薬による認知症予防は、遠い日の花火のように


先日、治療効果が期待されていた
アルツハイマー病治療薬の臨床試験が
一転して中止となりました。

メルク、アルツハイマー病治療薬の臨床試験を中止
期待から一転(参照:dot.)

開発が臨床試験まで進みましたが、
治療薬を投薬した人とそうでない人との間に差がなく
薬に効果がないことが、研究で明らかになったとのことです。

市販化までも期待されていただけに、
関係者の落胆ぶりはさぞかし大きかろうと思います。

これまで、他にも多くの認知症治療薬が開発され、
治験が行われてきましたが、ことごとく失敗に終わっています。

治療薬の開発に取り組んだ研修者たちの情熱は
まるで遠い日の花火のように、人々の記憶の片隅に
とどまるだけになっています、、、

また、仮に臨床試験を経て市販化されたとしても、
人々が薬の恩恵を享受できるまでには、
経済的課題の壁を超える必要があるだろうとの指摘もあります。

アルツハイマー型認知症は、
加齢に伴う脳の老化が主原因なだけに、
薬で認知症の発症を予防するためには、
生涯にわたり飲み続ける必要があります。

となりますと、
国家レベルの社会問題になっている医療費の増大は
かたちをかえて、また登場することになります。

今は薬を使わない(そもそも薬がないですが)方法で
認知症を予防していくしかありません。

安心できることに、これまでの科学的研究から
認知症の発症を遅らせるのに効果的な方法が
あきらかになっています。

その中でも、
「運動」「食生活」「知的活動」「人とのつながり」の
活動を続けることが、効果的な活動といわれています。

さらにありがたいことに、
これらの活動のほとんどはお金がかからず、
しかも、QOLの維持・向上にもつながります。
(薬と違って副作用の心配もありません)

薬に頼らない、お金もさほど必要としない、
しかし、QOLの維持・向上につながる予防が
今後ますます重要視されていくことでしょう。


軽度認知障害(MCI)の人におすすめの一石三鳥の認知症予防とは?


正常な人が認知症予防において目指すべき目標は、
まずは軽度認知障害(MCI)の予防になります。

MCIとは、正常と認知症の中間状態にあたり、
5年間で約50%の人が、認知症にステージが
移行するといわれています。

逆に、MCIから正常に戻る事例も報告されており、
MCIは、認知症において徳俵に足がかかった状態といえます。

MCIにステージが進行したとしても、
この段階で踏ん張り、正常に戻りたいところです。

MCIの時期に衰えをみせる3つの認知機能として、
1)エピソード記憶
2)注意分割機能
3)計画力
があり、これを効率よく鍛えることが、
MCIの予防においても、MCIから正常への復帰においても
大事になります。

今回は、2)の注意分割機能に焦点をあてて
軽度認知障害(MCI)の人におすすめの
一石三鳥の認知症予防についてみてみたいと思います。

もちろん、この方法は
MCIを予防することにもつながります。

注意分割機能とは、
2つ以上のことを同時に行うときに
適切に注意を配る機能のことです。

注意分割機能を鍛えるには、
「○○をしながら、▲▲をする」
いわゆる「ながら」行為がいいとされています。

MCIの人でも取り組めるながら行為としては、
「身近な人と会話をしながら散歩をする」
がおすすめできます。

会話をしながらも、前方に注意を向ける必要があるため、
聴覚、視覚など2つ以上の注意力を使っていることになります。

簡単な行為のように思えますが、
認知機能の低下とともに難しくなりますので、
実はいい認知機能トレーニングになっているのです。

また、歩くことによって、
足腰などの身体の機能を高めることができ、
身体機能の向上は、脳への刺激となって、
認知機能の向上につながります。

そして、身近な人とのコミュニケーションは
人のつながりを強化し、人間関係の質を高めます。

ちなみに、米国ハーバード大学が
700人近くを75年間追跡した研究からわかった
「幸せな人生を送る秘訣」を発表しています。

富を得ること、有名になること以上に
身近な人とのよい人間関係が、
私たちの幸福と健康を高めるという結果でした。

コミュニケーションは
よい人間関係を築く上で土台となるものです。

「身近な人と会話をしながら散歩をする」では、
認知機能と身体機能を鍛えながら、
そのコミュニケーションを重ねていくことができます。

また、親しい人との会話は
ついつい長話をしてしまうものですが、
その分歩く距離が増えることになりますので、
それは願ったり叶ったりな話です。

あと、MCIになると、
新しい活動を続けるのは難しくなりますが、
一緒に散歩する人がいれば、その活動も長続きしやすいです。

長続きする分、認知症予防の効果が期待できることになります。

以上をまとめますと、
「身近な人と会話をしながら散歩をする」ことで、

ながら行為が注意分割機能を鍛え、
歩くことが身体機能を高め、
会話が身近な人との人間関係をよいものにしていく

・・という一石三鳥の効果が期待できるのです。

もし、お父さん方の中に、

「わしが連れと一緒に歩いたのは、
 新婚の時以来の話じゃわい」

という方がいらっしゃいましたら、
是非とも今日からパートナーを誘って、
散歩に出かけてみてはいかがでしょうか?


納得できる医療、後悔しない医療を目指すオンライン病気事典「MEDLEY」


先日2017年3月3日に、都内のイベントホールにて
「ヘルスケア産業の最前線2017」が開催され、
いくつかの先進的な事例報告がなされました。

経済産業省:「ヘルスケア産業の最前線 2017」

その中で、
オンライン病気事典「MEDLEY」https://medley.life/
が紹介されていました。

株式会社メドレー社が
患者と家族、医療関係者の双方にとって
「納得できる医療」「後悔のない医療」を目指して、
取り組まれています。

「知らなかった」という
患者の後悔をなくすために提供されているのが、
オンライン病気事典「MEDLEY」。

500人を超える医師が共同編纂に携わり、
1500種類の病気、3万種類の医薬品などの情報を
カバーしています。

診療の際、医師が困っていることのひとつは
患者が「インターネットには○○と書いてありました」と、
インターネットの情報を選別することなく過信していること。

ある一部上場企業が提供していた
医療健康情報サイトの記事内容の信憑性が問題になり、
ニュースに大きく取り上げられたのは記憶に新しいところです。

インターネットで検索した際、検索結果の上位に
このサイトの記事が表示されていましたので、
多くの人が信憑性に疑問符がつく情報に触れていたことになります。

「インターネットに書いてあることと、先生の説明が違う」と
不安を抱く患者も出てきて、診療の妨げとなっているケースも
あったようです。

とはいえ、インターネット上の数ある医療情報の中から
本物とそうではない情報を見分けるのは、患者にはかなりの負担です。

それよりも、まずは安心できる情報源を
ひとつだけでも知っておくことの方が
患者は安心できますし、負担も軽くなります。

患者にとっては、
病気に詳しくなることが目的ではありません。

病気が治ることが、本来の目的です。

正しい知識を効率よく学ぶことができれば、
治療の意義もリスクもわかり、
病気の治療に専念することができます。

医師にとっても、
信頼がおける医療情報源があれば、
それを活用することで、
病気や治療の説明も効率化します。

となれば、
医師と患者間のコミュニケーションも
今まで以上にスムーズになることになります。

医師と患者間のスムーズなコミュニケーションは、
納得のできる医療、後悔のしない医療を
達成するためには、欠かせない要素です。

納得のできる医療、後悔のしない医療が
もっと身近になれば、日本が抱える社会問題である
医療介護費の適正化も実現していくことでしょう。


体内時計の可視化で睡眠を改善するウェラブル端末


先日2017年3月3日に、都内のイベントホールにて
「ヘルスケア産業の最前線2017」が開催され、
いくつかの先進的な事例報告がなされました。

経済産業省:「ヘルスケア産業の最前線 2017」

その中で、体内時計を可視化して、
睡眠を改善するサービスが紹介されていました。

参考URL:株式会社O:(オー)

不眠で悩んでいる人は、
国内に2000万人以上おり、
睡眠薬常用者は約500万人にのぼる
といわれています。

認知症と不眠を含む睡眠障害との関連では、
認知症が不眠を引き起こすだけでなく、
逆に睡眠障害が認知症の発症リスクを高めることも
あきらかになっています。

また、不眠は
認知症の危険因子であるうつの発症リスクを
高めるといわれています。

不眠を改善することは、
将来の認知症の発症リスクを抑えることにつながります。

不眠の改善といえば、
睡眠導入剤などの薬の服用が考えられますが、
薬の副作用が気になります。

不眠改善する別の方法として、
「CBT-I」という医学的効果が認められた、
薬を使わない認知行動療法があります。

CBT-Iでは、その人の生活習慣や考え方に焦点をあて、
不眠の症状をもたらすような阻害要因があれば、
それを修正することで、不眠を解消しようとします。

O:(オー)では、
腕時計型のウェアラブル端末と
CBT-Iを基にした体内時計コーチングアプリを
開発しました。

睡眠について、眠った時間や目覚めた時間を
ウェアラブル端末が収集します。

集まったデータを解析して、
睡眠のタイミングや光を浴びる時間についての
アドバイスが提供されます。

体内時計のリズムに沿った最適な行動が取りやすくなり、
不眠の改善につながるというです。

なお、CBT-Iでは、診断にあたり
最初に日常の活動記録をとる必要があるのですが、
それはなかなか大変な作業です。

その大変な作業をウェアラブル端末がしてくれます。

 
使用者は意識することなく、
すべての時間の活動情報を記録することができ、

その分精度があがることになります。

また、日中の時間を記録することで、
活動のパフォーマンスがあがる時間帯もわかるようになります。

パフォーマンスが上がる時間帯に生産性が高い仕事をし、
あまり上がらない時間帯は、雑務をこなすという
仕事ができる人がやっているであろう時間の使い方も

多くの人ができるようになります。
 
 
仕事ができる人が増えれば、
無駄な残業も減っていくことでしょう。
 
 
そうすれば、適正な睡眠時間も確保しやすくなります。

睡眠の質は、人生の質に深く関係し、
認知症の発症とも関係しています。

こうしたデジタル機器が普及することで、
多くの方の不眠の解消と将来の認知症発症の抑制が
実現するのを期待します。


介護に変革をもたらすウェアラブル端末


先日2017年3月3日に、都内のイベントホールにて
「ヘルスケア産業の最前線2017」が開催され、
いくつかの先進的な事例報告がなされました。

経済産業省:「ヘルスケア産業の最前線 2017」

その中で、排泄予知ウェアラブル「DFree」が
紹介されていました。

参考URL:「DFree」

※ウェアラブルとは、
身につけて持ち歩くことができる情報端末のこと

ちなみに、DFreeは同時開催の
「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2017」で、
見事グランプリを獲得されています。

日本では高齢化が進み、
深刻化しているのが介護問題です。

介護の中でも「排泄ケア」は、介護者にとっても
要介護者にとっても大きな負担となっています。

一般的な介護施設では、介護職員は、
勤務時間の約35%を排泄ケアに費やしていると
いわれています。

家庭で介護する場合でも、
介護者の排泄ケアの負担は大きいものがあります。

また、高齢になれば、認知症を発症し、
介護状態になる可能性が高くなります。

認知症では、尿意や便意を
うまく感じることができなくなる場合があります。

そして、漏らしてしまった場合、
その場で処理しようと、いわゆる不潔行為が
みられることもあります。

そのため、
介護施設の職員や介護者の負担を減らすため、
おむつが使用されるようになります。

ところが、
おむつを多用することで、寝たきりを助長し、
認知症の悪化やQOL(人生の質)の低下に
つながるとの指摘があります。

さらにおむつを必要とする状態に陥るという
悪循環になってしまいます。

そこで、介護の負担減とおむつからの自由を目指して
排泄時期を予知するウェアラブル端末「DFree」が
開発されたのです。

ちなみに、Dはおむつを意味するDiaperの頭文字とのこと。

下腹部に超音波センサーを装着することで
膀胱や直腸の変化を捉え、解析されたデータをもとに
排泄のタイミングをスマートフォンなどに知らせてくれます。

適切なタイミングのときに、
トイレに誘導できるようになりますので、
スムーズな排泄が実現します。

測定されたデータは、インターネットを通して
人口知能(AI)に送られ、解析されます。

データが蓄積されるほど、精度が高まり
個々人のよりニーズに合った排泄のタイミングを
教えてくれるようになります。

まさに使えば使うほど進化する
ウェアラブル端末の特性を
とてもうまく活用していると思います。

実際に「DFree」を使用している介護施設では、
職員の負担減とおむつ代の削減が実現しています。

なお、2017年2月時点では、尿検知タイプの端末を
介護施設向けに販売している段階とのこと。

今後は開発を進めて、
便検知タイプの端末の提供に加えて、
一般向けにも販売を行うとしています。

認知症予防には、認知症の発症遅延とあわせて、
将来の認知症発症を想定した事前準備も含まれています。

「DFree」のようなウェアラブル端末を使用することで、
認知症の症状を回避しやすくなります。

介護者も要介護者も、
健康で尊厳ある生活を送ることができる介護が
実現することでしょう。


実年齢から身体年齢が評価基準になる時代の到来


日本において少子高齢化と医療費増大が進む中、
経済産業省では、ヘルスケア産業の創出・発展のため、
さまざまな取り組みを支援しています。

国民の健康増進を実現しながら、
医療や介護にかかる費用を抑制し、
ヘルスケア分野における新産業の創出という
一石三鳥の戦略を基本としています。

先日2017年3月3日に、都内のイベントホールにて
「ヘルスケア産業の最前線2017」が開催され、
いくつかの先進的な事例報告がなされました。

参考URL:経済産業省:「ヘルスケア産業の最前線 2017」

その中で「身体年齢」という新しい指標を提唱する
健康スコアリングサービスが紹介されていました。

参考URL:HealthGrid

「身体年齢」は、
身体測定と運動を組み合わせて、
独自のアルゴリズムから算出されます。

実年齢は58歳だとしても
健康的に活動的に生活している人の
身体年齢は38歳ということもありえます、

逆に実年齢は若いのに、
身体年齢はかなり老化が進んでいたという
驚きの結果もあるかも知れません。

身体年齢は、
実年齢に変わる新しい指標として
社会にイノベーションを起こすと期待されています。

ここからは想定される未来を考えてみましょう。

1)生命保険

生命保険の保険料は、
実年齢を基準として計算されています。

若い人よりも高齢の人のほうが保険料は高くなりますが、
それは病気になるリスクが年齢とともに高くなるためです。

身体年齢の評価が取り入れられれば、
実年齢での計算よりも保険料がお得になる人が出てきます。

また、保険料の値下げが
健康活動に励む動機付けにもなります。

健康な人が増えれば、
保険会社の保険金の支払いがその分減り、
保険料がさらに下がることが予想されます。

2)高齢者雇用

従来の実年齢による評価基準では、
高齢の人の採用はなかなか決まらないものです。

身体年齢が採用基準として採用されれば、
実年齢は高くても、身体年齢の若い人の雇用は
進んでいくことでしょう。

実年齢が高くても、身体年齢が若いということは
おおむね自己管理ができることの証左でもあります。

管理職のポストに就くためには、
身体年齢が若いことを条件としてかかげる
企業も出てきています。

実年齢が増えていくことは自分ではコントロールできませんが、
身体年齢の若返りは取り組み次第で実現することが可能です。

3)行動変容のきっかけとして

身体年齢の測定結果は、数値化され、
レーダチャートとして表示されます。

身体年齢を押し上げている項目が一目瞭然なので、
何を重点的に取り組むべきかがわかり、行動変容を促してくれます。

また、実際に取り組んだ後は、
身体年齢の若返りという目に見えるかたちで
成果がわかりますので、活動継続への意欲も湧いてきます。

———-

身体年齢を適用することができる分野はまだまだあると思います。

日本は少子高齢化と人口減少社会を迎えました。

従来と同じように
「人口は増え続け、若い人で高齢者を支える」という考え方では、
この課題を乗り切ることは難しいと思われます。

ですが、
今回ご紹介したような新しい技術の登場により、
新しい考え方、見方ができるようになります。

新しい考え方や見方ができることは、
日本の少子高齢化と人口減少社会の課題を
上手く乗り切っていくきっかけとなることでしょう。


もし、糖尿病治療中に美味しいものが食べたくなったら


糖尿病は、
アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の
いずれも発症リスクを高めることがわかっています。

この2つの認知症は、
認知症全体の発症原因の約7割近くを占めています。

糖尿病の改善は、認知症予防において、
とても大切だといわれてきました。

ですが、糖尿病の疑いがある人は
日本全国で950万人いるといわれています。

糖尿病は、食べることが大好きな人が
かかりやすい傾向にあります。

また、食事を通しての親しい人との
コミュニケーションは、人の幸せと関係しています。

そのため糖尿病治療で伴う食事制限は、
治療中の方にとって大変なストレスです。

美味しいものを制限なく食べたいのに、
親しい人と同じものを食べたいのに、
それができない、、、

こうしたストレスがかえって、
身体の病気を招いてしまっているとも
いわれています。

糖尿病の制限食、いわば健康食というと、
味気ない、もの足りないものというのが
定番のイメージでした。

そうしたイメージは覆るかも知れません。

静岡でホテル経営を営む竹屋旅館さんでは
糖尿病患者でも楽しめるフルコース料理やお菓子を
提供しています。

コンセプトは、
健康食のわりには美味しいではなく、
通常食以上に美味しい健康食だとか。

<参考URL>
「人を幸せにする」フルコース料理 美味しい健康食がヒット
からだ想いの低糖スイーツ「いとをかし」

同社の取り組みは、先進的な事例として、
「ヘルスケア産業の最前線2017(経済産業省主催)」内でも
事例発表が行われています。

フルコース料理の場合でも、
カロリーや糖質、塩分などがきちんと計算されていますので、
制限なく食べられることの「幸せ」を文字通り味わうことができます。

また、健康な家族とも同じ料理を
一緒に食べられる喜びも大きいことでしょう。

いろいろな食品メーカーが商品開発に注力して、
美味しい健康食(糖尿病制限食)が増えていけば、
糖尿病治療は今よりも楽にできると思います。

そうして、糖尿病を改善する人が増えれば、
認知症を発症する人も減っていくことでしょう。

今後の食品メーカーの商品開発に期待したいと思います。

最後になりましたが、
私ども元気人が目指す認知症予防も同じ考え方です。

認知症予防のために仕方なしに
やりたくもない活動をするのではなく、
自分がやりたいことをやって、楽しんでいると
それが結果、認知症予防にもつながっていた。

そして、いつまでも元気に笑顔で暮らせる、
そうした人生の手伝いをしたいと思っています。


JA越後中央様主催の健康講演会において、認知症予防講演を実施


2017年3月5日(日)に、巻文化会館(新潟県新潟市)にて、JA越後中央様からのご依頼で認知症予防講演を実施しました。

東京都健康長寿医療センターの宇良千秋先生が講師として登壇され、「今日からできる認知症予防」という題目で90分にわたり、日常生活に取り入れたい認知症予防についてお話いただきました。

約400名のJA越後中央女性部の方々がご参加され、時折笑いを交えながら、皆さま熱心に講演に耳を傾けておられました。

宇良先生は講演会の中で、「運動、食事、知的活動、社会活動が認知症予防につながるが、どれか1つだけを重点的に行うよりも、全面展開型で行うほうが効果的」「旅行に行く際も、いつものパック旅行から旅程を自分で調べて考えるなど、普段の活動に一工夫加えるだけでも認知症予防につながる」など、認知症予防関連のお話をされました。

新潟といえば稲作を連想しますが、新潟で実施されている、認知症の方に年間の稲作作業を通して、認知症ケアにつなげる試みも紹介されていました。

認知症の方は新しいことを覚えることは難しくなりますが、慣れ親しんだ作業(今回のケアでは、農作業)であれば、身体が覚えてできる人が多いです。

また、農作業は共同作業で行われますので、仲間作りも自然と形成されます。

農業が盛んなオランダでは、ケアファーム(福祉農園)が認知症ケアとして取り入れられており、認知症発症者の重症化予防に加え、農家にとっては新たな収入源や繁忙期の人手不足の解消にもつながっているとのこと。

今回の認知症予防講演をきっかけに、新潟の特性をいかした認知症予防が発展することを期待しています。

当法人がまず目指しているのが、認知症に対してどのようにしていけばいいの?と不安を抱えている方々に、正しい認知症とその予防の知識を提供することで、まずは安心していただくことです。

認知症を100%避けることは、現代の医学では不可能で、全員が認知症を発症するリスクがあります。

ですが、適切な活動を行うことで、認知症の発症を遅延させることは十分に可能です。

もし、高齢者の認知症発症を5年遅らせることができれば、認知症発症者は当初の予想よりも半減(約350万人減)するという試算もあります。

認知症に対する不安を解消し、人生の質を高めるために、認知症の正しい理解と予防方法を、当法人は広げていきたいと願っています。

今回の機会を与えてくださった、JA越後中央の関係者の皆さまに感謝申し上げます。

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一般社団法人元気人では、認知症予防講演会における講師の出張派遣を行っております。

認知症予防研究の専門家や講演歴豊富な認知症予防活動支援士などが、「物忘れと認知症との違いは?」「認知症予防のメカニズム」「認知症になっても、人生の質をさらに上げるには?」などを、最新の研究事例を踏まえながら、わかりやすくお伝えします。

認知症予防の講演会を実施するにあたり、講師をお探しの方は、認知症予防 出張講演のページまでどうぞ。


聴力と認知症の関係


3月3日は耳の日です。

数字の「3」が耳のかたちをしているから
何となく耳の日がはじまったわけではありません。

耳の日を提案した日本耳鼻咽喉科学会は、
難聴と言語障害をもつ人々への想いから
耳の日をはじめました。

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「耳の日」は、難聴と言語障害をもつ人びとの悩みを
少しでも解決したいという、社会福祉への願いから始められたもので、
日本耳鼻咽喉科学会の提案により、昭和31年に制定されました。

(日本耳鼻咽喉科学会のホームページより)
——————————————————

耳の日にちなんで、聴力と認知症の関係についてみていきたいと思います。

人は歳をとるごとに少しずつ聴力が低下します。

人との会話が困難になるなど、
日常生活に支障がでるまで、
聴力が低下した状態を、老人性難聴といいます。

音を拾うアンテナにあたる細胞と、
拾った音(電気信号)を耳から脳に伝える神経の
機能が低下することで、聞こえずらさが生じます。

症状としては、一般的に
高音から聞き取りにくくなります。

人の話し言葉は、母音(あ、い、う、え、お)と
子音で成り立っていますが、子音は高い音域にあたるため、
言葉の最初が聞き取りにくくなります。

特にパ行、タ行、カ行、サ行が
聞き取りにくいといわれています。

そのため、高齢者にとって人の話し声は
「音は聞こえるけれども、何を話しているのかがわかりにくい」
ということになります。

高齢者にとって聞こえずらさは、
人と会って話すことへの不安につながりますし、
外出することへのためらいにもなります。

活動の不活発とコミュニケーションの減少は、
認知症の発症リスクを高める要因そのものです。

実際に、2015年1月に厚生労働省から発表された
新オレンジプランでは、難聴を認知症の危険因子としています。

そのため、認知症予防の観点からは
難聴に対する対応も考える必要があります。

まずは難聴そのものの予防になります。

高血圧や糖尿病などの疾患は、
難聴になるのを早めますので、
生活習慣病の改善に努めることがそのひとつです。

そして、日頃から
大音量では音楽を聴かないことも難聴予防に効果的です。

それでも加齢とともに
聴力が低下することを避けることはできません。

聞こえずらさの症状を感じた場合は、
早い段階で耳鼻咽喉科に受診するのがいいでしょう。

耳鼻咽喉科の医師が、
老人性難聴によるのか他の疾患によるのか、
また、補聴器が必要かどうかを診断してくれます。

聞こえずらさを放置したままであると、
機能が使われないことが続くことで、
言葉を理解する力まで低下してくることがあります。

補聴器は早期装用が望ましく、そのためには、
耳鼻咽喉科への早期受診が必要となります。

老人性難聴と診断されても、
補聴器を適切に使うことで、聞こえずらさを
補うことができます。

聞こえずらさが改善されれば、以前と同じように
人とのコミュニケーションを楽しむことができます。

人と会って、話をする機会が増えれば、
新しい情報が入ってきて、活動も活発化します。

これらはそのまま認知症予防につながっています。


認知症予防のために取り入れたい習慣とは?


今では歩いて移動するよりも
車や電車で移動することが多くなりました。

また、掃除も洗濯も
今では電化製品がほぼ自動で行ってくれます。

そして、インターネットを使えば、
数回のクリックで自宅には必要なものが届きます。

生活は便利になりましたが、その見返りとして
身体を動かすことをしなくなりました。

身体を動かさないことが続きますと、
脳の健康を保つ上では、あまりよろしくありません。

脳の健康を保つには、
脳の血流を増やすことがポイントになります。

脳の血流量を増やすのに
手っ取り早い方法は運動です。

適度に心臓に負担がかかる「有酸素運動」によって、
全身に血液が循環し、脳には酸素と栄養がしっかりと供給されます。

特に有酸素運動は、
認知症と関係の深い前頭前野や海馬の
血流や代謝をよくすることがわかっています。

前頭前野は思考力や判断力を、海馬は記憶を
それぞれつかさどっております。

思考力も判断力も記憶も
人が日常生活を送る上で不可欠な脳の機能です。

認知症予防のためには、
日常生活の中に「有酸素運動」を取り入れたいものです。

その有酸素運動も、
単にやればいいものではなく、
運動強度と回数がポイントになります。

運動強度の目安としては、
「ややきつい」という感覚が得られればOKです。

そして、回数の目安としては、
1回あたり20分〜30分を週3回以上です。

ちなみに、中年期の肥満は
認知症の発症リスクを上げる要因となっています。

有酸素運動を20分以上すると、
体脂肪が効率よく燃焼するようになりますので、
肥満防止にもつながります。

ちょっとした心がけで
運動量は増やすことができます。

ちなみに、

「どのような工夫をしたら、運動量が増えるのか?」

これを考えることも、
これをテーマに家族や友人と話し合うことも
脳の刺激となって認知症予防につながります。