ダイエット飲料がもたらす認知症への影響


最近の健康志向から「ダイエット飲料」が
多く販売されています。

ダイエット飲料とは
砂糖の代わりに人工甘味料を使用して
甘みがあってもカロリーがとても低いことが
特徴の清涼飲料水です。

ちょっと気分転換したいときなどに
飲んでいる人もいることでしょう。

ただ、認知症予防の観点からすると、
ダイエット飲料は飲み過ぎないほうがよさそうです。

米ボストン大などの研究チームは、
砂糖と人工甘味料がそれぞれ入った飲料が
健康にどのような影響を及ぼすのかを調べました。

研究対象は米マサチューセッツ州フラミンガムの住民で、
その対象者数は、脳卒中では45歳以上の男女2,888人、
認知症では60歳以上の1,484人でした。

食生活などを質問し、その後10年間にわたって、
どのような人が脳卒中や認知症を発症したのかを調べたのです。

年齢や性別、遺伝などの影響を差し引いて、
ダイエット飲料を1日1回以上飲んでいた人と
全く飲まない人とを比較しました。

すると、前者は後者よりも脳卒中や認知症のリスクが
3倍近く高いことがわかったのです。

ダイエット飲料を日常的に飲んでいる人は
将来認知症になる可能性が高いといえます。

ただ、今回の研究だけからは
ダイエット飲料と発症リスクとの関係が
因果関係なのか相関関係なのかまではわかりません。

つまり、ダイエット飲料を飲むことで
発症リスクが高まるのか(因果関係)

発症しやすい要因(生活習慣など)をかかえている人が
ダイエット飲料を好んで飲んでいただけなのか(相関関係)

まではわからないということです。

とはいえ、この調査研究を踏まえて、
ダイエット飲料との今後の付き合い方は
考えていく必要があります。

ダイエット飲料でなければ、
喉の渇きを満たせないわけではなく、
ほかにも飲み物はたくさんあります。

緑茶やコーヒーのように予防効果が期待できると
指摘されているものもあります。

ダイエット飲料はできるだけ制限して、
水やお茶、コーヒーなどを飲むほうが
認知症予防の観点からは勧められます。

ちなみに、米ボストン大などの研究では、
砂糖入り飲料を飲んでいる場合とそうでもない場合を比較したとこ
目立った影響は見られなかったとしています。

ただ、砂糖の取りすぎは、
肥満や糖尿病などの生活習慣病を招きますが、
これらは認知症の発症リスクを高める危険因子です。

ダイエット飲料から砂糖入り飲料への切り替えも
控えたほうが無難かと思います。

これから暑くなる季節ですが、
夏の甘い誘惑には注意したいところです。

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【文献】
Matthew P. Pase, et al.
“Sugar- and Artificially Sweetened Beverages and the Risks of Incident Stroke and Dementia”
Stroke April (2017)


寝不足でも寝過ぎても高まる認知症リスク


福島の民謡「会津磐梯山」に

♪小原庄助さん なんで身上つぶした
 朝寝 朝酒 朝湯が大好きで
 それで身上つぶした♪

という歌詞があります。

民謡独特のメロディーにのせて
日頃の生活スタイルが身の上にどれほど大きな影響を
与えるのかを教えてくれています。

こと認知症の発症リスクについても、
日頃の生活スタイルからの影響は避けられないようです。

といいますのも、
2018年6月に発表された研究成果から、
認知症リスクの高い睡眠習慣がわかりました。

日本人高齢者において

「睡眠時間5時間未満もしくは10時間以上」
「睡眠薬の使用」

が認知症リスクを高める危険因子であることが
わかったのです。

調査研究は、福岡県久山町に住む60歳以上の方を
対象に実施されました。

ちなみに久山町は、日本の全国平均と
ほぼ同じ年齢・職業分布をしています。

久山町の傾向から日本全体の傾向を知ることができるため、
多くの研究者が久山町での研究に注目しています。

また、九州大学などの研究機関とも距離が近いため、
複数分野からさまざまな研究者が集まりやすく、
多岐にわたるテーマで研究が行われているのも特徴です。

さて、今回発表された久山町での調査研究では、
対象者を1日の睡眠時間(自己申告制)で分類し、
1日の睡眠時間と認知症リスクとの関連を調べました。

1日の睡眠時間の分類は

・5時間未満
・5〜7時間未満
・7時間〜8時間未満
・8時間〜10時間未満
・10時間以上

でしたが、5〜7時間未満の人たちに比べ、
5時間未満の人は約2.6倍、10時間以上の人は約2.2倍
認知症リスクが高いことがわかったのです。

また、睡眠薬を使用していた人と
睡眠薬未使用&睡眠時間5〜7時間未満の人を比べたところ、
前者の認知症リスクは約1.6倍でした。

睡眠習慣レベルでの研究のため、
脳の中でどのようなことが起きているのか、
そのメカニズムまでは明らかにしていません。

子どもの成長と睡眠には密接なかかわりがありますが、
高齢になっても睡眠はおろそかにはできない
・・ということなんでしょう。

睡眠不足も寝過ぎも避けるには、
起床から就寝まで一日のスケジュールを

先に決めておくとよいでしょう。

逆に一日のスケジュールが決まっていないと
状況や気分次第で時間の使い方が乱れがちになります。

まずは睡眠時間を天引きして、
そこから一日のスケジュールを立てるのを

心がけるようにしましょう。

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【文献】
Tomoyuki Ohara, et al.
“Association Between Daily Sleep Duration and Risk of Dementia and Mortality in a Japanese Community”
Journal of the American Geriatrics Society. Jun 06 (2018)