夜勤の人は腹部肥満リスクに注意


日本では、24時間営業のお店がいくつも稼働し、
市場のグローバル化に対応するべく24時間体制の企業も
増えてきています。

厚生労働省と総務省が実施した調査からの推計によると、
平成24年においては約1,200万人の労働者が深夜に働いています。

出典:久保達彦『我が国の深夜交替制勤務労働者数の推計』
   産業医科大学雑誌(2014)

夜間に勤務している人は、睡眠・覚醒のスケジュールと
地球の昼夜や他の生体リズムとのずれが頻繁に起こるため、
いろいろな症状が出やすいといわれています。

その症状のひとつとして、
太りやすさ、特に腹部肥満になりやすいことが
香港の研究者により指摘されています。

お父さん世代の中年期における肥満は
将来の認知症の発症リスクを高める危険因子です。

また、腹部肥満は
心臓病や糖尿病、脳卒中のリスクを高めるため
お父さんにおかれましては注意が必要になってきます。

深夜勤務や交代勤務の健康への影響は全世界で調べられており、
香港の研修者はそれらの研究報告を総合的に分析しました。

その結果、夜勤をする人は
全体的に肥満や過体重になるリスクが1.23倍、
肥満の中でも特に腹部肥満のリスクは1.35倍
であることがわかったのです。

さらに、長期間にわたり夜勤だけの人と
ローテーションで夜勤がある人とを比べると
肥満リスクが29%も高まることが明らかになっています。

この研究では因果関係までは不明でしたが、
多くの研究者が指摘するところでは、
できる限り睡眠不足を避けることが大切としています。

また、夜勤をする人は食事が偏ったり、
運動する機会も減ったりする傾向があることも
指摘されています。

深夜勤務や交代勤務に従事している人は、
職業病ともいえるかもしれませんが、
太りやすいバイアスがかかっています。

バランスのとれた食事を食べ過ぎないことに気を配り、
しっかりとした運動と睡眠を心がけたいところです。

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【文献】
M Sun, W Fengi, et al.
“Meta-analysis on shift work and risks of specific obesity types”
Obes Rev. Oct 4 (2017)


だから話そう!そして、笑おう!


日本は、医療の充実などを背景に高齢化率27%以上という
世界でも例をみないほどの超高齢社会になりました。

この超高齢社会の中、高齢者の自殺は
深刻な社会問題の一つとなっています。

人類は太古から長寿の実現を目指し、
日本ではそれが現実のものになってきていますが、
その裏で自ら命を絶つ人がいるという現状をみますと、
心に痛みを覚えます、、、、

そうした自殺を考えている人に
何かしら手を差し伸べられないかと思うのですが、
ひとつ手がかりとなる米国の研究結果があります。

米国テキサス大学の研究者が、
2005〜2014年に傷害で亡くなった人のデータを分析しました。

その結果、50歳以上の自殺者のうち約1/4が
その意思を周囲に打ち明けていたことがわかったのです。

また、高齢になるほど、打ち明ける自殺者の割合が高まり、
健康上の問題の場合、自殺の意思を打ち明ける傾向にあるとのこと。

そして、自殺前にその意思を打ち明けた相手として、
多かったのは配偶者や家族でした。

この研究結果を踏まえるのであれば、
家族にとって不本意で悲しい自殺を、
防止できる機会があるということになります。

自殺をほのめかすような話が家族から出たときに
自分の価値観から説得したり、評価したりすることなく、
傾聴と共感、受容の姿勢で、誠意をもって相手の話を聴くこと。

安易に励ますことも、軽くあしらうこともなく、
相手の存在、これまでしてくれた行為に感謝を伝えること。

こうしたコミュニケーションの積み重ねが、
本人の自殺を思いとどまらせるきっかけになります。

また、日頃からの充実したコミュニケーションは
高齢者の自殺に関係しているうつの予防にもつながります。

同時に人とのコミュニケーションは前頭葉を活性化させますので、
認知症の予防や発症遅延も期待することができます。

コミュニケーションの中に笑いがたくさんあれば、
心身にさらなるプラスの影響をもたらしてくれます。

日本では高齢者の認知症も自殺も深刻な社会問題となっています。

周囲とのコミュニケーションが充実していくことで、
認知症の予防や発症遅延、うつの防止につながるとともに、
もしもの自殺を思いとどまらせることにもなります。

もし、ご無沙汰している家族や友人がいましたら、
久しぶりに連絡をとってみてはいかがでしょうか?

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【文献】
Namkee G Choi, et al.
“Older Suicide Decedents: Intent Disclosure,
Mental and Physical Health, and Suicide Means”
American journal of preventive medicine. Sep 25 (2017)


脳の健康を保つ7つの生活スタイル


脳が正常に機能するには、
血液が運んでくる酸素や栄養素が不可欠です。

脳は重さにしたら、体重の2%ほどですが、
脳の酸素消費量やエネルギー消費量は
全身の約20%に相当するといいます。

しかし、脳に酸素や栄養素を運ぶ血管は、
加齢とともに動脈硬化が進み、血液の流れが悪くなってきます。

不健康な生活スタイルは、動脈硬化をさらに促進し、
脳の血管にとっても悪影響を及ぼします。

そのため、動脈硬化が進みやすい生活をおくっていると、
高齢になったときの脳血管障害や認知症の危険性が高くなります。

米国心臓病学会(AHA)では、心臓病や脳卒中を予防するために
健康的な「7つの生活スタイル」を提唱しています。

この7つの生活スタイルを心がけることで、
脳に限らず身体全体の健康を保つことにつながります。

1)高血圧を管理する
高血圧の予防には、肥満を防ぐ、塩分の摂取量を減らす、
治療中の人は薬をきちんと飲むが大切になります。

2)コレステロールを管理する
悪玉のLDLコレステロールを減らすには、
動物性食品を減らして、野菜、海藻、果物を増やすなど
バランスよく食べることが必要になります。

3)血糖値を下げる
バランスのよい食事、運動、ストレス解消、充分な睡眠が
血糖値を下げることにつながります。

4)運動する
1日30分のウォーキングなどの運動を
週に5日以上続けて、週に合計2.5時間行うのが理想。
1回10分の運動を3回に分けて行っても効果があるとされています。

5)健康的な食事
1日3食をしっかりと食べ、野菜や果物、海藻、大豆食品、
魚類などを十分にとることが勧められています。

6)標準体重を維持する
肥満を防ぐには、まず食べ過ぎを抑えること。
体重を朝晩はかって記録すると、食べ過ぎを抑えるのに効果的です。

7)禁煙
脳の健康を保つには、脳の血流量を保つことが必要ですが、
それは禁煙すれば実現します。

出典:米国心臓病学会(AHA) 一部改変

心臓病や脳卒中、しいては将来の認知症の原因となる動脈硬化は、
30歳を過ぎた時点ですでに始まっているといわれています。

人は失ってからその大切さに気づくといいますが、
血管の若さを失ってからその大切さに気づいても遅いのです。

まずは一つだけでもいいので、
今日から取り組みをはじめてはいかがでしょうか?


週1時間だけでも運動をはじめてみませんか?


高齢期のうつは認知症の発症リスクを高めることが、
多くの研究からわかっています。

これといった理由がないのに抑うつ気分が続くなど、
うつの症状が疑われる場合は、早めの対応が大切です。

昔と比べて、うつの治療法が確立されてきていますが、
身体の病気と同じように、うつも予防するに越したことはありません。

このうつの予防として、
強度に関係なく週1時間だけでも何らかの運動をすると、
将来のうつの発症リスクが低下する可能性が指摘されています。

これはノルウェーの成人約34,000人を対象に
約11年間にわたり追跡調査した研究からわかりました。

研究開始時に全く運動していなかった人を
週に1〜2時間運動していた人と比べたところ、
うつの発症リスクが44%高いことがあきらかになりました。

運動強度には関係なく、ウォーキングといった軽い運動でも、
うつの発症リスクの低下が期待できたのです。

ただ、今回の研究では運動時間が週2時間を超えても
うつの発症リスクがさらに低下する傾向はありませんでした。

メンタル面の健康を考えるのであれば、
週に1時間の運動は取り入れたいところです。

ちなみに週に1時間とは、割合にしてたった0.6%で、
しかも、運動の種類は何でもいいときています。

これまで全く運動してこなかった人でも
これぐらいならできそうな感じがします。

人生は健康がすべてではありませんが、
健康を失うと、多くのものを失います。

週に1時間を運動に投資しても失うものはないばかりか、
メンタル面の健康というリターンが期待できます。

ノーリスクでハイリターンの投資、
すなわち週1時間の運動をはじめてみませんか?

ちなみにこれはメンタル面の話ですので、
肉体面の健康も考えるのであれば、
運動時間はもう少し増やすとよいでしょう。

その場合、メンタル面と肉体面の健康という
ダブルのリターンが期待できます。

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【文献】
Samuel B Harvey, et al.
“Exercise and the Prevention of Depression: Results of the HUNT Cohort Study”
The American journal of psychiatry ; appiajp201716111223 (2017)


頭痛持ちの人の認知症リスクは2倍


日頃から慢性的な頭痛に悩まされている
頭痛持ちの人は少なくないようです。

日本人に最も多いといわれているのが「緊張性頭痛」で、
『ジワーっと痛い』『頭全体が重く圧迫される』という
症状がよくみられます。

その名のとおり、筋肉の緊張からコリが生じ、
そのコリにより痛みが起こるとされる頭痛です。

また、若い女性に多くみられるのが「偏頭痛」で、
『こめかみが脈を打つようにズキズキと痛む』を
訴える人が多いです。

これらの頭痛持ちの人と認知症の発症リスクとの
関連性を調べた調査研究があります。

台湾に住む頭痛持ちの人3,620人と
性別と年齢をあわせたそうでもない人10,860人とを
データベースより抽出し、10年間の追跡調査を実施しました。

認知症の発症リスクについて比較したところ
頭痛持ちの人は認知症の発症リスクが
2倍近く高いことがわかりました。

ただ、頭痛持ちだとなぜ認知症の発症リスクが高まるかの
メカニズムについてはさらなる研究が必要としています。

慢性的な頭痛で脳に器質的な変化が生じてないか心配になりますが、
この研究からは脳血管性認知症との関連は認められませんでした。

慢性的な頭痛への対処法として、

緊張性頭痛の場合、
ストレスをためない、同じ姿勢を続けない

片頭痛の場合、
自分の片頭痛を起こすトリガー(誘引)を避ける

とされています。

まずは自分の頭痛のタイプを知って、
自分でできる対処法から選んでいくとよいでしょう。

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【文献】
Nian-Sheng Tzeng, et al.
”Headaches and Risk of Dementia”
The American journal of the medical sciences;353(3);197-206 (2017)


【セミナー報告】認知症予防セミナー:認知症予防を実のあるものにする行動変容の理論と実際


2017年10月21日(土)に、LEC東京リーガルマインド水道橋本校(東京都千代田区)にて、認知症予防セミナー「認知症予防を実のあるものにする行動変容の理論と実際〜運動習慣を身につけてもらうコツ〜」を開催しました。

セミナーの概要についてはこちらです。

まずは今回のセミナーの開催は、LEC東京リーガルマインド様のご協力をいただき、実現することができました。

ご尽力いただきました関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。

一般社団法人元気人では、大学や研究機関に蓄積されている認知症予防の知見や最新の研究成果を、より早くよりわかりやすいかたちにして、認知症予防の現場で必要とする方々にお届けするべく、定期的にセミナーを開催しています。

今回のセミナーでは、認知症予防の専門家として、東京都健康長寿医療センター 宇良千秋先生をお招きし、「認知症予防を実のあるものにする行動変容の理論と実際〜運動習慣を身につけてもらうコツ〜」というテーマでお話しいただきました。

認知症予防をテーマにした書籍や番組、講演会などでは、「何を」したら認知症予防につながるのかはよく語られます。

しかしながら、「どうしたら」認知症予防を実践して、長続きしてもらうかの方法についてはあまり語られません。

今回のセミナーでは、何をしたら認知症予防につながるのかよりも、どうしたら認知症予防が習慣になるのかに着目しました。

宇良先生はお話の中で、

「自分を着飾ることなくオープンに話をするなど、まず相手との信頼関係を築くことが大切になる」

「認知症予防につながるからの理由でやってもらうよりも、相手の興味・関心と認知症予防を絡めて取り組んでもらうほうが習慣化しやすく、効果的である」

「対象者の関心の度合いに応じて、アプローチを変化させていく必要がある。例えば、ある程度長続きした人には他の人のサポート役の役割が与えられることで、新しい目標が生まれ、中だるみの防止にもなる」

「習慣化のコツにはいろいろあるが、他人から励ましや賞賛を受けることの効果は大きく、それ自体が脳への報酬となり、行動が強化されやすい」

など、「行動変容」と「習慣形成」を切り口に、認知症予防の実践について説明されました。

ご参加いただいた方にはアンケートをお願いしましたが、ほとんどの方からご満足の声をいただき、主催者側として大変喜んでおります。

当日ご参加いただいた方からは次のようなお声をいただいております。

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認知症予防事業を実施するうえで、参加者自身が自宅でも継続して取り組めるために何をすべきなのかを学びに来ました。
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複合的予防対策をとるべきで、今後の認知症者の増加を食い止める活動は重要であることがわかった。
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運動行動の変容ステージにあった支援が必要であり、継続できるような関わりをその方の価値観に合わせて実施することの必要性を学ぶことができた。
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家族の認知症が心配で運動習慣を身につけてもらうを学びに来た。
事例になるほどと思うことが多く、とても理解できた。
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家族や友人への情報発信と運動習慣の定着のヒントを得るために参加しました。
実体験で感じていたことが明確になり、やるべきことやヒントが得られました。
今日教えていただいた本も買ってみます。
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認知症について知識・理解が深まった。
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ご参加いただきました皆さまに改めて感謝申し上げます。

一般社団法人元気人は、地域の認知症発症を予防し、誰もが笑顔で元気に暮らせる社会を実現したいと考えています。

そのためには認知症予防に携わる人材育成が不可欠であり、今有益な情報をお届けできるように、今後もこうした勉強会を継続して実施する予定です。

開催中のセミナーについてはこちらからご確認いただけます。


みかんと認知症予防と私


日本の冬にはかかせないこたつ。

朝夕の冷え込みが厳しくなり、
こたつを引っ張り出してくると、
冬の到来を感じます。

こたつで食べるものの定番といえば、
「みかん」を思い浮かべる人も多いのではと思います。

このみかんを含めた柑橘類が
認知症予防に効果的とする調査研究がありますので、
ご紹介します。

東北大学の研究者が、
1万3千人以上を約6年間追跡調査し、
認知症の発症率を調べました。

その結果、柑橘類を毎日1個摂るようにすると、
週に2個以下の人と比べて、認知症の発症リスクが
23%ほど抑えられることがわかりました。

みかんにはビタミンCや水分が豊富に含まれているため、
風邪予防や水分補給にもつながります。

冬の季節には積極的にみかんを食べたいところです。

他の果物ですと、包丁を持ちだして皮をむく
ちょっと面倒な作業が必要となります。

みかんの場合、手で皮をむいたら
そのまま食べられる手軽さがあります。

また、みかんの旬となる冬の時期は、
どこのスーパーでも販売しているため、手に入りやすく
果物の中でも値段は割と安めです。

みかんには、
入手しやすさ、値段の安さ、食べやすさの
三拍子がそろっており、なるべく毎日摂取して
健康につなげたいところです。

そして、みかんを食べながら
家族や親しい人と会話を楽しむのであれば、
それも認知症予防につながります。

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【文献】

Shu Zhang, et al.
“Citrus consumption and incident dementia in elderly Japanese:
the Ohsaki Cohort 2006 Study”
The British journal of nutrition ; 117(8) : 1174-1180 (2017)


肥満にはお金がかかるというお話


生活習慣病の元といわれている肥満。

日本ではBMI(体格指数)が25以上で肥満と判定されます。

 ※BMIの計算式:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

肥満になると、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの
病気にかかるリスクが高まります。

中年期の肥満は認知症の発症リスクを高める危険因子でもあるため、
認知症予防の観点からも、肥満解消に努めたいところです。

実際には肥満のすべての人に
数値の異常がみられるわけではなく、
数値上は健康扱いの人もいます。

ただ、今は健康であっても肥満の人は生涯にわたり、
医療費や保険料、生産性の損失といった社会的コストを
たくさん支払うことがわかりました。

米国での研究になりますが、
米国成人の大規模な健康データを元に、
肥満の人が生涯でかかる病気や健康状態を追跡し、
シミュレーションを用いて費用を算出した研究があります。

肥満な人と適正体重の人とを比べた場合、
医療費や保険料、病気による稼ぎの目減りなど、
金額にしてどのくらいの差になるのかを推定したのです。

その結果、数値上は健康でも肥満の人では、
適正体重の人と比べて生涯にかかる社会的コストは
大きく増えることがわかりました。

最も費用が高かったのは、ちょうどお父さん世代の
50歳モデルで約406万円でした。

米国の例ですから、この金額をそのまま
日本の場合にあてはめることはできませんが、
日本でも高級車一台分ぐらいはかかっていそうです。

もし、会社から一年間ただ働きしてくれといわれたら、
さすがに温厚なお父さんでも、激おこぷんぷん丸のスタンプで
抗議したくなるのではと思います。

肥満によって生じる、本来は無用だった社会的コストは
可視化されにくいため、なかなか気づかないのですが、
肥満のお父さんは適正体重のお父さんと比べて、
それぐらい手元に残るお金が変わってくるのです。

先行き不透明の中、家計を引き締めている方が多いですが、
是非ともウエストの引き締めにも気を配りたいところです。

「肥満はコスト」なのですから、
ウエストの引き締めはそのまま家計の引き締めにも
つながっているのです。

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【文献】

Fallah-Fini S, et al.
“The Additional Costs and Health Effects of a Patient Having Overweight or Obesity”
Obesity (Silver Spring) ; 25 : 1809-1815 (2017)


イチョウ葉エキスに認知症予防効果はある?なし?


東京大学の校章になっている「銀杏(イチョウ)」。

イチョウは、東大はおろか
恐竜がいた時代よりも昔から生息していたとされ、
その起源から「生きた化石」と称されるほどです。

古代の中国ではイチョウのもつ薬効に注目し、
種は漢方薬として何千年も前から使われています。

また日本では、イチョウの葉から抽出したエキスは、
民間療法として、喘息や気管支炎、耳鳴りなどの治療で
用いられてきた歴史もあります。

イチョウの葉には、強い抗酸化作用(老化防止作用)があり、
神経細胞の保護作用や脳の血流改善作用が期待されてきました。

そのため、イチョウ葉エキスは、
アルツハイマー病や他の認知症にも効果があるのではという
仮説のもと、数多くの研究がなされてきました。

イチョウ葉エキス製品(EGb-761)を用いた米国の研究から、
高齢者の認知症やアルツハイマー病に対する発症抑制の効果は、
「ない」ことがわかっています。

EGb-761はドイツDr.W.シュワーベ製薬が開発した
イチョウ葉エキス製品の商標で、イチョウ葉エキスの
標準的な製品に位置づけられています。

つまり、業界のスタンダード製品を使って実験してみたけれども、
効果が見られなかったのです。

さらにデータを分析した結果、イチョウには
認知機能の低下を遅らせたり、血圧を下げたり、
高血圧の発症を抑えたりする効果も「ない」ことが
明らかになっています。

イチョウ葉エキスの効果が期待できないとする論文が
他にも報告されており、認知症予防については
過度の期待はしないのが無難といえます。

また、海外では医薬品として扱われるほどであり、
過剰摂取や薬との併用で思わぬ副作用の可能性もあります。

なお、日本ではイチョウ葉エキスは、
サプリメントとして手軽に入手することができますが、
アレルギー物質のギンコール酸をしっかり除去していない
製品もあるようです。

以上を踏まえますと、
認知症予防を期待してイチョウ葉エキスを飲み続けるのは、
賢い選択ではないといえます。

認知症予防は長く続けてこそ効果が期待でき、
それこそ死ぬまで続けることが望ましいため、
コストパフォーマンスの視点も大切にしたいところです。

そのコストパフォーマンスのよさからいえば、
科学的根拠がたくさんあり、お金もさほどかからない
「運動」に軍配があがります。

また、運動しているお父さんでしたら、
していないお父さんよりもモテる可能性があるため、
モテパ(モテるパフォーマンス)の高さも見逃せないと思うのです。
(残念ながら、これは個人の体験談になります)

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【文献】

Snitz BE et al.
“Ginkgo biloba for preventing cognitive decline in older adults:
a randomized trial”
JAMA ; 302(24) : 2663-2670 (2009)


働き盛りのお父さんにこそ運動が必要な理由


運動が心身ともに健康に寄与することは多くの人が知っています。

ですが、知っている=やっているとは限らないものです。

身体を動かして運動してこそ、健康につながるものですが、
実際にどのくらいの人が運動しているものでしょうか?

厚生労働省が発表した平成28年「国民健康・栄養調査」によると、
運動習慣がある人の割合は男性で約35%、女性で約27%でした。

 ※運動習慣がある人とは、1回30分以上の運動を週2回実施し、
  一年以上継続している人と定義されています

これは全年代をトータルした数値になりますが、
年齢別にみてみますと、その割合は男女ともに
30〜40代が低い傾向にあります。

ちなみに最も低いのが30代で、
男性約18%、女性約10%という割合になっています。

30〜40代は働き盛り、子育て盛りで、
仕事や家事、育児などで公私ともに忙しく、
運動したくてもなかなか時間がとれない人が多いと思います。

ただ、それでも時間を割いて運動をしたい理由が、
別の統計データから示されています。

スポーツ庁の「平成28年度体力・運動能力調査」によると、
30~40代の体力低下が、ほかの世代に比べて深刻であることが
わかりました。

体力テストの点数の低下は、運動習慣のなさからきていますが、
30〜40代では特に持久力と瞬発力の点数がよくありませんでした。

これは筋力全般が衰えていることを意味しており、
高齢期におけるロコモティブシンドローム、
しいては要介護状態を招きやすい要因です。

また、アミロイドβというタンパク質のゴミは、
アルツハイマー病の原因物質と考えられていますが、
40代以降から脳内にたまりはじめるといわれています。

認知症において、運動不足は危険因子であり、
運動習慣は抑制因子であります。

この時期から運動に努めることは、体力低下を防ぎつつ、
将来の認知症予防や発症遅延にもつながります。

特に今の30〜40代が高齢期を迎える2060年は、
2.5人に1人が65歳以上になると推計されています。

この頃の介護労働力の不足は今の比ではなく、
望む介護を受けられない可能性が高いと思われます。

つまり、健康を維持して、要介護にならないことの価値が
さらに高くなることになります。

健康は日常生活における習慣の積み重ねです。

しかも運動は投資した分だけ健康へのリターンが見込める
確実性の高い活動のひとつです。

株式投資をされているお父さんも多いかと思いますが、
投資に対する確実性と得られる価値からしますと、
運動しない理由はありません。

運動習慣がない人は
まずは歩くことからはじめてはいかがでしょうか?

例えば、日頃使っている
エレベーターやエスカレーターの利用を止めて
階段で登り降りするだけでも、運動効果は期待できます。

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【参考】
平成28年「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)

平成28年度体力・運動能力調査(スポーツ庁)