(研修報告)指導者のための認知症予防運動プログラム研修


先日2017年9月23日(土祝)に都内にて、
「指導者のための認知症予防運動プログラム研修」
を開催しました。

研修の概要についてはこちらです。

研修当日の様子を報告しながら、
認知症予防を指導する際に心がけたいポイントを
お伝えしたいと思います。

「体を使う運動課題」と「頭をはたらかせる認知課題」の
2つを同時に行うエクササイズが、認知症の予防や発症遅延に
効果的であることがわかっています。

認知症予防の対象者が、このエクササイズを
楽しみながら習得できるようにまとめられたのが、
「認知症予防運動プログラム(コグニサイズ)」です。

参考映像:NHK認知症キャンペーン 認知症予防運動プログラム(1)
https://youtu.be/vC7e5uG-JWM

このプログラムは国立長寿医療研究センターが開発しました。

「手軽に楽しくできる認知症予防運動」として、
NHKをはじめとする多くのメディアから取り上げられ、
普及を目的とした書籍も出版されています。

今回の研修は、認知症予防の指導者を対象に、
開発元である国立長寿医療研究センターから
二人の講師をお招きして行われました。

研修内容は、認知症予防運動プログラムの
「理論」と「実践」をそれぞれに学ぶ二部構成でした。

理論部分は、数々のメディアにも登場実績がある
島田裕之先生に登壇いただきました。

運動課題と認知課題を同時に行うエクササイズが
認知症の予防や発症遅延に効果的であることを、
科学的根拠を踏まえながらお話されました。

認知症予防の現場では、
「何が」認知症予防に効果的であるかを伝えると同時に、
「なぜ」それが効果的であるのかという理由(メカニズム)も
語られる必要があります。

人は納得しなけば動かないし、
動いたとしても長続きはしないからです。

運動が認知症予防にいいことは多くの人は知っていますが、
なぜいいのかというその理由(メカニズム)までを
わかりやすく説明できる人はそうそういません。

島田先生はわかりやすい解説に定評があります。

研修ではそのわかりやすい解説の仕方を間近に見ることができ、
この視点で受講されていた方は学びも多かったと思います。

次に実践部分は、数多くの現場で
認知症予防運動プログラム(コグニサイズ)の指導経験がある
堤本広大先生が担当されました。

研修を受講された皆さんは、実際にプログラムの参加者となって、
身体を動かしながら、指導の仕方やその際のポイントを学びました。

認知症予防運動プログラムは、
運動課題+認知課題という組み合わせで構成されているため、
参加者の状態に応じて難易度を調整しやすいことが特徴です。

例えば、比較的年齢が若く元気な高齢者が参加者の場合、
たやすくできては認知症予防として効果はあまり期待できません。

運動負荷を強くしたり、難しい認知課題に切り替えたりすることで、
プログラムの難易度を上げることができます。

また、運動に限らず、認知症予防は継続が大切になってきますが、
同じことにずっと取り組んでいますと、飽きが来やすいものです。

途中で活動を止めないようにさせるしくみが必要になってきますが、
グループで行うと継続しやすいことが現場経験からわかっています。

そのため、認知症予防の現場では、
参加者同士がいい雰囲気のグループを作れるように
場全体を導いていくことも、指導者には求められるのです。

当日ご参加いただいた方からは次のようなお声をいただいております。

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認知症カフェやサロンで認知症予防体操を行いたいため参加しました。
地域で教室を行うときに使えるアイデアをいただきました。
楽しかったと笑っていただける教室にしたいと思います。

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認知症予防運動をより効果的に指導・実践していくために参加しました。
認知症を取り巻く現状や将来へ理解が深まりました。
頭と身体を使った運動の提供方法について楽しく学ぶことができました。

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施設で認知症予防プログラムを実施するために参加しました。
実際に指導するうえでのポイントを学ぶことができ、
理解を深めることができました。

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アミロイドβを増やさない、海馬を大きくする(維持する)ことの
重要性がよく理解できました。

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ご参加いただきました皆さまに改めて感謝申し上げます。

一般社団法人元気人は、地域の認知症発症を予防し、
誰もが笑顔で元気に暮らせる社会を実現したいと考えています。

そのためには認知症予防に携わる人材育成が不可欠と考えており、認知症予防のプロフェッショナルである「認知症予防活動支援士」という認定制度を設立しました。

認知症予防活動支援士の認定制度についてはこちらからご確認いただけます。


【セミナー報告】今日からはじめる認知症予防セミナー~運動による認知症予防の可能性~


2017年9月23日(土祝)に都内にて、認知症予防セミナーを開催しました。

セミナーの概要についてはこちらです。

一般社団法人元気人では、大学や研究機関に蓄積されている認知症予防の知見や最新の研究成果を、より早くよりわかりやすいかたちにして、認知症予防の現場で必要とする方々にお届けするべく、毎月セミナーを開催しています。

認知症予防の専門家として、国立長寿医療研究センター 予防老年学研究部 部長 島田裕之先生をお招きし、「今日から始める認知症予防セミナー~運動による認知症予防の可能性~」というテーマでお話しいただきました。

島田先生はお話の中で、

「認知症は人生の晩年でかかりやすい病気のため、
 発症時期を遅らせることができれば、
 認知症にならずに寿命を全うすることも可能。
 発症時期を少しでも延ばすのはとても意味があること」

「認知症予防では、認知的予備力の向上、脳のダメージを防ぐ、
 脳の炎症を抑えるが大切になってくる。
 これら3つに有効にはたらくのが運動である」

「健康のためにもう少し運動する機会を増やしていく必要があり、
 足全体をのせてゆっくりと階段を登るだけでも運動効果がある」

「脳の活動を支えている代表的な栄養分であるBDNFは、
 複雑な環境下のほうがたくさん出ることがわかっている。
 運動しながら頭を使うことは効果的な方法である」

など、運動がもたらす認知症予防の効果をわかりやすく解説されました。

当日ご参加いただいた方からは次のようなお声をいただいております。

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認知症という言葉だけが一人歩きをし、不安や恐怖がいたずらに誇張され、
偏見が高まっていることも、今の社会の密かな課題だと感じています。
本当に正しい認知症の知識を身につけることで、偏見や差別から生じる
認知症の重度化を予防・軽減できるのではという希望を見出せました。

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身近に迫る両親の老い、自分自身の老後を考え、明るく元気で過ごす
方法を知りたくて参加しました。
早い時期から運動を取り入れて、認知機能の低下を防ぎたいです。

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現在、実践している認知症予防教室などに深みを増したいため参加しました。
認知症の理論から運動の予防効果までを改めて理解することができました。

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70歳以上のまだ認知症でない高齢者に、認知症予防をしてもらいと考えており、
その考え方や手口を学ぶために参加しました。
現時点では負荷をかけた運動(コグニサイズ)が有効であることがわかりました。
また、その負荷の目安も理解できました。

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認知症について、乗り切れる自信をもつことができました。

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最新データの紹介はありがたかったです。
ウォーキングの認知症予防講座を担当しているので、大変参考になりました。

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ご参加いただきました皆さまに改めて感謝申し上げます。

一般社団法人元気人は、地域の認知症発症を予防し、誰もが笑顔で元気に暮らせる社会を実現したいと考えています。

そのためには認知症予防に携わる人材育成が不可欠と考えており、認知症予防のプロフェッショナルである「認知症予防活動支援士」という認定制度を設立しました。

認知症予防活動支援士の認定制度についてはこちらからご確認いただけます。


認知症予防に向け「全国認知症予防ネットワーク」発足


2017年9月4日 (月)に、
東京・永田町の衆議院第一議員会館において、
「全国認知症予防ネットワーク設立総会」が開催されました。

総会内では、同日に発足した「全国認知症予防ネットワーク」の
設立趣旨や事業内容、参加団体・企業などが発表されました。

呼びかけ人は、衆議院議員の鈴木隼人氏で、
ボランティア団体「認知症予防の会」が事務局を務めます。

同会が目指すところは、認知症になる人を一人でも減らすこと、
また認知症の人の進行を少しでも遅らせることです。

認知症予防に取り組む16団体と2企業が参加し、
協力関係を築きながら、認知症予防の発展・普及のために
活動していきます。

今後の活動内容として、
認知症予防の質の向上のために勉強会や団体間交流が行われる他、
認知症予防を普及啓発するシンポジウムの開催などを行うとしています。

また、設立総会に続いて、「認知症予防サミット」も開催されました。

厚生労働省と経済産業省の担当者による基調講演の後には、
認知症予防をテーマにパネルディスカッションも行われました。

パネルディスカッションのモデレーターは、
認知症予防の会代表である衆議院議員の鈴木隼人氏。

パネリストとして

日本イーライリリー株式会社
研究開発本部担当 副社長 藤本利夫氏

東京都健康長寿医療センター
社会参加と地域保健研究チーム 鈴木宏幸先生

元気!ながさきの会
代表 伊藤登氏

の三人がそれぞれの専門や経験から話をされました。

その中では下記の内容が印象に残っています。

「認知症は症状であって、その症状をもたらしている原因がある。
 認知症は本人の意思や性格に起因するものではなく、
 また外見上は変わりがなくても、脳の病気によるものである。
 周囲はこのことを理解して、ふさわしい対応が大切になってくる」

「アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβがたまったとしても、
 取り組み次第で、認知症の発症を遅延させた事例がある」

「認知症の正しい理解が全国的に普及するには、
 政府やメディアの情報発信もさることながら、
 正しい理解をもった人たちが身近な人に伝えていく、
 そして、その輪が広がっていくが不可欠である」

認知症予防に携わる人材育成を事業とする
当法人においても、目的とするところは同じです。

一般社団法人元気人も
全国認知症予防ネットワークの設立趣旨に賛同し、
同会の参加団体・企業のひとつとして名を連ねております。

同会に参加される皆さまと協力しながら、
認知症ゼロ社会の実現に向けて取り組んでまいります。


認知症予防に関するおすすめの書籍


4人に1人が65歳以上の高齢者がしめる日本では、
高齢者をめぐるさまざまな問題が生じています。

その問題の一つは、認知症の増加と介護の問題です。

ですが、この問題の深刻さに反比例しているのが、
当事者の認知症や介護に関する知識や理解と思います。

「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」という
孫子の兵法でとても有名な言葉がありますが、
認知症や介護についてもあてはまります。

認知症や介護の問題について適切に対応するには、
これらについての正しい知識や理解が不可欠です。

それを手助けしてくれる書籍をご紹介したいと思います。

トップ専門医の「家庭の医学」シリーズ
『スーパー図解 認知症・アルツハイマー病』。

認知症という病気のメカニズムから、
予防、早期発見のサイン、治療法、
安心して暮らすための介護のコツまで
網羅的に取り扱っています。

そして、書籍の構成が、
カラーの図解と平易な文章からなっており、
認知症のことがわかりやすくまとめられています。

そのため、文字を読むのがちょっと苦手という方は、
パラパラと図解ページから読むとよいでしょう。

また、本書からは認知症予防を考えるうえで、
2つの大事な視点(思考パターン)を得ることができます。

ひとつめは「認知症は先手必勝であること」。

武道でもビジネスでも、必敗のパターンがあり、
それは「後手に回る」ことです。

認知症においても例外ではありません。

認知症において対応が後手に回りますと、
こちらのペースで動ける範囲が狭くなるため、
質と量において、選択肢が限られてしまいます。

そして、対応が後手に回る大きな理由は
情報不足と(偏見からの)間違った判断によります。

本書は、東京都健康長寿医療センターの医師が
執筆と監修に携わっています。

本書をとおして、エビデンス(科学的根拠)に基づいた
認知症の知識と理解を得ることができます。

そして、ふたつめの視点は、
「認知症は誰でもなる可能性があること」。

つまり、自分や家族の認知症発症を
あらかじめ想定しておくということです。

加齢が認知症の大きな危険因子である以上、
長生きをすれば、誰もが認知症にかかる可能性があります。

年齢別の認知症の割合を調べた統計データによると、
85歳〜89歳で約40%、90歳〜94歳で約60%、
95歳以上で80%とあります。

その意味では、どれだけ認知症予防に努めたとしても、
認知症にかかる可能性はあり、認知症発症を想定しておくことも
大事になってきます。

自分も家族もいつかは認知症を発症するかもと
想定しておけば、将来の介護に備えて、
早い段階から準備を行うことができます。

本書には、認知症のサインやその治療、
介護が必要になったときの対処法が
わかりやすくまとめられています。

認知症の人の言動や行動を知っていれば、
無用な混乱や困難が避けやすくなります。

親の認知症が心配な家族の方も、
また自身のもの忘れが気になる方も、
本書を手元に置いておかれるのをおすすめします。

家族間に認知症に関する共通の知識や理解があることで、
予防や治療、介護はよりスムーズなものになっていきます。

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◆目次◆

第1章 認知症は先手必勝―シグナルチェックと予防法
第2章 正しく理解しよう、認知症
第3章 認知症の最新治療
第4章 認知症の家族とともに生きる

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