40~50代の認知症予防:交流編


認知症の発症原因は、70近くあるといわれていますが、
割合ではアルツハイマー病と脳血管障害で約7割をしめています。

この2つの認知症の発症原因を回避することから
認知症予防はスタートするといえます。

近年の研究からは、脳血管障害だけでなく、アルツハイマー病も
運動や食事などの生活習慣が関係していることがわかっています。

生活習慣であれば、多くの場合でコントロールが可能で、
生活習慣を見直すことで、認知症に強い脳とからだ作りが達成されます。

とはいえ、認知症に強い生活習慣を確立するにあたり、
どこに比重を置くかは年代によって変わってきます。

今回は40~50代が心がけたい
「交流」についてみていきたいと思います。

就労の有無、友人との交流や地域活動への参加など、
社会的なつながりが多い高齢者は、認知症の発症リスクが低い
とする研究結果があります。

国立長寿医療研究センターが
2003年に65歳以上だった1万3984人を対象に
約9年間にわたり健康状態を追跡調査したものです。
(日本経済新聞/2017.11.23)

調査項目としては、
・配偶者がいる
・同居家族と悩み相談などをする
・友人との交流がある
・地域のグループ活動に参加している
・働いている
がありますが、どれかに該当する人の場合、
認知症の発症リスクはそれぞれ11~17%低下していました。

また、すべてにあてはまる人は、0か1つの人と比べて
認知症の発症リスクが46%も下がっていました。

高齢期に社会的なつながりを維持していることは
認知症の予防もしくは発症遅延につながることになります。

ということで、40~50代の働く世代における
将来の認知症予防に向けて今から準備しておきたいことは、
今のうちに社会的なつながりを構築しておくことになります。

仕事をしている間は、会社組織と社会的なつながりがあっても
定年後には家族以外になくなってしまう方が、特に男性に多くみられます。

そのため、仕事以外に趣味をもつとよいでしょう。

趣味をきっかけに新しい交流が生まれますし、
活動そのものが認知機能を高める趣味もあります。

このときのポイントとしては、複数の趣味にチャレンジして
曜日ごとに違う運動や習い事をするようにします。

例えば、平日は英語のグループレッスン、土曜日はゴルフなど、
種目を変えながら、いくつか取り組みます。

付き合う仲間が増えれば、それだけ脳が刺激され、
認知予備力(認知力の蓄え)が高まります。

また、同時にコミュニケーション力も鍛えられますので、
高齢期にKY(空気読めない)な人として、周囲から疎まれ、
社会的なつながりが断ち切られるリスクも避けることができます。

そして、趣味のグループ活動は長く続くところもあれば、
自然消滅するところもあります。

人とのかかわりがなくなるリスクを分散する意味でも、
複数の趣味のグループに所属しておくのは理にかなっています。

なお、注意点として、趣味活動に積極的に励むあまり、
家庭のことがおろそかにならないようにしたいところです。


40~50代の認知症予防:生活編


認知症の発症原因は、70近くあるといわれていますが、
割合ではアルツハイマー病と脳血管障害で約7割をしめています。

この2つの認知症の発症原因を回避することから
認知症予防はスタートするといえます。

近年の研究からは、脳血管障害だけでなく、アルツハイマー病も
運動や食事などの生活習慣が関係していることがわかっています。

生活習慣であれば、多くの場合でコントロールが可能で、
生活習慣を見直すことで、認知症に強い脳とからだ作りが達成されます。

とはいえ、認知症に強い生活習慣を確立するにあたり、
どこに比重を置くかは年代によって変わってきます。

今回は40~50代が心がけたい
「生活」についてみていきたいと思います。

仕事や家庭、遊びなどで日々忙しく中年期を謳歌されている
お父さんにおかれましては、睡眠は十分でしょうか?

睡眠不足が続くと、将来における
認知症の発症リスクが高くなる可能性があります。

眠りが足りないと、
アルツハイマー病の原因物質とされている
アミロイドβがたまりやすくなるからです。

この脳のゴミともいえるアミロイドβには、
脳内での量に日内リズムがあります。

アルツハイマー病のモデルマウスを使った実験から
断眠(眠らせない)を続けると、脳内でのアミロイドβの沈着が
約3倍にも増加することがわかりました。
(Kang JE, et al, Science 2009)

この研究からは、脳内のアミロイドβの濃度は日中変動しており、
起きているときは高く、眠っているときは低いことも示されています。

睡眠不足が続き、起きている時間が長いと、
その分脳内のアミロイドβの沈着が増加します。

長年にわたりアミロイドβの沈着が続くようだと、
将来の認知症の発症リスクを高めることになります。

また、中年期の肥満は認知症の危険因子のひとつですが、
睡眠不足が続くと、肥満になりやすい状態にも陥ります。

睡眠が足りないと、食べ過ぎを抑制するホルモンが出にくくなり、
反対に食欲を増進させるホルモンがよく分泌されるようになります。

すなわち、脳の状態が食べたいモードになって、
ついつい食べ過ぎてしまい、結果、肥満を招いてしまうのです。

以上、まとめますと、
40~50代に心がけたい認知症予防のための生活内容として、
睡眠不足の解消を目指していきたいところです。

40~50代における睡眠時間の目安としては、
厚生労働省が2014年に発表した「睡眠指針」が参考になります。

45歳の健康的な睡眠時間の目安を約6.5時間としています。

6.5時間分の睡眠時間をしっかりと確保するには、
睡眠時間の確保を最優先事項にして、そこから逆算して、
起きているときのタイムスケジュールを決めるとよいでしょう。


40~50代の認知症予防:運動編


認知症の発症原因は、70近くあるといわれていますが、
割合ではアルツハイマー病と脳血管障害で約7割をしめています。

この2つの認知症の発症原因を回避することから
認知症予防はスタートするといえます。

近年の研究からは、脳血管障害だけでなく、アルツハイマー病も
運動や食事などの生活習慣が関係していることがわかっています。

生活習慣であれば、多くの場合でコントロールが可能で、
生活習慣を見直すことで、認知症に強い脳とからだ作りが達成されます。

とはいえ、認知症に強い生活習慣を確立するにあたり、
どこに比重を置くかは年代によって変わってきます。

今回は40~50代が心がけたい
「運動」についてみていきたいと思います。

この年代の認知症予防としては、何か選択する際は、
極力、身体を動かすほうの選択肢を選ぶようにします。

例えば、日常生活の中で

・エレベーターと階段があれば、階段を選ぶ
・最寄りではなく、ひとつ手前のバス停で降りる
・家でゴロゴロではなく、10分でも散歩をする
・駐車場では車を遠くに停める

など、少しでもいいので身体を動かすことを心がけていきます。

アルツハイマー病では初期から海馬の萎縮がみられますが、
有酸素運動によって、記憶を司る脳の海馬が大きくなる
という研究結果があります。

有酸素運動によって海馬の容量を大きくしておくことで、
いつしか脳の病変が進んでも、日常生活に支障が出るほど
記憶障害が進行するまで、ある程度時間が稼げることになります。

つまり、認知症の予防や発症遅延につながるのです。

とはいえ、仕事や家庭で忙しい40〜50代のお父さんが
運動のためにまとまった時間を捻出するのは、
なかなか大変なところがあります。

「運動はしたいけれども、時間がとれないなあ」
というお父さんに朗報です。

10分間の軽い運動でも認知機能を高めるという研究結果があります。
(Hideaki Soya, et al, NeuroImage 2014)

また、有酸素運動は細切れに行っても、
まとまった時間で行った場合とほぼ同様の効果が得られる
と指摘する研究者もいます。

「塵も積もれば山となる」ということわざがあります。

運動のためにまとまった時間がとれない場合は、
細切れでもいいので運動を積み重ねて、
トータルの運動量を増やしていきましょう。

一つひとつは小さな運動でも、
その積み重ねが将来の認知症予防につながります。

また、若い頃からの習慣は歳をとってからも継続するものです。

高齢になって身体が衰えてから、身体を鍛えようとしても
さび付いた自転車を漕ぐようなもので、なかなか大変です。

身体がまだまだ動き、気力がある中年期に
日頃から身体を動かし、運動習慣を身につけておくことは、
高齢になってからの身体機能の低下を防いでくれます。

以上、まとめますと、
40~50代に心がけたい認知症予防のための運動内容としては、
細切れの運動でもいいので身体を動かし、トータルで
運動量を稼ぐことを目指していくとよいでしょう。


40〜50代の認知症予防:食事編


認知症の発症原因は、70近くあるといわれていますが、
割合ではアルツハイマー病と脳血管障害で約7割をしめています。

この2つの認知症の発症原因を回避することから
認知症予防はスタートするといえます。

近年の研究からは、脳血管障害だけでなく、アルツハイマー病も
運動や食事などの生活習慣が関係していることがわかっています。

生活習慣であれば、多くの場合でコントロールが可能で、
生活習慣を見直すことで、認知症に強い脳とからだ作りが達成されます。

とはいえ、認知症に強い生活習慣を確立するにあたり、
どこに比重を置くかは年代によって変わってきます。

今回は40〜50代が心がけたい
「食事」についてみていきたいと思います。

この年代においては、男女とも
高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防が
最重要健康目標になります。

そのために普段の食事では、
塩分とカロリーのとり過ぎを避けることが大切になります。

厚生労働省では、生活習慣病の予防を目的とした
食塩摂取量の目標値を以下のとおりとしています。

 18歳以上男性:8.0g/日未満
 18歳以上女性:7.0g/日未満

 出典)日本人の食事摂取基準(2015 年版)

しかし、同省が発表している
「国民健康・栄養調査(平成27年)」によりますと、
食塩摂取量の平均値は10.0g であり、
男性 11.0g、女性 9.2gとなっています。

この10年間では、総数、男女とも減少傾向ですが、
もう一つ減塩に向けての取り組みが必要となっています。

また、美味しいものがたくさんあふれている日本では、
意識しないで食べていますと、摂取量が消費量を超えて
カロリーオーバーになりがちです。

カロリーオーバーは体重の増加となって表れやすいため、
その目安として自分のBMI(体格指数)を知っておくとよいでしょう。

BMIの計算式は、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)となっています。

日本ではBMIが25以上で肥満と判定されます。

そして、BMIが22になるときの体重が標準体重で、
統計データ上は最も病気になりにくい状態といわれています。

ちなみにご飯茶碗1杯は約250kcalありますが、
運動でこの分のカロリーを消費しようとした場合、
ジョギング35分(体重60kg)の運動が必要となります。

ということは、今日は運動したからといって、
気が緩んでパクパク食べていますと、不本意ながら
カロリーオーバーになっているかもしれません。

運動でカロリー消費量を増やすことを考える前に、
まずは食事内容を見直してカロリー摂取量を抑えることを
心がけたいところです。

以上まとめますと、
40〜50代に心がけたい認知症予防のための食事内容として、
減塩を意識し、カロリーとり過ぎに注意することが大切です。


タバコを吸い続ける人にとって不都合な事実


認知症予防の観点からしますと、
タバコを吸うことは、認知症の発症リスクを高める
危険因子でしかありません。

ですが、タバコを吸うメリットをことさらに主張して、
むしろ積極的にタバコを吸っている人が少なからずおられます。

喫煙者の中にはタバコを吸うメリットとして、

「ストレス解消になっている」
「喫煙所は社交場にもなっている」
「毎日税金を納めている」

などをあげる人がいますが、今回は
税金(タバコ税)を取り上げたいと思います。

まず日本たばこ協会の発表によると、
2017年10月における紙巻きタバコの販売実績は
121億本となり、前年同月比ではマイナス14.1%でした。

ちなみに紙巻きタバコの販売数は
平成8年の3,483億本をピークに右肩下がりで減少し続けており、
平成27年では1,833億本とピーク時からほぼ半減しています。

タバコには税金(タバコ税)が課せられていますが、
消費量が減れば、タバコ税の徴収額も減るはずですが、
実はほとんど横ばいで推移しています。

参照:たばこ税等に関する資料(財務省ホームページ)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d09.htm

タバコ税は年間2兆円を上回り、
国にとっては貴重な財源となっています。

ただ、税金の徴収額が減っていくのを
国(財務省)が指をくわえて眺めているはずがありません。

とはいえ、このご時世に、タバコをどんどん吸って
(≒税金を納めて)くださいとはいえません。

国は財源を確保するため、喫煙者が減って消費量が落ちた分を
タバコ1箱にかかるタバコ税の増税で補ってきました。

今ではタバコ税の負担は6割にも達しており、
愛煙家は煙を吸っているようでも、
実は国からお金を吸われていたのです。

また、最近流行の加熱式タバコに関しても
国は増税する方向で動いています。

増税により喫煙者が減れば減るほど、
残ったタバコを吸う人の税負担は
さらに重くなっていくことが予想されます。

「毎日税金を納めている」とうそぶいていた人も
あまりの税負担の重さからそうも言ってられなくなりそうです。

ということで、タバコを吸われるお父さんにおかれましては、
家計が火の車になる前にタバコをやめられてはいかがでしょうか?

禁煙は認知症予防につながることはもちろん、
今までタバコによって奪われてきた時間とお金、
さらには精神的自立も取り戻すことができます。


実年齢よりイメージしている年齢が高いと認知症になりやすい可能性


お父さんはご自身の気持ち上の年齢をどのくらいとお考えですか?

NHKドラマ『ひよっこ』の早苗さんにならって

「わしも永遠の25歳じゃわい」

と、そのようにおっしゃるお父さんでしたら、
ちょっと安心することができます。

ご自身の年齢を若くとらえていることは
認知症予防にはプラスにはたらくようです。

といいますのも、高齢者において
実年齢よりイメージしている年齢(主観年齢)のほうが高い場合、
認知症になりやすいと報告する研究があります。

仏国の大学が、65歳以上の高齢者5,748人を対象に
主観年齢と認知症の発症リスクとの関係性について
2~4年間にわたり追跡調査しました。

この研究結果からは、
主観年齢のほうが高い人はそうでない人と比べた場合、
1.3倍近く認知症にかかりやすい傾向にあることがわかりました。

主観年齢が高いということは、
つまり気持ちがすでに老いており、

「もう歳だから」

を言い訳にして何事も倦厭しがちになります。

そうしますと、脳を使わず、身体もあまり動かさない
生活スタイルを送ることになります。

そのような不活性な日常生活の積み重ねの結果として
認知症になりやすいのではと考えられます。

主観年齢は、いわば思い込みの話ですので、
自身のことを若く捉えるのも、老けて捉えるのも自由です。

それでしたら、気持ちではいつまでも「若い」を選択して、
何事にもチャレンジされると、認知症予防につながっていくと思うのです。

————————–
【文献】
Yannick Stephani, et al.
“Feeling Older and the Development of Cognitive Impairment and Dementia”
The journals of gerontology. Series B, Psychological sciences and social sciences.
2016 Jul 19; pii: gbw085.


いい肉(1129)食べよう、たんぱく質補充


中年期の肥満は、生活習慣病や将来における認知症の
発症リスクを高める危険因子となっています。

そのため、中年期を謳歌されているお父さんの食事内容としては、
食べ過ぎの防止など「メタボ対策」に重点が置かれます。

一方で、お父さんの老親のような高齢者の場合は、
いかに身体を弱らせないかという「介護予防」に
重点が置かれることになります。

身体が弱くなれば、活動量が低下して、食べられなくなり、
食べられなくなれば、ますます身体が弱ってしまうという
悪循環に陥りやすくなるからです。

そして、さらに身体が弱れば、寝たきりに陥りやすく、
寝たきりの状態は認知症の発症や進行につながります。

もし、高齢者の身体に関する最近の変化として

・ここ一年で体重が4,5kg近く減っている
・歩幅が狭くなって、同じ距離でも時間がかかるようになった
・筋力が落ちて、ペットボトルのフタが開けにくくなった

などはありませんでしょうか?

このように高齢者が虚弱に陥っているケースでは、
その原因のひとつとして、栄養不足が考えられます。

特に肉を食べる習慣がない高齢者の場合、
食べているつもりでも、たんぱく質が不足し、
隠れ栄養失調になって、身体が弱まっていきます。

肉にはたんぱく質以外にも
身体を作る材料となる”必須アミノ酸”が
バランスよく含まれています。

また、肉は、体内でエネルギーを生み出す際の補助を担う
“ナイアシン”も豊富に含んでおり、パワーの源といえます。

代表的な肉である、牛肉、豚肉、鶏肉にはそれぞれ特長がありますので、
バランスよく、かつしっかりと食べたいところです。

<牛肉>
体脂肪が燃焼される際に消費されるカルニチンや
食物の消化や代謝をサポートする酵素の材料になる亜鉛が
豊富に含まれています。

<豚肉>
糖分がエネルギーに変わる際に消費されるビタミンB1が
豊富に含まれているのが特長です。

<鶏肉>
動脈硬化の引き金となる飽和脂肪酸の量が
牛肉と豚肉に比べて少ないのが特長です。
 ※鶏皮には脂肪が多く含まれています

肉は効率よくたんぱく質をとれる食材のため、
食が細くなりがちな高齢の人へのかけことばとしては

「いいにく(1129)食べよう、たんぱく質補充」

を心がけるとよろしいのではないかと思います。

なお、腎臓病や糖尿病などで食事制限が必要な方は
医師と相談のうえ、食べる量をコントロールする必要があります。


米国における高血圧の診断基準の引き下げから学ぶ危機感


脳血管性認知症は、
主に脳梗塞などの脳血管障害により引き起こされます。

そして、脳血管障害は動脈硬化に起因していますが、
高血圧は動脈硬化の最大のリスク因子となっています。

高血圧は、脳卒中や心筋梗塞、腎不全など
生命に関わる病気の発症リスクに加えて、
認知症の発症リスクも抱えていることになります。

米国での話になりますが、2017年11月13日に
米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)から
高血圧診療の新ガイドラインが公表されました。

高血圧の診断基準が

旧「最高血圧140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上」
  ↓
新「最高血圧130mmHg以上または最低血圧80mmHg以上」

へと引き下げられました。

この診断基準の引き下げにより、
米国成人の半数近くが高血圧の基準をクリアーするという
あまり嬉しくない結果となります。

多くの臨床研究やエビデンスに基づき、
今回の診断基準の引き下げとなりましたが、
従来の基準ではギリギリ高血圧と診断されなかった人も
新基準ではアウトということになります。

これには自分や家族の健康への危機感を意識してもらい、
生活スタイルの改善を促す狙いがあります。

昨今、危機感の欠如という大企業病に蝕まれた企業が
さまざまな不祥事を引き起こしてニュースになっています。

危機感の欠如はリスクを過小評価する傾向があり、
多くの場合で、その過小評価したリスクによって
足もとをすくわれているのです。

これは人の健康の場合でも同じです。

危機感の欠如は、不健全な生活スタイルとなって表れ、
その不健全な生活スタイルはさまざまな病気を招いてしまうのです。

つまり、目に見えている不健全な生活スタイルではなく、
目には見えない「危機感の欠如」こそが本質的な問題なのです。

ちなみに新旧の診断基準で、正常血圧の定義の変更はなく、
「最高血圧120mmHg未満かつ最低血圧80mmHg未満」です。

正常血圧の定義は、日本高血圧学会が定めるガイドラインでも同じ数値で、
この数値では脳卒中の発症率がもっとも低いとされています。

この数値を目標に生活習慣を見直したいところです。

ちなみに生活習慣を見直すときの具体策として

・減量
・健康的な食事
・減塩
・カリウムが豊富な食品の摂取
・運動
・適度な飲酒

などが推奨されています。

血圧が高めのお父さんにおかれましては、
米国の話だからと対岸の火事ではなく、危機感をもって
血圧を下げる取り組みをはじめられてはいかがでしょうか?


認知症の初期サインのひとつ:味覚障害


認知症は加齢とともに発症率が高まる病気のため、
長生きの人は誰でもかかる可能性があります。

また、認知症の発症原因の半数近くを占める
アルツハイマー病は元に戻らない進行性の脳の病気です。

これらのことから、
認知症はどうせ治らない病気、医者にかかっても仕方ない
という人がおられますが、これはあまりよろしくない考えです。

他の病気と同じように認知症においても
早期発見・早期受診が大切になります。

といいますのも、一部の認知症には
脳外科的な処置でよくなる可能性があるものがあります。

つまり、症状を放置する選択肢をとるのであれば、
よくなる可能性の芽を紡いでしまうことになります。

また、もし認知症と診断されたとしても、
早い段階で適切な治療に取り組むことで、
重症になるまでの時間を長くできます。

そして、脳の機能が残っているうちに、
本人も家族も認知症への理解を深め、生活スタイルを見直すことで、
生活や介護での負担やトラブルを軽減することも可能です。

よき未来への可能性を残し、それを広げるには、
早期発見・早期受診が大切ということになります。

早期発見・早期受診には、本人や周囲が
認知症の初期サインに気づくことがポイントになります。

認知症の初期サインのひとつとして、
通常のように味が感じられなくなる「味覚障害」を
指摘する研究者がいます。

味覚は五感の1つで、食べものの味を楽しんだり、
食べてはいけないものを見分けたりするのに必要な感覚です。

味覚障害が起きますと、例えば、

・辛いものが好きだったのに甘いものが好きになる
・味にうるさかった人が文句もいわずに何でも食べる
・料理する人であれば、料理の味付けが変わる

などの振る舞いがみられます。

アルツハイマー型および脳血管性の認知症では、
健常者と比較して、味覚に関する認知機能が低下している
・・という研究報告があります。

舌にある味覚神経が正常にはたらいていても、
電気信号を受け取る側の脳の神経細胞がやられていれば、
正常に味を感じられないためと考えられています。

高齢者を対象に味覚障害の有無を調べることで、
認知症の早期発見・早期診断につながる可能性があります。

また、味覚障害に気づかず放置していますと、
濃い味付けを好んで塩分や糖質の過剰摂取につながり、
高血圧や糖尿病になる可能性があります。

そして、高血圧や糖尿病は認知症の危険因子となっています。

なお、味覚障害は亜鉛不足や薬の副作用によって起きる場合もあります。

認知症の初期サインのひとつに味覚障害がありますが、
味覚障害があるからといって、それが認知症のサインとは限りません。

味覚障害がみられたときは、放置するよりも
専門医への受診や生活スタイルの見直しを検討することで、
よき未来への選択肢の幅が広がることになります。

————————–
【文献】
Suto Ti, et al.
Disorders of “taste cognition” are associated with insular involvement in patients with Alzheimer’s disease and vascular dementia:”memory of food is impaired in dementia and responsible for poor diet”.
Int Psychogeriatr. 2014 Jul;26(7):1127-1138


老害とならないためのとっさの6秒


お店の店員や駅の係員などを相手に、
激昂して大声を上げている高齢者のことが
ときどき話題になります。

よくよく話を聞いてみますと、常識的に考えて、
激昂するほど失礼なことを高齢者がされている
わけではありません。

些細なことでキレる高齢者は「老害」と呼ばれ、
周囲から疎まれる存在になっています。

一時的なキレる感情によって、
社会的評価が下がり、社会とのつながりまで切れるのは
本人にとって不本意なことと思います。

そして、社会とのつながりが失われることは
認知症の発症リスクを高める危険因子です。

老害と呼ばれ、周囲から疎まれる存在とならないためには、
とっさの怒りの感情を抑えることが必要になります。

そのためにはどうすればいいのでしょうか?

まず、加齢で脳機能が衰えることにより、
人は怒りっぽくなりやすいことを自覚しておく必要があります。

怒りの感情は、脳の中心部にある大脳辺縁系で作られますが、
通常は思考や判断を司る前頭葉が怒りを抑えています。

前頭葉が上手く働いているときは、
ここで怒りの感情を発露したとき、相手の気持ちや
その後の状況、自分の社会的評価がどうなるのかを考えて
適切に振る舞うことができます。

今流行の「忖度」ができるということです。

しかし、歳を重ねて前頭葉の機能が衰えますと、
個人差はありますが、怒りの抑えが利かなくなってきます。

また、同時に記憶力や理解力、聴力も衰えますので、
話の行き違いや勘違いも生まれやすくなります。

さらによろしくないことに
当の本人が脳の衰えを自覚していないため、

「悪いのはすべてお前だ」

と言わんばかりに怒りを爆発させてしまうのです。

怒りの感情がむくむくと頭をもたげてきたときは
感情を発露させる前に「6秒」待ってみてください。

この6秒間は、前頭葉が怒りを抑制するのに必要な時間といわれています。

そして、この6秒間を無為に過ごすのではなく、
怒りの抑制に関する格言やことわざを思い巡らし、
いわば言葉に自分を従わせるとよいでしょう。

例えば、次のような怒りの抑制に関する言葉があります

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愚かな者は怒りをことごとく表わし、
知恵ある者は静かにこれをおさえる(聖書)

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怒りは無謀をもって始まり、後悔をもって終わる(ピタゴラス)

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堪忍は無事長久の基、怒は敵と思へ(徳川家康)

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目には目を、歯には歯を(ハンムラビ法典)
 ※やられたらやり返す意味ではなく、
  報復が過度になるのを防ぐのが本当の意味です
  仮にちょっと失礼なことをされたのであれば、
  ちょっと優しく声を出すまでなのです

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脳の衰えにより、怒りの感情を抑えにくくなるのは
仕方がないところがあります。

ですが、とっさの6秒と言葉で自分を躾ける習慣が
自分が怒りに捕らわれること、しいては老害になることから
守ってくれるのです。