日本人高齢者が認知症になりにくい生活スタイル


今では地球規模の問題になっている認知症。

そのため、世界中の研究機関が
効果的な認知症予防の解明に取り組んでいます。

超高齢社会を迎えた日本も例外ではなく、
国内のさまざまな機関が認知症予防の研究を行っています。

愛知県にある国立長寿医療研究センターの研究者らが発表した
認知症予防に関する研究報告があります。

日本在住の65歳以上の高齢者4,564人を対象に、
生活スタイルと認知症発症との関連を調査しました。

調査結果をまとめたところ、平均して約42ヶ月後に
219人(4.8%)が認知症を発症していました。

認知症を発症した人としなかった人とを統計的に比較したところ、
認知症になりにくい高齢者の生活スタイルが明らかになりました。

<<認知症になりにくい高齢者の生活スタイル>>

・日常的な会話(0.56倍)
・自動車運転(0.63倍)
・ショッピング(0.57倍)
・フィールドワークやガーデニング(0.71倍)

研究者らはこの結果を踏まえて
「高齢者がこれらの生活スタイルを送ることは、
 認知症予防において重要な役割を果たすと考えられる」
としています。

認知症になりにくい生活スタイルとしてわかったのは、
いずれも家の外で行う活動でした。

高齢者の認知症予防を考えるうえでは、
自宅に閉じこもるのではなく、
外に出かけることが大切といえます。

高齢になると、体を動かすのがどうしても億劫になります。

そのため気分にまかせていますと、
外出しないまま一日を過ごしがちになります。

そうならないために、外出の用事を積極的に作るとよいでしょう。

特に人と会う約束は、予防効果がより期待できる
日常的な会話が行われますし、楽しい活動ですから長く続きます。

今回は日本の研究者が、日本人の高齢者を対象にした
認知症予防の研究を取り上げました。

認知症予防がより身近に感じられたのではないかと思います。

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【文献】
Shimada H, et al.
“Lifestyle activities and the risk of dementia in older Japanese adults”
Geriatrics & gerontology international (2018)


江東区社会福祉協議会様での講演会において、認知症予防講演を実施


2018年9月21日(金)に、高齢者総合福祉センター(東京都江東区)にて、江東区社会福祉協議会様からのご依頼で認知症予防講演を実施しました。

東京都健康長寿医療センターの小川将先生が講師として登壇され、「今日からはじめる認知症予防」という題目で120分にわたり、認知症の予防と将来の発症に備えて心がけたいことについてお話いただきました。

区内でボランティア活動をされている約40名がご参加され、参加された皆さまからは大変な好評をいただきました。

小川先生は講演の中で、

「認知症と予防法について正しく理解し、自分にあった認知症予防を実践すること」

「日常的なストレスは認知機能の低下を招くが、人とのつながりがストレスの受け止め方を良くし、予防につながる」

など、認知症予防や将来の認知症に備えたときのお話をされました。

認知症は、脳の老化が影響しているため、誰もがいつかはかかる可能性がある病気です。

健康なうちから予防活動に努めることで、認知症の発症時期を遅らせることが可能性が高まります。

また、早い段階から将来の認知症発症に備えた準備をすることで、選べる選択の幅が広がります。

特に将来の認知症発症に備えて重要となるのは、人とのつながりです。

人とのつながりがある人は、認知症発症後でも、周囲から手助けを受けながら、発症前と変わらない生活を送るくことができます。

今回の認知症予防講演をきっかけに、地域活動と密着した認知症予防が実施されるのを期待しています。

当法人がまず目指しているのが、認知症に対してどのようにしていけばいいの?と不安を抱えている方々に、正しい認知症とその予防の知識を提供することで、まずは安心していただくことです。

認知症を100%避けることは、現代の医学では不可能で、全員が認知症を発症するリスクがあります。

ですが、適切な活動を行うことで、認知症の発症を遅延させることは十分に可能です。

もし、高齢者の認知症発症を5年遅らせることができれば、認知症発症者は当初の予想よりも半減(約350万人減)するという試算もあります。

認知症に対する不安を解消し、人生の質を高めるために、認知症の正しい理解と予防方法を、当法人は広げていきたいと願っています。

今回の機会を与えてくださった、江東区社会福祉協議会の関係者の皆さまに感謝申し上げます。

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一般社団法人元気人では、認知症予防講演会における講師の出張派遣を行っております。

認知症予防研究の専門家や講演歴豊富な認知症予防活動支援士などが、「物忘れと認知症との違いは?」「認知症予防のメカニズム」「認知症になっても、人生の質をさらに上げるには?」などを、最新の研究事例を踏まえながら、わかりやすくお伝えします。

認知症予防の講演会を実施するにあたり、講師をお探しの方は、認知症予防 出張講演のページまでどうぞ。


中高年で禁煙ができない人はせめて休みには○○を


喫煙によって、脳卒中や心筋梗塞、そして認知症など、
さまざまな病気のリスクが高まることがわかっています。

それでも確信犯的に喫煙している人がいる反面、
「どうしてもたばこをやめたい」と思いながらも、
そのまま続けて吸ってしまっている人もいます。

ただ、中高年で禁煙ができない人に、
ちょっと朗報となる研究報告があります。

スウェーデンの研究者らが
1970~1973年の間に満50歳だった男性2,205人を
35年にわたり追跡調査しました。

調査では、開始時に運動量の程度を尋ね、
対象者を3つのグループに分けました。

低グループ)
余暇はじっとして過ごすことが多い

中グループ)
よくウォーキングやサイクリングを楽しんでいる
もしくは、毎週、娯楽的なスポーツやガーデニングを
少なくとも3時間はしている

高グループ)
ハードトレーニングや競技スポーツを定期的に行っている

そして、運動量と死亡率の関連を調べたところ、
「低グループ」→「中グループ」→「高グループ」の順に
死亡率が低下していました。

つまり、運動している人ほど長生きしており、
死に至るような重い病気にかかるリスクが低かったと
考えられます。

また、50~60歳の間に運動量が増えた人について
5年後、10年後の死亡率も調べられています。

その結果を受けて、研究者は
「50~60歳の間に身体活動を増やすことは、
 禁煙と同じくらい死亡率を減少する効果が期待できる」
と語っています。

中高年で禁煙ができないお父さんは、
せめて休日ぐらい家でごろごろしていないで、
体を動かすことが勧められます。

たばこを吸い続けているのに運動をしない
お父さんにおかれましては

たばこを吸うのをやめるのか
それとも何か運動をはじめるのか、

いまここで決断するときがきました。

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【文献】
Byberg L, et al.
“Total mortality after changes in leisure time physical activity in 50 year old men: 35 year follow-up of population based cohort”
BMJ Mar (2009)


30代で肥満だった人は認知症リスクが高い


一般的に30代以降は太りやすいといわれています。

消費カロリーは年々落ちているにもかかわらず、
食べる量や内容が20代の頃とあまり変わらず、

また、仕事や家庭で忙しくなり、活動量も減ってしまうことで、
カロリーオーバになっているためです。

太り気味の30代の人がどきっとする研究報告を、
英国オックスフォード大学の研究者らが発表しています。

研究者らは、英国の全国の病院で1999~2011年の12年間にわたり、
肥満と判定された45万1,232人の患者の診療記録を調べました。

その結果、30代で肥満と診断された人は、
肥満でない人と比べて認知症の発症リスクが
3.5倍も高いことがわかったのです。

40代で肥満と診断された人は1.7倍に、
50代では1.5倍にそれぞれ上昇していました。

肥満の解消に向けて、30代から
食生活の改善や運動に取り組んで減量することは、
将来の認知症予防につながることになります。

減量を実現するうえでは、食生活の改善が特に大切であり、
これを抜きにして運動に励んでも、減量効果はあまり期待できません。

食事は総摂取カロリーを抑えつつも、
栄養バランスがよく、食物繊維の多い食事を
心がけたいところです。

炭水化物(ご飯や麺類)の食べ過ぎや脂肪(肉類)のとり過ぎ、
お菓子の間食、多量飲酒は、肥満につながりやすいため注意が必要です。

また、今回の研究を踏まえますと、認知症予防は
30代からでも取り組むのに早過ぎることはないのです。

「認知症予防は高齢者がするもの」という常識は
今では過去のものといえましょう。

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【文献】
”Early to mid-life obesity linked to heightened risk of dementia in later life”
BMJ-British Medical Journal (2014)


認知症リスクを高める孤独感、睡眠不足が原因かも


人が一人で生きていくのはなかなか大変です。

そのため、人は周囲と役割を分担し、お互いに支え合う
「社会」を構築し、その中で生活することを選んできました。

長年にわたり、人間の身体に社会性を染みこませてきましたので、
人は社会性を損なうと、体の不調となって現れます。

社会的な孤独感をかかえていると、
早死や依存症、ストレス関連の病気につながるほか、
将来の認知症リスクを高めることが指摘されています。

社会的な孤独感には、さまざまな要因が関連していますが、
その一つに「睡眠不足」があることがわかりました。

米カリフォルニア大学の研究者らが、
18名の被験者(平均20歳前後の男女)を対象に、
他人と距離を置きたくなる状況について
心理的な実験をしました。

実験は次のような方法で行われました。

実験者が3m離れたところから、
被験者にゆっくりと近付いていきます。

そして、自分と他人との距離について
被験者が感じた心地よい距離と不快感な距離を
合図してもらいます。

逆に被験者が近づいたり、男女を入れ替えたりして
それらの平均値を算出し、他者と保ちたい距離として
評価しました。

実験から睡眠不足の場合、睡眠が足りているときと比べて、
他人との距離を取りたがる傾向がみられたのです。

また、実際に脳の活動状況をモニターで計測すると、
脳は警戒態勢にあることもわかりました。

睡眠不足だと、他人を邪魔だと感じたり、
実際に遠ざけてしまったりするのです。

さらに、1000人くらいの被験者を
インターネットで募集して調べた実験も行われており、
睡眠の質が悪いほど、翌日孤独を感じる人が多かったようです。

実験結果を踏まえ、研究者らは
睡眠不足が孤独感を生み、引きこもりにつながる
可能性を指摘しています。

個人の価値観により、孤独を好む場合は別ですが、
「何となく人を遠ざけたい」という人は
単に寝不足からそう思っているかもしれません。

しかし、寝不足からでも人を遠ざけてばかりが続くと、
その延長線上には社会的孤立が待っています。

睡眠不足自体もそうですが、
社会的孤立も認知症リスクを高める要因です。

成人の場合、最低でも6~7.5時間の睡眠時間を
確保することが必要といわれています。

まずは睡眠時間を天引きしてから一日の予定を組み立て、
睡眠時間の確保に努めましょう。

なお、平日の睡眠不足を休日にたくさん寝て補おうとする、
いわゆる『寝だめ』は生活リズムが乱れてしまうため、
避けるのが無難です。

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【文献】
Eti Ben Simon, et al.
“Sleep loss causes social withdrawal and loneliness”
Simon EB & Walker MP (2018)