「日本人よ、立ち上がれ」座りすぎが脳に悪影響をもたらすかも!?


今世界では「座りすぎ」が
健康に及ぼす悪影響に注目が集まっています。

例えば、オーストラリアでは、官民一体となって、
座りすぎに警鐘を鳴らすキャンペーンを展開し、
職場では1日2時間以上立って過ごすよう勧めています。

座りすぎは心臓病やがん、早死などの
さまざまな健康問題と関連があることが、
数多くの研究から明らかになっています。

そして、座りすぎは脳に悪影響を及ぼす可能性がある
とする研究結果も発表されています。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームが、
正常な認知機能の45〜75歳までの男女を対象に、
座位時間と運動が脳にもたらす影響を調べました。

分析結果から、座っている時間が長い人は
脳の内側側頭葉の厚さが薄い傾向にあることがわかったのです。

内側側頭葉には記憶を司る海馬があり、この部位が薄くなると、
もの忘れや認知機能障害といった症状が現れるようになります。

つまり、内側側頭葉の部位の厚さを見ることで、
認知症の発症リスクをみることができるのです。

座りすぎると脳に悪影響がある可能性がわかったわけですが、
この研究からはもう一つ衝撃的なことも判明しました。

内側側頭葉の厚さと運動の強度との間には
相関関係がなかったというのです。

研究者たちはこの結果を、
座りすぎによって脳が受けてしまったダメージは
運動しても帳消しできないかもと考えています。

なお、別の調査研究では、
有酸素運動で海馬が大きくなる
という報告があります。

今回の研究では
「運動は座りすぎの影響を相殺する効果がない可能性」
が示された点には興味深いものがあります。

今後のさらなる調査研究が
メカニズムを含めて詳しいことを
明らかにしてくれることでしょう。

以上、今回の研究結果を踏まえると、
週末はしっかりと運動している人も
まったく運動している暇がない人も
日中の座りすぎには注意したほうがよさそうです。

特に働きすぎの傾向がある日本人では、
平日に座っている時間は世界一長いといわれています。

世界20カ国の平均が約5時間に比べて、日本人は約7時間です。
(Bauman A, et al. Am J Prev Med. 2011)

仕事でずっと座りっぱなしのお父さんは、
どれだけ運動する時間を増やそうかよりも
まずは座る時間を減らすことから考えたほうが
いいかもしれません。

具体的に何時間から座りすぎになって
健康被害のリスクがどの程度高まるのかについては
まだ研究段階のようです。

座りすぎを予防する目安としては、
30分〜1時間に1回は立って動くことを
推奨する研究者がいます。

立つ時間になったら、飲み物を取りに行ったり、
同僚との雑談をはさんだり、トイレに行ったりなど、
用事を作って立つようにするとよいでしょう。

スマホの時計アプリなどを使うと、
一定時間ごとにアラームを鳴らせますので、

座りすぎの防止に役立ちます。

ちなみに、喫煙所に行ってたばこ休憩をするでは
あまり意味がありませんので、その点は注意が必要かと思います。

また、なかなか立ち上がれないときは、

座ったままできる
・かかとの上げ下げ
・つま先の上げ下げ
・膝のばし
などの脚の運動を心がけるとよいでしょう。

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【文献】
Sidarth P, et al.
“Sedentary behavior associated with reduced medial temporal lobe thickness in middle-aged and older adults”
PLoS One. April 12 (2018)