今日からできる認知症予防:ウォーキング


認知症になると、
記憶力や注意力などの認知機能が低下して、
日常生活に支障をきたすようになります。

ひとことで「認知症」といっても
原因となる疾患や症状はさまざまです。

とはいえ、認知症の原因疾患の7割近くを占めるのが
アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症です。

まずはこの2つの原因疾患を予防することから
認知症予防はスタートするといえます。

この2つの認知症を予防したり、発症を遅らせたりするために
有効な生活習慣のひとつとして、運動習慣をあげることができます。

カナダの4,615名の高齢者を5年にわたり追跡調査し、
定期的な運動習慣が認知症の発症リスクにどのような影響を
及ぼすのかを調べた研究があります。

アルツハイマー病の発症リスクについて
運動習慣のない人と比べた場合、
週3回以上のウォーキング程度の運動習慣の人 0.67倍
週3回以上のウォーキング以上の運動習慣の人 0.50倍
であることがわかりました。

また、ウォーキングを含む有酸素運動では
体内の脂肪や糖分を燃焼してエネルギーを生み出しています。

そのため、有酸素運動は、
肥満や糖尿病などの生活習慣病の予防につながります。

 
 
生活習慣病の予防は、脳血管性認知症だけでなく、
アルツハイマー型認知症の発症も抑制していくことが、
最近の研究から明らかになっています。
 
 
また、運動は、
ストレスを軽減したり、夜に十分に眠れたりなど、
精神的な効果も期待できます。

普段から車に頼った生活をしている人でも
1回あたり30〜40分のウォーキングを

週に3回は心がけたいところです。

ウォーキングは、
水泳やサイクリングとあわせて
有酸素運動に位置づけられます。

ウォーキングは他の有酸素運動と違い、
特別な道具を必要とせず、時間も場所も比較的自由で
誰でも日々の生活の中に取り入れやすいという利点があります。

その手軽さから、認知症予防の入門として
まずはウォーキングからはじめてみるのもいいでしょう。

————————–
【文献】
Laurin D, et al.
“Physical activity and risk of cognitive impairment and dementia
in elderly persons”
Arch Neurol ; 58 : 498-504 (2001)


親の認知症が気になるけれども、親は聞く耳をもたずの場合に有効な認知症予防


童謡「ふるさと」の歌詞に

———————————-
如何に在ます 父母
恙(つつが)なしや 友がき
———————————-

という一節があります。

親と一緒に暮らしていようとも、
親と離れて暮らしていようとも、
高齢を迎えた親の様子や健康、
最近では認知症は気になるものです。

とはいえ、親の認知症が心配だからといって、
テレビや本、または当ブログ!?で仕入れた情報を
あれやこれやと伝えても、親が聞く耳を持たないケースも
あるのではないでしょうか?

認知症予防は実践してこそ意味があります。

なのにまったく実践してくれないと嘆かれる方には、
これからお伝えすることは、耳寄りの認知症予防に
なるかも知れません。

スウェーデンのストックホルムに在住する1,203人を
平均3年間追跡した調査研究があります。

下記の項目にいくつ該当するかで対象を4段階にわけ、
社会的ネットワークが認知症の発症にどのような影響を
及ぼしているのか、その関係性を調べました。

<社会的ネットワークの状況>
1)結婚して同居している
2)子どもと日常的に接触している
3)親族または友人と日常的に接触している

認知症の発症リスクについて、
3つとも満たす人と比べた場合、
2つを満たす人で2.61倍
1つを満たす人で3.65倍
いずれも満たさない人で8.25倍
という結果であることがわかりました。

文字通りのお一人様、つまり社会的孤立は
認知症の発症リスクをかなり高めるといえます。

認知症予防は、運動にせよ、食事スタイルにせよ、
いくら知識を伝えても、本人がやる気を出して、
取り組んでもらわないことには、予防には1mmもつながりません。

ですが、社会的ネットワークは、
本人もさることながら、周囲からもかかわることで、
対象とする人の認知症予防につなげることができます。

つまり、本人に認知症予防の意識がなくても、
子どもや地域が外から定期的にかかわることで、
本人の認知症予防につながるのです。

また、高齢者の社会的孤立は
生きがいの低下、消費者被害、犯罪、孤立死などの
本人のQOL(人生の質)を著しく低下させるばかりか、
さまざまな社会問題の遠因にもなっています。

社会的孤立の防止に向けて、今日からでも
かかわり合いを増やしていきたいところです。

あと、最近では高齢者の中でも
スマホやタブレットを所有される方が増えています。

スマホやタブレットを使えば、
テレビ電話(FaceTimeやハングアウト)も
簡単にできます。

直接会うのが一番いいのですが、
遠く離れて暮らしていてすぐに会えない場合は、
こうしたデジタル機器を活用するのもいいでしょう。

また、使い方がわからないという場合は、
近くのパソコン教室などが教えてくれますし、
新しい社会的ネットワークを作るきっかけにもなります。

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【文献】
Fratiglioni L, et al.
“Influence of social network on occurrence of dementia:
 a community-based longitudinal study”
Lancet ; 355 :1315-1319 (2000)


中年期の婚姻状態と認知症発症リスクとの関係


日本文学の古典中の古典である「枕草子」の一節に
「 近うて遠きもの」というものがあります。

近くにあるようでも、遠くに感じられるものが
平安時代の宮中に生きる人たちの視点から
つづられています。

現代社会に生きる、中年期をとうに迎えた
お父さんにおかれましては、何を思い浮かべますか?

「わしの場合、ちっとも相手にしてくれない奥さんかの」

とパートナーのことを思い浮かべたお父さんは
少なからずいらっしゃると思います(たぶん)。

認知症は関係性の障害ともいわれています。

身近にパートナーと呼べる人がいるかどうかは
何かしら認知症の発症に影響を及ぼしていそうですが、
実際のところはどうなんでしょうか?

フィンランドで、平均21年間にわたり、
中年期の婚姻状態と認知症の発症リスクとの関係を
調べた調査研究があります。

この調査研究から、
中年(平均50.4歳)でパートナーのいる人は、
そうではない人(未婚、離婚、死別)に比べて、
65歳〜79歳の認知機能の低下が穏やかであることが
わかりました。

逆にいえば、
中年期のお一人様(未婚、離婚、死別)は
認知症の発症リスクが高まることになります。

死別・離婚の人は、結婚もしくは同居状態の人に比べて、
3倍の認知症の発症リスクがありました。

巷のお父さんを見ていますと、

パートナーの顔色を伺って、
遠回りをしてでもケーキを買って帰ったり、
(運動量が増えています)

夜中に明日が記念日であることを思い出して、
あわててAmazonで見つけた贈り物を
さも一ヶ月前から準備していたようにふるまったり、
(脳がフル回転しているはずです)

へそくりを自分だけがわかるところに隠したり、
(自分が保管場所を忘れてしまっては元も子もありません)

など、何かと活動的かつ知的刺激も多い生活を
送られているご様子です。

また「琴瑟相和す」のことばが意味するように
夫婦仲のよさは、調和がとれた生活をもたらしてくれます。

結婚生活を通して受け取っているであろう、
何かと刺激的な生活や精神的充足は、
脳の認知機能によき影響を及ぼしているといえそうです。

また、日本では熟年離婚がキーワードになっていますが、
中年期の離婚は、認知症の発症リスクを高めることが
先の研究からわかりました。

そういえば、「ガンになっても、認知症にだけはなりたくな」と
切実な思いを吐露される方がときどきいらっしゃいます。

その切実な思いを、
是非ともパートナーとの関係性の改善に費やされると
いいのではと思っています。

それだけの思いで取り組むのであれば、
もつれた夫婦関係も改善に向かうと思うのです。

認知症予防につながるだけでなく、
本人だけでなく家族も含めたQOL(人生の質)の向上も
実現することになります。

————————–
【文献】
Krister Håkansson, et al.
”Association between mid-life marital status and cognitive function in later life:
population based cohort study”
BMJ :  339 : b2462 (2009)


今日からできる認知症予防:うつ編


高齢期のうつは認知症の発症リスクを高めることが、
多くの研究からわかっています。

これといった理由がないのに抑うつ気分が続くなど、
うつの症状が疑われる場合は、早めの対応が大切です。

昔と比べて、うつの治療法が確立されてきていますが、
身体の病気と同じように、うつも予防するに越したことはありません。

うつの原因はまだ研究段階にありますが、
脳内の神経伝達物質「セロトニン」の不足が
関係していると考えられています。

セロトニンを増やす簡単な方法は、
ある動きを規則正しく繰り返すという
リズミカルな運動です。

具体的には
・ジョギング
・水泳
・早歩き
・深い腹式呼吸
・ガムをかみ続ける
などがあてはまります。

このようなリズミカルな運動を毎日30分ほど続けますと、
3ヶ月で脳内のセロトニンの放出量が増えてくるといいます。

また、毎日日光を浴びる、
考え方(思考のクセ)を見直し、
前向きに考えて、くよくよしないことも
脳内のセロトニンを増やすようです。

何か気分がぐらぐらするときは、外に出て運動をすると、
気分が晴れてきたのを経験したことはありませんか?

運動や日光に当たることで、
セロトニンが増えたことによるものと考えられます。

こうした行動を習慣にすることは、
うつ状態に陥るのを防いでくれます

あと、セロトニンは体内で生成される神経伝達物質で、
その原料である成分を食品から摂取し続けることも大切です。

セロトニンの体内生成に必要な主成分が3つあり、
トリプトファン(必須アミノ酸)、ビタミンB6、炭水化物です。

実はこれらを含む食品は、
普段の食事に出てくるものばかりで、
何か特別なものというのはありません。

具体的には

・肉類、魚類
・乳製品(チーズ、牛乳、ヨーグルトなど)
・大豆製品(納豆、豆腐、味噌、醤油など)
・魚卵(たらこなど)
・ナッツ類
・バナナ
・穀類(ご飯、麺類など)
・いも類

などがあてはまり、これらを毎日の食事で
バランスよくとるようにするといいでしょう。

また、バランスのよい食事をとること自体、
認知症予防を考える上で、大事な生活習慣となっています。

以上、うつの予防につながる
「脳内のセロトニン」を増やすものをみてきました。

外に出て日光に当たる、
リズミカルな運動をする、
バランスのよい食事をとる、
これらは特段難しいものではありません。

まずはちょっとだけでもいいので、
今日からはじめてみてはいかがでしょうか?

今日ちょっとだけも行動したことは、
3ヶ月後の脳内のセロトニンを増やすことにつながり、
うつと認知症の予防にもつながっていきます。

————————–
【文献】
有田 秀穂 (著)
『セロトニン欠乏脳 キレる脳・鬱の脳をきたえ直す (生活人新書) 』
NHK出版 (2003)


うつで認知症リスクが倍増


人は酸いも甘いも噛み分けながら
年齢を重ねていくものです。

過去のそうした経験から悟りを得て、
高齢期に向かうほど精神的に安定していく
・・であれば理想ですが、そう簡単な話でもないようです。

厚生労働省が発表した「平成26年患者調査」によると、
うつなどの気分障害で、医療機関に受診している
総患者数は111万6千人と、調査開始以来最多となっています。

うつなどの気分障害の患者数を
性別・年齢層別にみていきますと、
男性では40歳代で最も多くみられます。

女性は30歳代〜70歳代まで高水準で推移しており、
特に高齢者では男性と比べて、女性のほうが
非常に多い数となっています。

特に高齢期において、
どのようなことをきっかけに
うつになりやすいのでしょうか?

高齢期には必然的にさまざまな喪失体験が起こります。

具体的には

老化による身体や認知機能の衰え
配偶者や友人・知人との死別
定年退職などによる社会的役割の喪失
進学に伴う孫離れ

などがあげられます。

これらの喪失体験は、人によって
うつを発症するきっかけになりやすいことが知られています。

23の研究成果をいろいろな角度から比較した研究からは、
高齢期のうつが認知症の発症リスクを高めることがわかりました。

高齢期にうつを発症している人は
そうではない人と比べて、発症リスクが

認知症全体では1.85倍、
アルツハイマー型認知症では1.65倍
脳血管性認知症では2.52倍

に増えるという結果でした。

さらに、認知症の予備群である
軽度認知障害(MCI)の段階で、うつ状態の場合、
認知症への移行率が倍増するともいわれています。

下記の精神症状がみられるようになって

・それまでしていた趣味活動への興味がなくなる
・いつも疲れて寝てばかりいる
・子どもが独立して張り合いがなくなる
・最近配偶者を亡くし、孤独を感じる

それからしばらくして、
アルツハイマー型認知症を発症する例がみられます。

認知症予防の観点からは、
うつを早くみつけて対応することが大切になります。

気になる症状がみられた場合、
高齢者では持病などから通院をしているケースも多いため、
まずは主治医やかかりつけの医師に相談するのがいいでしょう。

今回取り上げましたうつに限らず、
認知症予防や介護全般にいえることですが、

本人や家族ですべてを抱え込んでしまって、
誰にも相談しないケースでは、あまりいい結果となっていません。

中央酪農会議が牛乳の消費拡大キャンペーンで作成した
『牛乳に相談だ。』のCMよろしく、周囲に相談すること、
つまりコミュニケーションが何事にも大事になってきます。

牛乳に相談だ(YouTube)
⇒⇒ https://www.youtube.com/watch?v=p0vozLag-uc

————————–
【文献】
Diniz BS, et al.
“Late-life depression and risk of vascular dementia and Alzheimer’s disease:
systematic review and meta-analysis of community-based cohort studies”
Br J Psychiatry 202 : 329-335 (2013)


今日からできる認知症予防:ストレス編


日本では至るところで
ストレス解消のグッズ販売やサービス提供
がなされています。

裏返せば、ストレスを感じて生きている人が
それほど多いということの証左でもあります。

ストレスというと、
家庭環境や職場環境などの社会的な要因、
不安や恐れ、緊張などの心理的な要因
をイメージされるかと思います。

定義上は、外界からその人が受ける刺激は
すべてストレスの原因となります。

例えば、
暑さや寒さ、明るすぎ、暗すぎ、騒音、悪臭
タバコ、お酒、薬
細菌やウイルス、花粉
などもストレスの原因となる刺激です。

多くの刺激はストレスと感じることなく、
自動的に処理されていますが、
一部の刺激はストレスとして受け取ってしまいます。

また、ストレスの感じ方は人によって千差万別で、
同じような刺激でも、Aさんはストレスに感じても、
Bさんは平気だったりします。

例えば、2017年1月〜3月まで日本テレビでは
『スーパーサラリーマン左江内氏』が放送されていました。

スーパーサラリーマン左江内氏 公式サイト
⇒⇒ http://www.ntv.co.jp/saenai/

おじさんのヒーロー(堤真一)が登場して、
身近で起こるさまざまな事件を解決!?していくという
コメディドラマです。

その家庭には鬼嫁と思春期の娘と息子、
職場には無茶ぶりの上司と全く尊敬してくれない部下。

なかなかストレスフルな環境かと思いきや、
本人は脳天気にうまく対処していて、
それらをストレスと感じていないようでした。

テレビドラマという、ちょっと極端な例でしたが、
加わるストレスの種類や大きさそのものよりも、
ストレスへの反応の仕方、つまり感じ方のほうが
心身に影響してきます。

認知症の発症リスクにおいても、
ストレスへの反応の仕方が影響していることが
指摘されています。

仕事関連のストレスの大きさが、30年後に
認知症発症に及ぼす影響を調べた調査研究があります。

仕事関連のストレスに対して大きく反応する人は、
そうでもない人と比べて、認知症の発症リスクが
約1.6倍に高まっていました。

同じストレスフルな職場で働いていたとしても、
そのストレスフルな環境をどう感じるかによって、
AさんとBさんとでは発症リスクが変わってくるということです。

一見するとストレスの原因にみえても、
それをストレスとして受け取らないことが
認知症予防では大事になってきます。

その意味においては、
先ほどの「スーパーサラリーマン左江内氏」に登場した
おじさんヒーローのように、脳天気なぐらいがちょうど
いいのかも知れません。

認知症の発症リスクを軽視するのは論外です。

かといって、深刻に考えて過ぎて、
認知症発症の不安やおそれに
心が支配されるのもよろしくありません。

「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ではないですが、
認知症に対する無知もしくは誤った理解は、
余計な不安やおそれを招きやすくなる要因です。

認知症について、ご自身や家族は
正しく理解できていますでしょうか?

ご自身や家族の認知症への理解について、
現在地を確認するのは有益なことです。

————————–
【文献】
Crowe M, et al.
“Do work-related stress and reactivity to stress predict dementia
more than 30 years later?”
Alzheimer Dis Assoc Disord 21 :205-209 (2007)


今日からできる認知症予防:睡眠編その3


2017年5月17日(水)のNHK番組「ガッテン!」では、
『これが世界最先端!“認知症”予防SP』が放映されました。

番組内では、新発見の認知症予防のポイントとして
適切な「睡眠」が大切であることを強調していました。

アルツハイマー病の予防に向けて、
世界中で研究が行われています。

アミロイドβは、
脳が活動した後に生じるタンパク質のゴミであり、
アルツハイマー病の原因物質と考えられています。

脳の活動に起因している以上、
アミロイドβは誰の脳内でも生産されており、
生産自体をゼロにすることはできません。

従来の予防研究は、ゼロにできないまでも、
アミロイドβの生産量を抑えられないかが主眼でした。

しかし、最近の米国の研究によると、
健常な人でもアルツハイマー病の人でも
アミロイドβが生産される量には
さほど違いがないことがわかったのです。

では、健常な人とアルツハイマー病の人とでは
何が違うのかというと、アミロイドβを排出する力に
差があったのです。

そして、アミロイドβの排出が促進されるのは
睡眠時であることも明らかになりました。

眠っているとき、脳細胞自身が縮むことで、
脳細胞間の隙間が広がり、広がった隙間から
脳内の老廃物が排出されるしくみとなっています。

起きている最中も脳内の老廃物の排出は行われていますが、
このしくみにより眠っているときのほうが効率よく排出されるのです。

脳のこうしたしくみをうまく活用しない手はありません。

アルツハイマー病とは、
脳のゴミがどんどんたまる一方の
ゴミ屋敷状態ともいえます。

世間をときどき賑わすゴミ屋敷も、
ゴミが生じること自体が問題ではなく、
ゴミを捨てていかないことが問題の本質です。

脳でも同じことがいえて、
ゴミをどんどん排出することが
大事というわけです。

脳がゴミ屋敷状態にならないためには、
脳内のゴミが効率良く排出される睡眠時間を
しっかりと確保したいところです。

 
番組内では、
6〜8時間の睡眠時間と日中30分ほどの昼寝が
おすすめと紹介されていました。

そういえば、最先端を走る研究者は、
徹夜を続けながら研究しているイメージがありますが、
実際にそうみたいです。

ですが、睡眠と認知症予防の関連を発見した研究者は、
夜はきちんと睡眠時間を確保するようにしたとかです。


今日からできる認知症予防:睡眠編その2


お昼ご飯を食べた後は、
どうしても眠くなるときがあります。

ご飯を食べて血糖値が上昇すると、
覚醒を司る脳内物質が低下します。

これに朝から活動が続いて、
身体が休息を欲しがるタイミングと重なり、
昼過ぎはどうしても眠くなります。

特に日頃から寝不足の場合は、この傾向が強くなります。

このときに少しでも昼寝をすると、
眠気がとれて、すっきりとするものです。

認知症予防の観点からも、
20分、長くても30分の短時間の昼寝を
とることがすすめられます。

昼寝の習慣(頻度と時間)について
337名のアルツハイマー型認知症の方と
その配偶者260名とを比較調査した研究※1があります。

この結果から、
アルツハイマー型認知症の発症リスクは
60分以下の昼寝では減り、逆に60分以上の昼寝では
高まることがわかりました。

また、茨城県利根町で、
30分以内の昼寝を含む生活習慣の改善指導を
行った研究があります。

指導を受けた人はそうでない人と比べて、
認知症の発症率が3/4程度に低下し、
記憶力テストの成績も向上していたことがわかりました。

さらに、睡眠状況と認知機能低下の関係を
2,747名の女性を15年間にわたって観察した
調査研究※2があります。

認知機能が正常に保たれた人と比べて、
認知機能が低下した人では、

・入眠障害(1時間以上寝付けない)
・途中覚醒
・2時間以上の昼寝

の割合が多くみられました。

昼寝をし過ぎると、夜の眠りが浅くなり、
夜の眠りが浅いと、日中どうしても眠くなり、
ついつい長く昼寝をしてしまう
というスパイラルに陥りがちです。

睡眠時は、アミロイドβを含む
脳内の老廃物の排出が活発化する時間帯ですので、
睡眠の質の低下は、アルツハイマー病の発症を
高めやすくなるといえます。

アミロイドβは、脳内でできるタンパク質のゴミのことで、
アルツハイマー病の原因物質と考えられています。

また、睡眠には深さによる段階があることが知られています。

20分から長くても30分の睡眠時間であれば、
比較的浅い睡眠にとどまり、起きた後も
頭がすっきりとして、活動も再開しやすくなります。

逆に30分以上の睡眠時間の場合、
深い段階の睡眠に入ってしまい、
目覚めてからもいわゆる寝ぼけた状態が続きます。

寝ぼけた状態では、活動意欲や活動量は低下し、
日中の活動量が減れば、夜の寝付きも浅くなります。

以上をまとめますと、

60分以上の昼寝はさけながらも、
20分程度の短時間の昼寝はすすめられる

ということになります。

また、多くの人が経験的に実感していることですが、
・人と会う
・趣味やボランティア活動に勤しむ
・運動するなど
日中にこれらの予定を入れておくことで、
昼寝のし過ぎをしくみとして防止することができます。

————————–
【文献】
※1
Asada T, et al.
“Associations between retrospectively recalled napping behavior
 and later development of Alzheimer’s disease: association
with APOE genotypes.”
Sleep 23 : 629-634 (2000)

※2
Yaffe K, et al.
“Preclinical cognitive decline and subsequent sleep disturbance
in older women”
Neurology 69 : 237-242 (2007)


今日からできる認知症予防:睡眠編


仕事や遊びで、夜更かしや徹夜をしたとき、
次の日はボーッとして頭がうまく回らないものです。

睡眠不足は、脳の働きにいい影響を与えないことは、
誰もが実感しているところと思います。

認知症と不眠を含む睡眠障害との関連では、
認知症が不眠を引き起こすだけでなく、
逆に睡眠障害が認知症の発症リスクを高めることも
あきらかになっています。

アルツハイマー病の原因物質とされているアミロイドβは、
脳内での量に日内リズムがあります。

アルツハイマー病のモデルマウスを使った実験から
断眠(眠らせない)を続けると、脳内でのアミロイドβの沈着が
約3倍にも増加することがわかりました。

この研究から、脳内のアミロイドβの濃度は日中変動しており、
起きているときは高く、眠っているときは低いことも示されています。

すなわち、起きている時間が長いと、それだけ
脳内のアミロイドβの沈着が増えることになります。

脳は睡眠中に脳内の老廃物(アミロイドβを含む)を
排出する作業を行っています。

この排出作業に、睡眠の量(時間)と質が
どの程度関係してくるのかについては、未解明の部分があり、
今後の研究でさらに明らかになると思います。

個人ごとに適正な睡眠時間は異なってきますが、
1日6〜8時間の睡眠はとりたいところです。

お父さんにおかれましては、日頃から
お仕事もしくは遊び過ぎで、寝不足気味ではありませんか?

6時間以下の睡眠が毎日続く場合、パフォーマンスは、
2日間徹夜したのと同じ状態まで低下するともいわれています。

認知症予防に限らず、日中の生産性の面からも
睡眠時間の確保は最優先のタスクにされるといいと思います。

————————–
【文献】
Kang JE, et al.
“Amyloid-beta dynamics are regulated by orexin and the sleep-wake cycle”
Science 326 : 1005-1007 (2009)


今日からできる認知症予防:聴力編


老化はさまざまな身体機能の低下を伴います。

高齢期特有の身体機能低下の症状として、
老眼とともによく知られているのが、
「老人性難聴」です。

人は加齢とともに聴力が衰え、
高音から聞き取りにくくなります。

人の話し言葉は母音と子音で成り立っていますが、
子音は高い音域にあたります。

そのため、高齢者にとって人の話し言葉は、
言葉の最初が聞き取りにくくなるため、

「音は聞こえるけれども、何を話しているのかわからない」

という状態がしばしばみられるようになります。

これは外界から入ってくる情報量の低下に
つながることになります。

そして、

脳に何かしらの影響を及ぼすだろうというのは
想像に難しくありません。

米国にて認知症の症状がない639人の高齢者を
14〜18年間追跡した調査研究があります。

聴力レベルは下記の4つに分類が行われています。

正常(24db以下)
軽度障害(25-39db)
中等度(40-69db)
重度(70db以上)

認知症の発症リスクを正常な人と比べた場合、
軽度障害で1.85倍、中等度で3.0倍、重度で4.94倍
高いことがわかりました。

老人性難聴は老化現象の一つですので、
現在の医学では老人性難聴を完治することは不可能です。

補聴器を装用して、少しでも聞こえずらさを補うか、
重症化予防を心がけることが、認知症予防につながります。

難聴の重症化予防には、
・ストレスをためないこと
・耳の血流をよくすること(運動とビタミンB類の摂取)
・大きな音を避けること
がポイントになっています。

————————–
【文献】
Lin FR, et al.
“Hearing loss and incident dementia”
Arch Neurol. Feb; 68 (2011)