非常勤講師
(福祉・社会保障論、NPO事業論、社会的企業論)

早稲田大学卒、毎日新聞社入社。
西部本社報道部副部長から
東京本社社会部編集委員(厚生労働政策担当)。

2005年4月から東北公益文科大学教授。
公益学部長、大学院研究科長を経て、
2014年4月からは同大学名誉教授。

また、ジャーナリスト経験から介護保険、
医療保険、年金問題など社会保障政策に精通。

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