認知症予防も歯が命


認知症の発症と食事スタイルとの相関関係が
最近の研究から明らかになっています。

抗酸化作用の高い食材を中心に
バランスのとれた食事をとることは、
認知症予防につながるといわれています。

この食事の際に必要となる器官は「歯」です。

歯がしっかりと残っていることで、
食べたものが咀嚼されて、栄養素が
効率よく体内に吸収されることになります。

その意味では、
「何を」食べるかを意識すると同時に
「どう」食べるかにも気を配りたいところです。

また、歯の残存数と認知症の発症との関連も指摘されています。

愛知県の65歳以上の健常者4,425名を
3~4年間追跡調査した研究があります。

この調査研究から、
歯がほとんどなく入れ歯を使用していない人は、
歯が20本以上残っている人と比較して、
認知症の発症リスクが最大1.9倍に高まることがわかりました。
(Yamamoto T,Psychosomatic Medicine 2012)

また、歯が残っている人ほど、転倒や要介護状態になる
危険性が少なくなることも指摘されています。

ちなみに、歯を失っていたとしても
入れ歯をしっかりと使用している人では、
歯が20本以上残っている人と比較して、
認知症の発症リスクが特段高くなるわけではありませんでした。

できるだけ自分の歯を残すこと、もしくは
歯の喪失後は適正な入れ歯を使用することは
認知症の予防につながります。

ちなみに歯を失う主な原因は、むし歯と歯周病です。

日頃からお口のメンテナンスをしっかりすることや
定期的に歯科検診を受けることが大切になります。

歳をとって歯が抜けるのは、
老化によるものだから仕方がないと思いがちです。

ですが、むし歯や歯周病を正しく予防・治療することで、
歯の喪失を防ぐことは十分にできます。

むし歯と歯周病の予防法は、
日本歯科医師会が運営するサイトが参考になります。

歯とお口のことなら何でもわかる「テーマパーク8020」
https://www.jda.or.jp/park/trouble/contents.html

なお、喫煙は歯周病の大きな危険因子でもあります。

喫煙習慣がある人は、歯を失う原因である
歯周病は軽視しないことです。

日頃からのプラーク(歯垢)コントロールと
半年に一度の歯科検診を心がけたいところです。
(一番は禁煙を実行することですが)


(研修報告)指導者のための認知症予防運動プログラム研修


先日2017年9月23日(土祝)に都内にて、
「指導者のための認知症予防運動プログラム研修」
を開催しました。

研修の概要についてはこちらです。

研修当日の様子を報告しながら、
認知症予防を指導する際に心がけたいポイントを
お伝えしたいと思います。

「体を使う運動課題」と「頭をはたらかせる認知課題」の
2つを同時に行うエクササイズが、認知症の予防や発症遅延に
効果的であることがわかっています。

認知症予防の対象者が、このエクササイズを
楽しみながら習得できるようにまとめられたのが、
「認知症予防運動プログラム(コグニサイズ)」です。

参考映像:NHK認知症キャンペーン 認知症予防運動プログラム(1)
https://youtu.be/vC7e5uG-JWM

このプログラムは国立長寿医療研究センターが開発しました。

「手軽に楽しくできる認知症予防運動」として、
NHKをはじめとする多くのメディアから取り上げられ、
普及を目的とした書籍も出版されています。

今回の研修は、認知症予防の指導者を対象に、
開発元である国立長寿医療研究センターから
二人の講師をお招きして行われました。

研修内容は、認知症予防運動プログラムの
「理論」と「実践」をそれぞれに学ぶ二部構成でした。

理論部分は、数々のメディアにも登場実績がある
島田裕之先生に登壇いただきました。

運動課題と認知課題を同時に行うエクササイズが
認知症の予防や発症遅延に効果的であることを、
科学的根拠を踏まえながらお話されました。

認知症予防の現場では、
「何が」認知症予防に効果的であるかを伝えると同時に、
「なぜ」それが効果的であるのかという理由(メカニズム)も
語られる必要があります。

人は納得しなけば動かないし、
動いたとしても長続きはしないからです。

運動が認知症予防にいいことは多くの人は知っていますが、
なぜいいのかというその理由(メカニズム)までを
わかりやすく説明できる人はそうそういません。

島田先生はわかりやすい解説に定評があります。

研修ではそのわかりやすい解説の仕方を間近に見ることができ、
この視点で受講されていた方は学びも多かったと思います。

次に実践部分は、数多くの現場で
認知症予防運動プログラム(コグニサイズ)の指導経験がある
堤本広大先生が担当されました。

研修を受講された皆さんは、実際にプログラムの参加者となって、
身体を動かしながら、指導の仕方やその際のポイントを学びました。

認知症予防運動プログラムは、
運動課題+認知課題という組み合わせで構成されているため、
参加者の状態に応じて難易度を調整しやすいことが特徴です。

例えば、比較的年齢が若く元気な高齢者が参加者の場合、
たやすくできては認知症予防として効果はあまり期待できません。

運動負荷を強くしたり、難しい認知課題に切り替えたりすることで、
プログラムの難易度を上げることができます。

また、運動に限らず、認知症予防は継続が大切になってきますが、
同じことにずっと取り組んでいますと、飽きが来やすいものです。

途中で活動を止めないようにさせるしくみが必要になってきますが、
グループで行うと継続しやすいことが現場経験からわかっています。

そのため、認知症予防の現場では、
参加者同士がいい雰囲気のグループを作れるように
場全体を導いていくことも、指導者には求められるのです。

当日ご参加いただいた方からは次のようなお声をいただいております。

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認知症カフェやサロンで認知症予防体操を行いたいため参加しました。
地域で教室を行うときに使えるアイデアをいただきました。
楽しかったと笑っていただける教室にしたいと思います。

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認知症予防運動をより効果的に指導・実践していくために参加しました。
認知症を取り巻く現状や将来へ理解が深まりました。
頭と身体を使った運動の提供方法について楽しく学ぶことができました。

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施設で認知症予防プログラムを実施するために参加しました。
実際に指導するうえでのポイントを学ぶことができ、
理解を深めることができました。

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アミロイドβを増やさない、海馬を大きくする(維持する)ことの
重要性がよく理解できました。

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ご参加いただきました皆さまに改めて感謝申し上げます。

一般社団法人元気人は、地域の認知症発症を予防し、
誰もが笑顔で元気に暮らせる社会を実現したいと考えています。

そのためには認知症予防に携わる人材育成が不可欠と考えており、認知症予防のプロフェッショナルである「認知症予防活動支援士」という認定制度を設立しました。

認知症予防活動支援士の認定制度についてはこちらからご確認いただけます。


【セミナー報告】今日からはじめる認知症予防セミナー~運動による認知症予防の可能性~


2017年9月23日(土祝)に都内にて、認知症予防セミナーを開催しました。

セミナーの概要についてはこちらです。

一般社団法人元気人では、大学や研究機関に蓄積されている認知症予防の知見や最新の研究成果を、より早くよりわかりやすいかたちにして、認知症予防の現場で必要とする方々にお届けするべく、毎月セミナーを開催しています。

認知症予防の専門家として、国立長寿医療研究センター 予防老年学研究部 部長 島田裕之先生をお招きし、「今日から始める認知症予防セミナー~運動による認知症予防の可能性~」というテーマでお話しいただきました。

島田先生はお話の中で、

「認知症は人生の晩年でかかりやすい病気のため、
 発症時期を遅らせることができれば、
 認知症にならずに寿命を全うすることも可能。
 発症時期を少しでも延ばすのはとても意味があること」

「認知症予防では、認知的予備力の向上、脳のダメージを防ぐ、
 脳の炎症を抑えるが大切になってくる。
 これら3つに有効にはたらくのが運動である」

「健康のためにもう少し運動する機会を増やしていく必要があり、
 足全体をのせてゆっくりと階段を登るだけでも運動効果がある」

「脳の活動を支えている代表的な栄養分であるBDNFは、
 複雑な環境下のほうがたくさん出ることがわかっている。
 運動しながら頭を使うことは効果的な方法である」

など、運動がもたらす認知症予防の効果をわかりやすく解説されました。

当日ご参加いただいた方からは次のようなお声をいただいております。

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認知症という言葉だけが一人歩きをし、不安や恐怖がいたずらに誇張され、
偏見が高まっていることも、今の社会の密かな課題だと感じています。
本当に正しい認知症の知識を身につけることで、偏見や差別から生じる
認知症の重度化を予防・軽減できるのではという希望を見出せました。

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身近に迫る両親の老い、自分自身の老後を考え、明るく元気で過ごす
方法を知りたくて参加しました。
早い時期から運動を取り入れて、認知機能の低下を防ぎたいです。

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現在、実践している認知症予防教室などに深みを増したいため参加しました。
認知症の理論から運動の予防効果までを改めて理解することができました。

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70歳以上のまだ認知症でない高齢者に、認知症予防をしてもらいと考えており、
その考え方や手口を学ぶために参加しました。
現時点では負荷をかけた運動(コグニサイズ)が有効であることがわかりました。
また、その負荷の目安も理解できました。

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認知症について、乗り切れる自信をもつことができました。

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最新データの紹介はありがたかったです。
ウォーキングの認知症予防講座を担当しているので、大変参考になりました。

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ご参加いただきました皆さまに改めて感謝申し上げます。

一般社団法人元気人は、地域の認知症発症を予防し、誰もが笑顔で元気に暮らせる社会を実現したいと考えています。

そのためには認知症予防に携わる人材育成が不可欠と考えており、認知症予防のプロフェッショナルである「認知症予防活動支援士」という認定制度を設立しました。

認知症予防活動支援士の認定制度についてはこちらからご確認いただけます。


骨粗しょう症と認知症予防


寝たきりをきっかけに認知症を発症するケースがありますが、
高齢者が寝たきりになる原因は主に2つあります。

ひとつは、脳梗塞、クモ膜下出血、脳内出血などの脳血管障害で、
寝たきりの原因1位になっています。

脳血管障害を予防するには、
生活習慣病の予防と改善に努めることが
大切になってきます。

そして、もうひとつの原因は骨折ですが、
その背景には「骨粗しょう症」という病気があります。

骨粗しょう症になると、骨の強度が低下して、
骨の中がスカスカになってもろくなりますので、
ちょっとしたことで骨折しやすいうえに
骨折するとなかなか治りません。

特に高齢者が大腿骨を骨折した場合、
回復まで長期間をベッドの上で過ごすことになるため、
その間に筋力が衰えて、動けなくなることがあります。

そして、動かなくなるため、骨粗しょう症が進み、
さらに回復が遅れるという悪循環を招き、
そのまま寝たきりになるケースが少なくないのです。

骨粗しょう症の主な原因には、
加齢による骨量の減少もありますが、
運動不足や偏食によるカルシウム不足も
その原因のひとつです。

骨粗しょう症になる人の割合は年齢が高くなるほど上がり、
50歳以上の女性の3人に1人が骨粗しょう症といわれています。

高齢女性に多い病気というイメージがありますが、
実際に骨粗しょう症は男性もかかる病気です。

骨粗しょう症を起点とする
骨粗しょう症 ⇒ 骨折 ⇒ 寝たきり ⇒ 認知症
というよろしくない流れができあがっています。

認知症予防という観点に限らず、
寝たきりでQOL(人生の質)を低下させないためにも、
骨粗しょう症の予防に努めたいところです。

骨を丈夫にするには、まずは
「カルシウム」とカルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」
を多く含む食品をとることです。

カルシウムは乳製品や小魚、大豆製品、緑黄野菜、海草などに
ビタミンDは魚類やきのこ類などに多く含まれています。

特に魚はカルシウムもビタミンDも多く含むため、
骨の健康のためにはベストな食材です。

また、体内でのビタミンDの合成を促すために
日光浴を心がけるようにします。

夏は木陰で30分、冬は手や顔に1時間程度が目安です。

あと、骨を強くするには
運動による骨への刺激も必要になってきます。

ウォーキングや水泳など適度な運動を継続して行い、
運動不足の解消にも努めましょう。


生活習慣病以外で心がけたい認知症予防


認知症の原因疾患で一番多いのはアルツハイマー病で、
次に多いのが脳血管障害となっており、この2つが
認知症の原因の約7割をしめています。

まずはこの2つの原因疾患の回避に努めることから
認知症予防はスタートするといえます。

どちらも生活習慣病との関連が指摘されており、
実際に生活習慣病の予防と改善に努めることは、
将来の認知症の発症リスクを低下させます。

そして、認知症の原因疾患の中で
一番多いアルツハイマー病については
生活習慣病以外にも発症の引き金に
なりやすいものがあります。

アルツハイマー病との関連が指摘される危険因子として、
下記の3つをあげることができます。

1)高齢期の寝たきり
軽度認知障害(MCI)の段階で寝たきりになり、
それがきっかけにアルツハイマー病を発症する
と考えられています。

2)頭のケガ
意識障害をともなうような頭部外傷を負った人は
統計上、そうでない人と比べて、アルツハイマー病を
発症するリスクが高くなっています。
(Tanya C. Lye, Neuropsychology Review 2000)

3)歯の喪失
歯の喪失や、その原因となる虫歯や歯周病が
アルツハイマー病の発症に影響しているといわれています。
(Singhrao SK, J Alzheimers Dis 2004)

4)社会的交流が乏しい
趣味がない、友人が少ない人は社会的交流が乏しくなりがちで、
そうした人はそうでもない人と比べて、アルツハイマー病に
なりやすいという報告があります。
(Fratiglioni L, The Lancet 2000)

これらに該当することで、必ずしも
アルツハイマー病を発症するわけではありませし、
いずれも生活スタイルを見直すことで防ぐことは可能です。

「もう歳だから」とコントロール外のものに焦点をあてるのではなく、
生活スタイルなど自分でコントロールできるものに焦点をあてて
行動を変えていくことが大切になってきます。

また、高齢者の転倒は、
寝たきりや頭のケガのきっかけになるおそれがあります。

筋力低下を防ぐなり、バリヤフリー対策を講じるなりの
転倒防止対策は早い段階から心がけたいところです。


たばこをちょっと休んでみませんか?


世の中には因果関係がまだあきらかではなく、
判断に迷うものがいくつかあります。

こと喫煙に関しては、健康を害することで
満場一致の見解が得られています。

厚生労働省は2020年の東京オリンピック開催を意識して、
受動喫煙対策の強化に向けて法整備を進めています。

といいますのも、
2004年以降、すべてのオリンピック開催都市は
罰則付きの受動喫煙防止策を導入しているため、
日本だけ受動喫煙を放置というのはできないのです。

最近では、公共の場所やオフィスなどでは、
喫煙できるスペースが徐々に減っており、
肩身の狭い思いでたばこを吸われている
お父さんも多いのではないかと思います。

これほどまでに喫煙が目の敵にされるには
それなりの理由があります。

たばこの煙には、200種類以上の
有害物質が含まれているといわれています。

その中でも、ニコチン、タール、一酸化炭素が
三大有害物質としてよく知られています。

ニコチンは血管を収縮させるとともに、
血圧を上昇させる物質の分泌も促すため、
1本吸うだけでも血圧を上昇させます。

そして、ニコチンには強い依存性があり、
危険薬物であるヘロインやコカインよりも
依存の危険が高いといわれています。

また、一酸化炭素は全身を酸欠状態に陥らせるため、
運動能力を低下させたり、動脈硬化を促進したりします。

高血圧や動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高め、
しいては認知症の発症リスクを高めることにつながります。

また、複数指摘されている認知症の危険因子の中でも、
喫煙は受動喫煙をとおして周囲の人も危険にさらすため、
タチが悪い危険因子といえます。

喫煙は「百害あって一利なし」で、
是非とも自分と家族のために禁煙を実行したいところです。

とはいえ、禁煙に取り組んだときから
10日間ほどは禁断症状が出やすいといわれています。

禁煙成功者の体験談などから
禁断症状とうまく付き合うコツがまとめられていますので、
禁煙に取り組む際は参考にするとよいでしょう。

<禁断症状とうまく付き合うコツ>

◎イライラ、集中力低下
 ⇒深呼吸やストレッチで気分をリフレッシュする

◎めまい、頭痛
 ⇒水分を補給して安静にする

◎便秘
 ⇒軽い運動、食物繊維や発酵食品を積極的にとる

◎咳やたん
 ⇒うがいをして、水分を補給する

◎眠気、だるさ
 ⇒軽い運動で体をほぐす、短時間仮眠をとる

◎食欲増進
 ⇒野菜をたくさん食べる、ガムを噛む

◎タバコを吸いたい
 ⇒歯を磨く、水やお茶を飲む
 ⇒とにかく10分待ってみる
 ⇒禁煙に取り組む仲間をみつける
 ⇒禁煙で得られるメリットを書き出してみる


適度な運動で認知症予防


認知症の危険因子の中でも
特に危険度が高いとされているのが
「身体不活動(運動不足)」です。

アルツハイマー病の危険因子の危険度を調べた
米国の調査研究から、高血圧や喫煙、うつ以上に、
運動不足が大きく影響していることがわかっています。
(Barnes DE, Lancet Neurol 2011)

運動不足が続くと、生活習慣病である
肥満、糖尿病、高血圧などにもかかりやすくなるため、
脳血管障害を招きやすくなります。

健康を意識して、食生活を見直した後は、
「適度な運動」にも取り組みたいところです。

とはいえ、
認知症や生活習慣病を予防するための運動であれば、
激しい運動に取り組むのは得策ではありません。

これまで運動してこなかった人が(気合いが入って!?)
いきなり激しい運動をはじめても、長続きしないのがオチだからです。

また、激しい運動を長く行うと、かえって
脳内出血やくも膜下出血を増やす恐れがあることを
示唆する研究成果も報告されています。
(Kubota Y, Stroke 2017)

まずは日常生活でこまめに体を動かすところから
意識するとよいでしょう。

例えば、
エレベーターやエスカレーターの利用頻度を減らして、
なるべく階段を使うようにする。

遠くのショッピングセンターに車で行くよりも
近所の商店街などに歩いて出かける。

仕事やボランティア活動、人と会うなど、
定期的に外に出かける用事をつくるなどです。

こうして日常生活の中で
体を動かすことに慣れてきたら、
1日30分の軽めの運動を週3回を目安に
運動する習慣を身につけていきます。

このときの軽めの運動としては、
「ウォーキング」が推奨されています。

また、ランニングに比べて体への負担が少なく、
高齢者など比較的体力のない人にも勧められる
「スロージョギング」を取り入れるのも手です。

スロージョギングとは、歩く程度の
ゆっくりした速度で走るジョギング法で、
速く走るのではなく、楽に走るのを目標にしています。

ウォーキングもスロージョギングも、
時と場所を選ばず、比較的安全にできる運動です。

道具さえ揃えてしまえば、お金もあまりかかりません。

実際に取り組む際は、下記のポイントに
注意しながら行うようにしましょう。

<ウォーキングやスロージョギングを行う際のポイント>

◎服装は動きやすく、発汗性・吸湿性に優れたものを選ぶ

◎タオルと水分は必ず携帯する

◎運動前にも水分をとり、運動中はのどが渇く前に水分を補給する

◎運動中にほどけないように、シューズの靴ひもはしっかりと結ぶ

◎両うでをしっかりと触れるように、
 必要なものはウエストポーチに入れておく

また、人は達成感を味わうと、次の快感情を求めて、
行動が継続する傾向があります。

最初のうちは、ちょっとだけでも歩けば、
「よくできた」と自分を誉めるようにするとよいでしょう。

また、運動の記録を日記や表などにつけておくと、
自分の行動や成長が見える化できるため、
モチベーションの維持につながります。

長く続けるコツを活用しながら、適度な運動を習慣化することで、
認知症や生活習慣病になりにくい生活スタイルが実現できます。


減塩をおいしく続けて認知症予防


認知症の主な原因はアルツハイマー病と脳血管障害で、
いずれも生活習慣病との関連が指摘されています。

生活習慣病の予防と改善を考える際、
塩分のとり過ぎには注意を払う必要があります。

塩分のとり過ぎは高血圧につながり、
特に脳血管性認知症の発症リスクを高めます。

厚生労働省では、生活習慣病の予防を目的とした
食塩摂取量の目標値を以下のとおりとしています。

 18歳以上男性:8.0g/日未満
 18歳以上女性:7.0g/日未満

 出典)日本人の食事摂取基準(2015 年版)

しかし、同省が発表している
「国民健康・栄養調査(平成27年)」によりますと、
食塩摂取量の平均値は10.0g であり、
男性 11.0g、女性 9.2gとなっています。

この10年間では、総数、男女とも減少傾向ですが、
もう一つ取り組みが必要のようです。

また、塩気の強い味付けでは、
食欲が増すため、食べ過ぎてしまい、
ひいては肥満につながります。

そのため、上手に減塩して、
薄味になれるようにもしたいところです。

塩分を選らすには、まずは食塩や醤油などの
調味料の使用量を減らすとよいです。

また、佃煮や漬物、干物やハムなどの
塩分が多く含まれている加工食品を
とり過ぎないことも大切です。

とはいえ、これらを実践すると、
どうしても薄味になります。

今日から減塩をはじめようと思っても、
いきなりすべての品が薄味になってしまうと、
脳がおいしいを感じられず、挫折しがちです。

減塩をおいしく続けるコツとして、
「一品だけは今までどおりに塩分を使った料理」
にするとよいでしょう。

食べたという満足感が損なわれにくいため、
取り組みが長続きしやすくなります。

また、減塩に向いている料理法とそうでもない料理法があります。

減塩に向いているのは、水分をあまり使わない調理法で、
「焼き物」「炒め物」「あえ物」「揚げ物」などです。

ちなみに塩分の代わりに酢を加えることで、
味付けの物足りなさをカバーすることもできます。

一方、減塩に向いていないのは、水分を多く使う調理法で、
「ゆで物」「煮物」「汁物」があてはまり、うま味が逃げてしまうのです。

減塩に向いていない調理法で減塩に取り組んでも、
物足りなさからなかなかに辛いものがあります。

減塩に向いている調理法で減塩に取り組むのであれば、
食べたときの満足感を得やすく、長続きするものです。

また、土地柄などで、
味付けされた料理(漬け物や和え物、塩焼きなど)に
さらに醤油や食塩を足していた人は、それを止めて、
そのままの味付けを楽しむようにしたいところです。

減塩したときでも、
カツオ節や昆布などでとっただしのうま味を利用する、
コショウや唐辛子などの香辛料で風味をつけると、
おいしく感じやすくなります。

減塩の料理に創意工夫をもって取り組むことは、
普段の料理でも新しいことにチャレンジすることになります。

新しいことにチャレンジして、いわば脳が汗をかくことは、
脳の活性化にもつながります。


栄養バランスのとれた「和食」で認知症予防を!


認知症の主な原因はアルツハイマー病と脳血管障害で、
いずれも生活習慣病との関連が指摘されています。

そして、「肥満は生活習慣病の元」といわれており、
生活習慣病の予防には肥満対策が不可欠です。

肥満対策は、まず食べ過ぎをやめて、
摂取エネルギーを減らすことからはじまります。

食べ過ぎを抑えるには下記の記事をご参照ください。

生活習慣病ひいては認知症の元凶である
「食べ過ぎ」を防ぐ7つのコツ
http://genki-bit.com/blog/anti-dementia/795/

そして、肥満対策には食べ過ぎだけでなく
食事内容を見直すことも大切になります。

カロリー摂取を気にするあまり、
偏った食事内容になって、栄養不足に陥りますと、
健康なからだをつくり、維持するのが難しくなります。

また、戦後の日本では、食事スタイルが欧米化したことで、
動物性脂肪やカロリーの摂取量が一気に増えました。

その結果、肥満や糖尿病などの生活習慣病の増加を
招いたといわれています。

そこで、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、
食物繊維などの栄養素をバランスよくとれる「和食」を
見直したいところです。

昔ながらの魚や野菜を中心とした和食を心がけることで、
身体に必要な栄養素をバランスよくとることができます。

和食の基本スタイルは「主食+1汁2〜3菜」です。

主食は、糖質の供給源
(米など)

主菜は、脂質、たんぱく質の供給源
(魚介類、肉類、卵、大豆製品など)

副菜は、ビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源
(野菜、いも類、キノコ・海藻類など)

汁物は、主菜・副菜で不足しがちな栄養素を補う役割
(みそ汁やスープ、牛乳や野菜ジュースなど)

をそれぞれに担っています。

なお、和食だから何でもいいわけではなく、
アンバランスにならないような工夫が必要になります。

それには主食と主菜、汁物は原則として、
それぞれ1品ずつを心がけるとよいでしょう。

それぞれが2品以上になりますと、
主食では糖質、主菜では脂質、汁物では塩分の
過剰摂取につながります。

また、全体的に和食では塩分をとり過ぎる傾向がありますので、
塩分の過剰摂取に注意するようにします。

そして、バランスのとれた食事スタイルを取り入れたい場合、
1日に食べたものを書き出すとさらに効果的です。

毎食の食事内容を振り返ることで、
自分の食事パターンがどのようなものか見えてきます。

食事パターンでは、
油を使った料理(揚げ物、炒め物など)は
できるだけ重複しないようにしたいところです。

1食の中でも1日の中でも、油を使った料理を食べたときは、
別の料理法で作った料理を食べるようにしましょう。

例えば、
昼食は魚を意識してアジフライ定食を選んだけれども、
夕食には野菜炒めが出てきて、一日の食事内容が
油を使った料理に偏っているときがあります。

食事ごとにはバランスを意識した内容でも
一日の全体ではアンバランスだったということは、
実際に食べたものを書き出してみると、見えてきます。

最近では、スマホで食事の写真を撮ると、
食事管理をしてくれるアプリが提供されていますので、
こうしたツールを活用すると、記録をとるときに便利です。

また、食事内容を記録する際、
あえて二日前の食事内容を思い出すようにすると、
記憶力を鍛えることになり、さらなる認知症予防につながります。


認知症は十分に予防できるのです


人は生まれた以上、歳をとって
老いていくことが定められています。

加齢は認知症の危険因子のひとつで、
実際に高齢になればなるほど、
認知症の発症リスクは高くなります。

85歳以上の高齢者の約3人に1人が
認知症であるといわれています。

とはいえ、人は老いれば、
誰しも認知症にかかる可能性があるものの、
認知症の予防もしくは発症を遅らせることは
十分にできることがわかってきています。

認知症の原因疾患で一番多いのはアルツハイマー病で、
次に多いのが脳血管障害となっており、この2つが
認知症の原因の約7割をしめています。

まずはこの2つの原因疾患を回避することに努めることは、
理にかなった認知症予防といえます。

アルツハイマー病については、
発症のメカニズムが未解明なところもありますが、

・運動
・抗酸化食品や不飽和脂肪酸の摂取
・知的活動
・対人接触

などが発症リスクを低減するという
研究結果が報告されています。

最近では、生活習慣病によって、
アルツハイマー病の発症リスクが高まる
という報告もあります。

また、脳血管障害は、
糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病によって、
発症の危険度が高まります。

認知症の全容は解明されていないところもありますが、
認知症の発症リスクを高める危険因子のほとんどが、
生活習慣と関係しています。

アルツハイマー病と脳血管障害において
日々の暮らしの中でかかわってくる危険因子を
それぞれまとめてみました。

<アルツハイマー病>
・加齢
・歯の喪失
・運動不足
・食生活
・高血圧
・糖尿病
・遺伝要素 / 家族歴
・頭部外傷
・低頻度の知的活動
・低頻度の対人接触
 など

<脳血管障害>
・加齢
・高血圧
・脂質異常症
・肥満
・糖尿病
・食生活
・運動不足
・飲酒
・喫煙
 など

加齢や遺伝など一部のものについては、
自分ではコントロールできませんが、
ほかの多くは自分でコントロールすることが可能です。

危険因子を避ける生活スタイルを心がけることで
認知症の発症リスクをさげることにつながります。

つまり、認知症は十分に予防できるのです。

また、認知症予防に励んで楽しんでいる人の
体験談などをみていますと、

「同じ立場の仲間と会話をすること」

が大切と話される人が多いです。

一人で黙々と生活スタイルの改善に励むのもいいですが、
同じ立場の仲間を見つけて、一緒に認知症予防に励むのが
成功の秘訣といえます。

人はよくも悪くも環境から影響を受けやすいため、
動かざるを得ない環境(グループ)に身を置くことで、
自分一人では難しい生活スタイルの改善もうまくいきやすくなります。

地域を探せば、こうした予防教室やグループ活動が
いくつも見つかりますので、是非とも活用するとよいでしょう。