認知症市場での注目企業:公文教育研究会


加齢は認知症の危険因子のひとつです。

団塊世代が75歳を迎えて後期高齢者となる2025年には、
日本の高齢者の5人に1人は認知症という推計を
厚生労働省が出しています。

超高齢社会を迎えた日本が、
認知症という重大な社会問題に直面しているのは、
ある意味必然といえます。

認知症のメカニズムには未解明のところがあり、
今のところ根本的に治療することは不可能です。

しかし、日本社会に暗い影を落としている認知症問題に対して、
さまざまな業種の企業が解決に向けて商品やサービスの開発に
心血を注いでいます。

企業にとって認知症市場は現代のフロンティアともいえます。

画期的な商品やサービスが開発できれば、
今後市場を牽引していくリーディングカンパニーとして
成長できるチャンスでもあるからです。

前置きが長くなりましたが、
認知症市場において注目企業を取り上げ、
その取り組みを詳しくみていきたいと思います。

今回取り上げる企業は「公文教育研究会」です。

公文は、認知症の改善・重症化防止を目的にした
非薬物療法の「くもん学習療法」を開発しました。

2004年から介護施設への導入がスタートし、
現在、全国1,600近くの介護施設に導入されています。
(同社ホームページを参照)

「くもん学習療法」では、
計算問題や文章の音読などの教材プリントを使って、
認知症高齢者と介護スタッフがコミュニケーションを
取りながら学習を進めていきます。

試行錯誤を経て、あえて「簡単な」
単語や文章の音読、計算の教材を選んでいるのが特徴です。

思考やコミュニケーション、やる気などの
ヒトをヒトたらしめている脳の機能は、
前頭前野が担っていると考えられています。

この前頭前野は、難しい計算や思考をしているときよりも、
簡単な計算や文章を音読しているときに、前頭前野を含めた
脳全体が活性化するといいます。

こうした知見に基づき、くもん学習療法は設計されています。

認知症の人に、訓練のためであっても、
何か新しいことや難しいことを無理にしてもらうと、
できないこと、失われたものを確認させがちです。

それよりも、今ある脳の機能でできることを、
周囲がコミュニケーションを交えながらサポートするほうが、
認知症の人のためになるということです。

文字にしたらたった三行程度のことですが、
この知見を得るために、研究者や企業は
膨大な時間と資金を費やして研究しています。

こうした苦労の末発見された知見を利用しない手はありません。

ややもすると、認知症の家族に
できなくなったことや難しいことを
させようとしていませんでしょうか?

例えば、足が悪くて車椅子を使っている人に向かって、
「やる気を出して歩きなさい」とは言わないはずです。

それはその人の外見をみて、こちらも認識を改め、
ふさわしい言葉がけや接し方、態度を選択するからです。

ですが、認知症の場合は、脳の中で病変が生じているため、
外見上は元気な頃とあまり変わりがありません。

そのため、その人を見る目が変わらず、ということは
言葉がけも接し方も態度も変わることなく、
認知症の本人に無理をさせてしまっていることが多々あります。

元気ではつらつとしていた頃の姿を知っているだけに
これぐらいはできていて欲しいという思いがあるのかもしれません。

しかし、それがBPSD(行動・心理症状)の
悪化を招いていることもあるのです。

BPSDは、認知症の中核症状に起因するも、
本人の性格や環境によって、いかようにも表れ方が変化します。

BPSDは介護する人にとっては悩みの種ではありますが、
その介護する人がBPSDを管理する上で最も重要な存在となっています。

くもん学習療法では、
認知症の人に寄り添ったアプローチをとりますので、
認知症の緩和ケアや生きがいづくりの一貫として取り入れる
施設が多いのだろうと思います。

くもん学習療法が採用している認知症の人への接し方は
自宅で認知症の家族と接するときにも取り入れたいものです。

————————–
【参照】
KUMON | 学習療法センター <https://www.kumon-lt.co.jp/>
(参照 2017/08/31)


認知症市場での注目企業:NPO法人りぷりんと・ネットワーク


加齢は認知症の危険因子のひとつです。

団塊世代が75歳を迎えて後期高齢者となる2025年には、
日本の高齢者の5人に1人は認知症という推計を
厚生労働省が出しています。

超高齢社会を迎えた日本が、
認知症という重大な社会問題に直面しているのは、
ある意味必然といえます。

認知症のメカニズムには未解明のところがあり、
今のところ根本的に治療することは不可能です。

しかし、日本社会に暗い影を落としている認知症問題に対して、
さまざまな業種の企業が解決に向けて商品やサービスの開発に
心血を注いでいます。

企業にとって認知症市場は現代のフロンティアともいえます。

画期的な商品やサービスが開発できれば、
今後市場を牽引していくリーディングカンパニーとして
成長できるチャンスでもあるからです。

前置きが長くなりましたが、
認知症市場において注目企業を取り上げ、
その取り組みを詳しくみていきたいと思います。

今回取り上げる企業は
「NPO法人りぷりんと・ネットワーク」です。

4人に1人が65歳以上の高齢者が占める日本では、
「支えられる側」から「支える側」の高齢者を
増やそうという取り組みがなされています。

地域で活躍する元気な高齢者を増やすことで、
高齢者本人のQOL(人生の質)を高めると同時に、
少子化による労働不足の解消、社会保障費の負担減、
地域のつながりの構築などを実現していくのが狙いです。

同法人では、高齢者を対象にした
子どもたちへの絵本の読み聞かせボランティアの養成に
取り組んでいます。

絵本の読み聞かせは、
自分の子どもが小さい頃にしていたので、
すぐにでもできると感じる人も多いようです。

しかし、家読みと外読みとでは状況がまったく異なります。

家で自分の子どもに対して絵本を読み聞かせる場合、
親子の関係がある中、1対1で絵本を読み聞かせます。

ボランティアとして施設で絵本を読み聞かせる場合、
はじめて会う子どもたちと信頼関係を築きながら、
1対多で絵本の読み聞かせを行います。

ボランティアを目的にした絵本の読み聞かせでは、
聞き手(子どもたち)の反応を見ながら、
話し方に抑揚をつけたり、ときには質問したりと、
興味をもって聞いてもらうためにさまざまな工夫が必要となります。

そもそも、大勢の子どもたちの興味を引くような、
いわば外読みに適した絵本を選定しておく事前準備も
大切になります。

りぷりんと・ネットワークでは、
高齢者に対して絵本の読み聞かせの技術を
しっかりと学べるプログラムを提供しています。

学習を終えた高齢者は、仲間とグループを組み、
地域の図書館、幼稚園や保育園、学校などで
ボランティアとして絵本の読み聞かせをします。

この絵本の読み聞かせをとおした地域貢献は、
高齢者の認知症予防にもなっています。

認知症予防につながる活動である
「運動」「知的活動」「社会とのつながり」を
しっかりと習慣化することができるのです。

東京都健康長寿医療センターの研究結果によると、
絵本の読み聞かせ活動に参加した高齢者は、
そうではない人に比べて、記憶力テストの点数が上がっていました。

また、絵本の読み聞かせは、
高齢になって身体機能が衰えた後でも続けやすい
活動のひとつです。

実際に要介護の認定を受けた人でも
絵本の読み聞かせの活動をはじめ、
今でも続けておられるケースもあります。

絵本の読み聞かせは、高齢者の認知症予防が期待でき、
また長期継続も可能な活動です。

また、多世代交流の重要性が指摘されていますが、
絵本の読み聞かせでは、高齢者と子どもとの交流も自然に生まれます。

絵本の読み聞かせのような活動が増えることで、
認知症は発症後のケアに重点を置く時代から予防する時代へ、
そして、予防活動をとおして、社会貢献も実現する時代に
入ろうとしているといえます。

りぷりんと・ネットワークはNPO法人ですので、
投資対象として注目できる企業ではありませんが、
今後のさらなる活動の広がりに期待したいところです。

————————–
【参照】
NPO法人りぷりんと・ネットワーク <https://www.nporeprints.com/>
(参照 2017/08/29)

【文献】
Suzuki H, et al.
“Cognitive intervention through a training program for picture book reading
in community-dwelling older adults: a randomized controlled trial”
BMC geriatrics, 14:1-9 (2014)


認知症市場での注目企業:JCRファーマ


加齢は認知症の危険因子のひとつです。

団塊世代が75歳を迎えて後期高齢者となる2025年には、
日本の高齢者の5人に1人は認知症という推計を
厚生労働省が出しています。

超高齢社会を迎えた日本が、
認知症という重大な社会問題に直面しているのは、
ある意味必然といえます。

認知症のメカニズムには未解明のところがあり、
今のところ根本的に治療することは不可能です。

しかし、日本社会に暗い影を落としている認知症問題に対して、
さまざまな業種の企業が解決に向けて商品やサービスの開発に
心血を注いでいます。

企業にとって認知症市場は現代のフロンティアともいえます。

画期的な商品やサービスが開発できれば、
今後市場を牽引していくリーディングカンパニーとして
成長できるチャンスでもあるからです。

前置きが長くなりましたが、
認知症市場において注目企業を取り上げ、
その取り組みを詳しくみていきたいと思います。

今回取り上げる企業は「JCRファーマ(4552)」です。

認知症の根本的な治療を実現するべく
認知症治療薬の開発が進められています。

しかし、その開発には大きく立ちはだかる
「関門」が存在しています。

成果がなかなかでない中、
いかにして開発体制を整えるのかという課題は、
確かに悩ましいものです。

こうした課題とは別に、
文字通りの「関門」が存在しており、
「血液脳関門(blood-brain barrier: BBB)」です。

BBBはまるで関所のように、
血液中の有害物質や薬物が脳に入るのを防いで、
脳の機能を健全に保っています。

ただ、脳に起因する疾患で薬物治療が必要な場合、
このBBBが逆に障壁となって、必要な薬の成分が
脳に届けられないことがあります。

バイオベンチャーであるJCRファーマ社は、
このBBBを突破する技術「J-Brain Cargo」の開発を
手がけています。

名前にCargo(カーゴ)とついているように、
脳に届けたい薬をBBBを通り抜けて運んでくれる技術で、
薬が脳に届く比率が20~100倍近く高くなるようです。

J-Brain Cargoに届けて欲しい薬として
今関心が高いのが認知症治療薬です。

BBBを通過できずにあきらめていた薬でも
J-Brain Cargoに載せて脳に届けることで、
効果を発揮する薬が登場するかもしれません。

まずはJ-Brain Cargo自体の研究が進み、
安全性や薬の運搬能力が向上すること。

さらに認知症治療薬×J-Brain Cargoの
効果的な組み合わせが見つかれば、
認知症治療に向けて大きく前進することになります。

————————–
【参照】
JCRファーマ株式会社 <http://www.jcrpharm.co.jp/>
(参照 2017/08/28)


認知症市場での注目企業:太陽生命、朝日生命


加齢は認知症の危険因子のひとつです。

団塊世代が75歳を迎えて後期高齢者となる2025年には、
日本の高齢者の5人に1人は認知症という推計を
厚生労働省が出しています。

超高齢社会を迎えた日本が、
認知症という重大な社会問題に直面しているのは、
ある意味必然といえます。

認知症のメカニズムには未解明のところがあり、
今のところ根本的に治療することは不可能です。

しかし、日本社会に暗い影を落としている認知症問題に対して、
さまざまな業種の企業が解決に向けて商品やサービスの開発に
心血を注いでいます。

企業にとって認知症市場は現代のフロンティアともいえます。

画期的な商品やサービスが開発できれば、
今後市場を牽引していくリーディングカンパニーとして
成長できるチャンスでもあるからです。

前置きが長くなりましたが、
認知症市場において注目企業を取り上げ、
その取り組みを詳しくみていきたいと思います。

今回取り上げる企業は「太陽生命」「朝日生命」です。

もし自分や家族が認知症になった場合に、
多くの人が不安に感じているひとつが「お金」です。

同じ要介護の状態でも、正常と認知症とでは
認知症のほうが介護費負担は高くなり、
倍以上違ってくるといいます。

現実的な問題として、認知症にかかると
お金もかかるようになるのです。

そこで、「もし認知症になった」場合の
金銭的な負担に備える保険が今注目を集めており、
加入者も増えています。

生命保険業界初の認知症保険として、
2016年3月に太陽生命保険が
「ひまわり認知症治療保険」を発売しています。

太陽生命保険:ひまわり認知症治療保険
https://www.taiyo-seimei.co.jp/lineup/health_insurance/himawari.html

2017年5月には販売件数が20万件を超えました。

介護費の負担増、自宅のリフォーム費用などの
まとまった一時金の支払いに備えたいとの思いから
加入する高齢者が多いとのことです。

また、同社では契約者に向けて、
認知症予防のためのスマートフォン用アプリも
提供しています。

「歩行速度が遅い人は認知症やMCIになる可能性が高い」
という知見に基づき、歩行速度の面から認知症予防を
サポートする内容になっています。

太陽生命保険:認知症予防アプリ
https://www.taiyo-seimei.co.jp/customer/health_promotion/app.html

<アプリの主な機能>
・歩行速度や歩数を見える化
・健康状況に応じてアドバイス
・歩行速度が低下し、認知症やMCIのリスクが
 高い場合にはお知らせを通知

同社の取り組みは、
認知症に関する発症リスクと金銭的リスクの
両方に備えるものになっています。

また、朝日生命保険が2016年4月に発売開始した
「あんしん介護認知症保険」も順調に契約数を伸ばしています。

初年度の目標3万件に対して、4万1千件と
目標を超えて契約数を伸ばしています。

朝日生命保険:あんしん介護認知症保険
http://www.asahi-life.co.jp/products/lineup/anshin_kaigo.html

親の介護で認知症に向き合ってきた人や
ライフスタイルの変化をきっかけに保険を見直したい人
などが加入を検討しているようです。

両保険とも発売後すぐの好調な契約数の伸びと、
認知症患者の増加予測を考慮しますと、
認知症型保険は、認知症市場において
今後ますますと注目を集めていくことでしょう。

なお、認知症保険に限らず、
どの保険にもいえることですが、
メリットとデメリットが存在しています。

一般的に保障内容を充実させすぎると、
保険料が高くなります。

認知症保険の加入を検討する際は、
自分や家族が求めている保障内容を考えたうえで、
メリットとデメリットの両方の面から判断する必要があります。


認知症市場での注目企業:ジンズ


加齢は認知症の危険因子のひとつです。

団塊世代が75歳を迎えて後期高齢者となる2025年には、
日本の高齢者の5人に1人は認知症という推計を
厚生労働省が出しています。

超高齢社会を迎えた日本が、
認知症という重大な社会問題に直面しているのは、
ある意味必然といえます。

認知症のメカニズムには未解明のところがあり、
今のところ根本的に治療することは不可能です。

しかし、日本社会に暗い影を落としている認知症問題に対して、
さまざまな業種の企業が解決に向けて商品やサービスの開発に
心血を注いでいます。

企業にとって認知症市場は現代のフロンティアともいえます。

画期的な商品やサービスが開発できれば、
今後市場を牽引していくリーディングカンパニーとして
成長できるチャンスでもあるからです。

前置きが長くなりましたが、
認知症市場において注目企業を取り上げ、
その取り組みを詳しくみていきたいと思います。

今回取り上げる企業は「株式会社ジンズ (3046)」です。

大手眼鏡チェーン店として知られているジンズ社は、
ブルーライトをカットする眼鏡や、
花粉症カットの機能を備えた眼鏡など、
多機能眼鏡を開発して新しい市場を開拓してきました。

そして、同社では認知症の兆候の見える化を
目指す取り組みを進めています。

ジンズ社は2015年11月に、
センサー付きの眼鏡「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」
を発売しています。

JINS MEME
https://jins-meme.com/ja/

この眼鏡は多機能眼鏡に分類されると同時に、
メガネ型ウェアラブルデバイスでもあります。

ウェアラブルデバイスとは、
身体に装着して利用するデジタル端末のことです。

JINS MEMEは、見た目も重さも
通常のメガネとほとんど変わりはありません。

鼻パッドと眉間の3ヵ所にあるセンサーで、
視線の動きやまばたきを捉えることができます。

また、テンプル(耳にかける部分)にもセンサーがあり、
身体の回転や向きなどの動きを測ることができます。

リアルタイムで検知された目の動きや姿勢のデータは、
通信機能でスマートフォンに転送されます。

そして、専用アプリで分析して、一日の変化が見える化されます。

現状では、主なユーザーは30代、40代が中心となっています。

集中状態を見える化できるため、
業務の効率化や働き方を検証する際に
使用している企業もあります。

同社の取り組みは、このJINS MEMEを
認知症の兆しの発見で役立てようとするものです。

認知症患者は、その特徴として
「目の動きが少し遅くなる」
「歩行時に重心が少し後ろに傾く」
などの傾向があるといわれています。

こうした変化を捉えることで、
認知症の兆しをつかめるのではと考えられています。

認知症の兆しを早い段階で見つけて対応することで、
適切な治療やケア、介護を受けやすくなったり、
軽度認知障害(MCI)であれば、正常への復帰が期待できたりします。

また、眼鏡型のウェアラブルデバイスのため、
高齢者でも無理なく長時間装着することができ、
継続的にデータを収集することができます。

その分、精度の高い解析が可能となり、
将来的には、身体の変化に応じた適切な活動をする
タイミングを教えることも検討されています。

今後さらに研究が進み、
認知症予防を実現する商品やサービスへと
成長していくことが期待できます。

ジンズ社は、眼鏡市場よりさらに大きな
認知症やウェアラブル市場で業界を
リードしていくことになるでしょう。

————————–
【参照】
株式会社ジンズ <http://corp.jins.com/>
(参照 2017/08/24)


認知症市場での注目企業:ツムラ


加齢は認知症の危険因子のひとつです。

団塊世代が75歳を迎えて後期高齢者となる2025年には、
日本の高齢者の5人に1人は認知症という推計を
厚生労働省が出しています。

超高齢社会を迎えた日本が、
認知症という重大な社会問題に直面しているのは、
ある意味必然といえます。

認知症のメカニズムには未解明のところがあり、
今のところ根本的に治療することは不可能です。

しかし、日本社会に暗い影を落としている認知症問題に対して、
さまざまな業種の企業が解決に向けて商品やサービスの開発に
心血を注いでいます。

企業にとって認知症市場は現代のフロンティアともいえます。

画期的な商品やサービスが開発できれば、
今後市場を牽引していくリーディングカンパニーとして
成長できるチャンスでもあるからです。

前置きが長くなりましたが、
認知症市場において注目企業を取り上げ、
その取り組みを詳しくみていきたいと思います。

今回取り上げる企業は「株式会社ツムラ (4540)」です。

大手漢方薬品メーカーとして知られているツムラ社は、
認知症市場において隠れたヒット商品をもっています。

それは同社の医療用漢方製剤の中で
売上高第二位の「抑肝散(よくかんさん)」です。

漢方では「肝」が高ぶると、怒りやイライラが現れると考えます。

抑肝散は、その肝の高ぶりを抑えることから
名づけられた漢方薬です。

主な効能や効果としては「神経症、不眠症」で、
医療機関では認知症の行動・心理症状(BPSD)の薬として
広く処方されています。

BPSDはすべての認知症患者で見られるわけではありませんが、
認知症患者を介護する家族にとっては悩みの種です。

その症状が落ち着くことで、
患者本人や家族が穏やかに過ごせる時間が増えることになり、
介護する側のストレスや負担を減らすことにつながります。

抑肝散がどれほど注目を集めているのかを、
抑肝散の売上高の推移から知ることができます。

ツムラ社の決算資料によりますと、
2004年度は1億4,500万円の売上高に対して、
12年後の2016年度は73億3,000万円と、
約50倍近く売上を伸ばしています。

抑肝散は同社の屋台骨を支える薬に成長しましたが、
認知症患者の増加が予想されている日本全体においても
なくてはならない薬といえます。

ただ、抑肝散は時代の流れだから何となく
医療関係者から注目を浴びたわけではありません。

そこにはツムラ社の真摯な経営戦略があります。

ツムラ社は2004年度から「育薬」を推進しており、
それが漢方薬には見向きもしてこなかった
西洋医学の医師を振り向かせることになったのです。

育薬とは、医療ニーズは高いが、
新薬開発に苦戦している病気の中で、
漢方が効果を発揮しやすい分野に的を絞り、
エビデンス(科学的根拠)の確立を目指す
同社の取り組みです。

抑肝散が認知症の薬として
医療の現場に広がりはじめたのは2005年ですが、
同年に東北大学が「BPSDの改善効果が期待できる」と
臨床論文を発表したのがきっかけでした。

認知症への効能をうたう商品やサービスの中には
エビデンス(科学的根拠)が不十分なものがあります。

ツムラ社はそれらとは一線を画し、
医療関係者が受け入れやすいように
科学的なメカニズムの分析に注力したことが、
同社製品の爆発的な売上増を実現したと考えられます。

同社の抑肝散は、今後もさらに売上を伸ばしつつ、
認知症患者のBPSDに悩まされる介護する家族の負担を
和らげていくことでしょう。

なお、抑肝散は漢方薬局や通販でも購入可能となっていますが、
まずは医師、薬剤師などに相談されるのをおすすめします。

————————–
【参照】
株式会社ツムラ <http://www.tsumura.co.jp/>
東北大学加齢医学研究所 <http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/geriat/>
(参照 2017/08/22)


食生活の改善は寿命延伸につながる


お父さんがまだ小さくてかわいらしい幼児の頃、
「好き嫌いなく、ちゃんと食べること」を
親から教えられたことと思います。

それは人の体は食べたものでできており、
生きていくためにはいろいろな栄養素が必要だからです。

健康に生きたいのであれば、
健康な食事スタイルを日頃から心がけることが
大切になってきます。

認知症予防にもつながる健康な食事スタイルとしては、
地中海食とDASH式食事が知られています。

<地中海食>
野菜、豆類、果物、魚介類、オリーブオイルなどに含まれる
不飽和脂肪酸を多く摂取しながら、乳製品・獣肉や家禽類は
少なめにする地中海沿岸諸国の料理

<DASH式食事>
アメリカ国立衛生研究所が提唱する「高血圧を防ぐための食事法」
肉類や砂糖の摂取を減らし、ナトリウムを排除するカリウムを
多く含む野菜、果物、低脂肪の乳製品、脂の少ない魚などを
たくさん摂ることを推奨

ここに米国で行われた、
12年間の食生活の変化とその後12年間の死亡率との関係を
調べた調査研究があります。

地中海食やDASH式食事などの健康的な食事スタイルに
どれぐらい準拠しているのかをまず点数化しました。

健康的な食事スタイルに準拠しているほど、高得点となります。

そして、12年間の変化量を算出し、
変化量の大きさに応じて5段階のランクに
対象者を分けたのです。

調査の結果、12年間の食事スタイルの変化が大きいほど、
その後の12年間の死亡リスクが低下することがわかりました。

多くの人が実感していることではありますが、
食生活の改善は、質においても期間においても
しっかりと取り組むほど、健康効果は高くなるということです。

死亡リスクの低下には、心血管疾患や脳卒中などの
重篤な病気にかかりにくくなるためと考えられ、
これは健康寿命の延伸にもつながります。

食生活をがらりと変える、
つまり食生活の改善の質を高めるのは
なかなか大変なものです。

ですが、ちょっとした改善でも今日からはじめること、
すなわち改善の期間を長くすることは、すぐに誰でもできます。

まずはちょっとした食生活の改善からでもいいので、
何か手がけてみてはいかがでしょうか?

今日からスタートすることで、
その分時間を味方につけることができます。

————————–
【文献】
Mercedes Sotos-Prieto, et al.
“Association of Changes in Diet Quality with Total and Cause-Specific Mortality”
N Engl J Med ; 377:143-153 (2017)


【セミナー報告】認知症予防セミナー:知的活動と認知症予防


2017年8月20日(日)に、LEC東京リーガルマインド水道橋本校(東京都千代田区)にて、認知症予防セミナー「知的活動と認知症予防〜元気な脳をつくる、効率的な頭の使い方〜」を開催しました。

セミナーの概要についてはこちらです。

まずは今回のセミナーの開催は、LEC東京リーガルマインド様のご協力をいただき、実現することができました。

ご尽力いただきました関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。

一般社団法人元気人では、大学や研究機関に蓄積されている認知症予防の知見や最新の研究成果を、より早くよりわかりやすいかたちにして、認知症予防の現場で必要とする方々にお届けするべく、毎月セミナーを開催しています。

認知症予防の専門家として、東京都健康長寿医療センター 飯塚あい先生をお招きし、「知的活動と認知症予防〜元気な脳をつくる、効率的な頭の使い方〜」というテーマでお話しいただきました。

飯塚先生はお話の中で、

「過去の教育年数だけでなく、壮年期以降も知的活動に取り組むことで、認知的予備力を蓄えることができる。認知予備力の蓄えが多い人ほど、認知症になりにくく、脳の障害が発生しても、症状が軽い傾向がある」

「効果的な知的活動の選び方では、その人にとって興味のある楽しいこと、生涯続けられること、周囲の役に立つことがポイントになる」

「これまでに経験がない、新しい技術の学習を必要とする活動は、認知症予防につながる可能性が高い」

「参加する人にあわせてレベルの調整ができる活動(例えば囲碁)は、始めやすく、認知機能が低下した後でも長続きする傾向があるので、この観点から活動内容を選ぶのもよい」

など、「知的活動」を切り口に、認知症に強い頭の使い方について説明されました。

ご参加いただいた方にはアンケートをお願いしましたが、ほとんどの方からご満足の声をいただき、主催者側として大変喜んでおります。

当日ご参加いただいた方からは次のようなお声をいただいております。

—————————————————————————————————
相続に関するコンサルタントをしており、法的な認知症対策がメインのため、
認知症について知っておきたいと思い参加しました。
—————————————————————————————————
認知症予防を継続させるためには、外からのサポートよりも、
本人が楽しいと思えることで予防するのが一番だと思いました。
—————————————————————————————————
認知症の非薬物的アプローチの3本柱を改めて認識しました。
その中でも知的活動は大切ですね。
—————————————————————————————————
生涯続けられる知的な趣味活動を見つけたいと感じた。
高齢で一人暮らしの人(自分や友人の親を含め)で、特に趣味もなく、
あまり出かけない人に、予防のための知的活動を探すことが大切だと伝えたい。
—————————————————————————————————
知らなかった部分や、やはりそうなのだと思えることを再確認できました
—————————————————————————————————

ご参加いただきました皆さまに改めて感謝申し上げます。

一般社団法人元気人は、地域の認知症発症を予防し、誰もが笑顔で元気に暮らせる社会を実現したいと考えています。

そのためには認知症予防に携わる人材育成が不可欠であり、今有益な情報をお届けできるように、今後もこうした勉強会を継続して実施する予定です。

開催中のセミナーについてはこちらからご確認いただけます。


親の認知症が心配なときにできる認知症予防


2017年7月16日~20日にわたり、英国ロンドンにて
第29回国際アルツハイマー病会議が行われました。

その中で、十分に信頼性の高い認知症の危険因子として、
ライフステージごとに9つの生活習慣リスクが指摘されました。

———————————————

【9つの生活習慣リスク】

1)少年期
15歳までの教育

2)中年期
高血圧、肥満、難聴

3)中年期~高齢期
うつ病、糖尿病、身体不活動(運動不足)、喫煙、社会的孤立

———————————————

この9つの生活習慣リスクを改善することで、
多くの人で認知症の予防もしくは発症遅延を
実現できる可能性があるということです。

この中から「社会的孤立」を取り上げて、
具体的に何をすればいいのかをみていきたいと思います。

親と一緒に暮らしていようとも、
親と離れて暮らしていようとも、
高齢を迎えた親の様子や健康、
最近では認知症は気になるものです。

とはいえ、親の認知症が心配だからといって、
テレビや本、または当メルマガ!?で仕入れた情報を
あれやこれやと伝えても、親が聞く耳を持たないケースも
あるのではないでしょうか?

認知症予防は実践してこそ意味があります。

なのにまったく実践してくれないと嘆かれる方には、
これからお伝えすることは、お役立ちの認知症予防に
なるかもしれません。

スウェーデンのストックホルムに在住する1,203人を
平均3年間追跡した調査研究があります。

下記の項目にいくつ該当するかで対象を4段階にわけ、
社会的ネットワークが認知症の発症にどのような影響を
及ぼしているのか、その関係性を調べました。

<社会的ネットワークの状況>
1)結婚して同居している
2)子どもと日常的に接触している
3)親族または友人と日常的に接触している

認知症の発症リスクについて、
3つとも満たす人と比べた場合、
2つを満たす人で2.61倍
1つを満たす人で3.65倍
いずれも満たさない人で8.25倍
という結果であることがわかりました。

家族とも友人とも隣近所とも
日常的に誰とも接することがない、
つまり社会的に孤立状態にある人は
認知症の発症リスクがかなり高いといえます。

認知症予防は、運動にせよ、食事スタイルにせよ、
いくら知識を伝えても、本人がやる気を出して、
取り組んでもらわないことには、予防には1mmもつながりません。

ですが、社会的ネットワークは、
本人もさることながら、周囲からかかわることで、
対象とする人の認知症予防につなげることができます。

つまり、本人に認知症予防の意識がなくても、
子どもや地域が外から定期的にかかわることで、
本人の認知症予防につながるのです。

また、高齢者の社会的孤立は
本人のQOL(人生の質)を著しく低下させるばかりか、
消費者被害、犯罪、孤立死などの社会問題の遠因にもなっています。

社会的孤立の防止に向けて、今日からでも
かかわり合いを増やしていきたいところです。

あと、最近では高齢者の中でも
スマホやタブレットを所有される方が増えています。

スマホやタブレットを使えば、
テレビ電話(FaceTimeやハングアウト)も
簡単にできます。

直接会うのが一番いいのですが、
親が遠く離れて暮らしていてすぐに会えない場合は、
こうしたデジタル機器を活用するのもいいでしょう。

また、使い方がわからないという場合は、
近くのパソコン教室などが教えてくれますし、
そのことが新しい社会的ネットワークを作る
きっかけにもなります。

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【文献】
Fratiglioni L, et al.
“Influence of social network on occurrence of dementia:
a community-based longitudinal study”
Lancet ; 355 :1315-1319 (2000)


知っておきたいタバコの認知症への影響


2017年7月16日~20日にわたり、英国ロンドンにて
第29回国際アルツハイマー病会議が行われました。

その中で、十分に信頼性の高い認知症の危険因子として、
ライフステージごとに9つの生活習慣リスクが指摘されました。

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【9つの生活習慣リスク】

1)少年期
15歳までの教育

2)中年期
高血圧、肥満、難聴

3)中年期~高齢期
うつ病、糖尿病、身体不活動(運動不足)、喫煙、社会的孤立

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この9つの生活習慣リスクを改善することで、
多くの人で認知症の予防もしくは発症遅延を
実現できる可能性があるということです。

この中から「喫煙」を取り上げて、
具体的に何をすればいいのかをみていきたいと思います。

ちなみにお父さんの職場に、
タバコを吸うメリットをことさらに主張して、
むしろ積極的にタバコを吸っている人はいませんか?
(もしかして、お父さんが張本人とか!?)

タバコを吸うことで、

「ストレス解消になっている」
「喫煙所は社交場にもなっている」
「毎日税金を納めている」

などのメリットが得られるという人がいます。

ですが、認知症予防の観点からすると、
タバコを吸うことは、認知症の発症リスクを高める
要因でしかありません。

55歳以上の6,870人に行われた追跡調査では、
平均2.1年間に105名がアルツハイマー型認知症を発症し、
非喫煙者と比べた場合、喫煙者の発症リスクは2.3倍で
あることがわかりました。

また、別の研究では、中年期の喫煙は
高齢期における認知症の発症リスクを高め、
喫煙量とアミロイドβの沈着には相関関係が
あることがわかりました。

アミロイドβとは脳内にできるタンパク質のゴミのことで、
アルツハイマー病の原因物質とされています。

また、マウスを使った実験では、受動喫煙の場合でも、
アミロイドβの蓄積が促進されることがわかっています。

他にも喫煙が認知症の発症リスクを高めることを
示唆する研究が多くありますし、そもそも
喫煙は肺がんや脳卒中、心筋梗塞などの
全身の病気の発症リスクも高めます。

認知症に限らず、身体全体の健康を考えますと、
今からでも遅くはありませんので、禁煙を心がけたいところです。

ファイザー社が、
タバコの害や禁煙するメリットをまとめた
Webサイトを開設しています。

タバコを吸われるお父さんは
一度チェックされるとよろしいかと思います。

すぐ禁煙.jp
⇒⇒ http://sugu-kinen.jp/

なお、以前に
「タバコはアルツハイマー病を予防するかも」
と話題になったことがありますが、
ある意味真実かも知れません。

喫煙者は、アルツハイマー病を発症する前に
肺がんや心臓病、脳血管疾患で早死しやすいからですが、
それでは本末転倒の認知症予防になってしまいます、、、

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【文献】
Ott, A, et al.
“Smoking and risk of dementia and Alzheimer’s disease i
n a population-based cohort study”
the Rotterdam study. Lancet. 351: 1840?1843 (1998)

Tyas SL, et al.
“Mid-life smoking and late- life dementia: the Honolulu-Asia Aging Study”
Neurobiol Aging; 24: 589-596 (2003)

Ines Moreno-Gonzalez, et al.
“Smoking exacerbates amyloid pathology
in a mouse model of Alzheimer’s disease”
Nature Communications 4, Article number: 1495 (2013)