認知症予防で大事なのは危機感


人の行動は、良くも悪くも、
直接的にも間接的にも健康に影響しています。

その人の行動、すなわち
何にお金と時間を使っているのかを調べれば、
健康的かそうではないかは見分けがつくものです。

では、その人に健康になってもらうには、
健康につながる情報をお伝えすればいいのでしょうか?

認知症の場合では、
認知症とはどんな病気で、
こんな兆候が出たら、危ないですよ、
認知症予防には○○をしましょう
・・と説明すればいいのでしょうか?

もちろん、
行動することで健康につながるという
情報が伝えられないことには、
行動につながることはありません。

ですが、同じ情報を受け取っても、
行動する人と行動しない人に分かれます。

認知症予防講演を開催しますと、
ときには大勢の方が駆けつけます。

とはいえ、100人の来場者のうち、
話を聞いて行動する人は、
5人いるかいないかともいわれています。

行動する人は思ったより少ないですよね、、、

ここからは企業の倒産を例にして、
行動する人と行動しない人との違いをみていきます。

国税庁のデータベースによると、
起業してから10年後も存続している企業は
100社中6社ほどといいます。

多くの会社が倒産していく中でも、
存続し続ける企業はあります。

うまくいっている企業と
倒産に追い込まれる企業とを分ける
決定的な要因は「危機感」です。

うまくいっている会社ほどいつも適度な危機感があり、
それが働く人たちに共有されて、みんな行動しています。

停滞もしくは衰退している会社ほど危機感がなく、
何となくのんびりとしているものです。

何事もないときにこそ、
危機に備えて準備をしておかないと、
いざ倒産の危機に見舞われたときに、間に合いません。

会社の倒産を、人の認知症に置き換えても
あてはまることでしょう。

ただ、企業の倒産と認知症の場合では、
以下の点で違いがあるので、注意が必要になります。

企業の場合、倒産しても再起を図ることはできますが、
認知症の場合、発症後は一部の原因を除き、
正常に戻ることはありません。

健康で何も問題のないときには、
危機感はなかなかもてないものだと思います。

それでも健康なときから危機感があるかないかで、
もしものときの行動が異なります。

危機感をもっていれば、
認知症の兆候がみられたときに
早い段階で医師に相談したり、
予防に取り組むなど行動を起こします。

その起こした行動には結果が伴います。

しかし、危機感がなければ、
いくら明確な認知症の兆候が出て、
自分でもそうだと感じていたとしても
行動はしないものです。

認知症の場合、行動しなければ、
あまりよろしくない状況に陥ります。

認知症予防において大切なことは、
体力も知力も気力もある元気なうちに、
早い段階から予防に取り組むことです。

つまり、行動することですが、
認知症予防においても、人の行動には
危機感の有無が影響を及ぼしています。

お父さんにおかれましては、

「(上司と鬼嫁がいなければ)今が絶好調!」

あるいは

「自分はこれまで病気になったことがない」

「祖父は90歳でも元気に煙草をプカプカ吸っていたが、
 自分はその血を受け継いでいる」

と余裕をかますことができる今のうちにこそ、
危機感をもって行動するべきではないかと思うのです。


意外と知られていない認知症のデメリットその3:人間関係が悪化する


認知症に対しては誤解も多く、
また、意外と知られていないこともあります。

認知症については、
マイナスのイメージは先行しているものの、
認知症がもたらすデメリットについては
意外と知られていなかったりします。

今回も、認知症がもたらすデメリットについて
確認していきます。

「認知症」では、
もの忘れや実行機能障害などの中核症状以外にも
妄想や攻撃的言動などの行動・心理症状(BPSD)も
みられるようになります。

環境や周囲とのかかわり合い次第では、BPSDの症状は悪化し、
怒りっぽくなったり、頑固になったり、疑い深くなったります。

介護拒否や暴言・暴力の症状が出ることもあります。

こうした態度は、介護する家族を戸惑わせ、
家族では対応がなかなか難しくなってきます。

認知症の介護をめぐって、
家族間がぎくしゃくしたり、もめたり、
最悪の場合、裁判にもつれ込むケースもあります。

介護のプロである介護職員・スタッフでも
認知症の人への対応には難しさを感じているといいます。

そのため、認知症はほかの病気以上に
介護の負担が大きくなる傾向にあります。

また、厚生労働省の調査では、
平成25年に虐待された高齢者のうち、
認知症をもつ人が85%という結果も出ています。

虐待に至るには、複合的な要因が重なっていますが、
認知症のBPSDが、介護する人にストレスをもたらし、
虐待を誘因しているのは十分に考えられます。
(もちろん、BPSDがみられるからといって
 必ずしも虐待につながるわけではありません)

この意味においては、認知症はほかの病気と違い、
家族や介護者との人間関係も悪化させやすいといえます。

介護の負担が大きく、介護者との関係性も傷つける
可能性がある認知症では、誰にとっても望まないけど、
やむを得ない介護が起きてしまっているのです。

なお、本人と介護者の間に、関係性が構築できていれば、
BPSDの症状緩和につながります。

BPSDの症状がないか、あっても軽微であれば、
本人と介護者との間にはさらなる関係性の構築が期待できます。

そして、逆の場合は、悪化していくBPSDが
本人と介護者との関係性を傷つけ、そのことが
さらにBPSDを重症化していくという悪循環に陥ります。

人との関係性を深めていくかかわり合い、
すなわち、人とのつながりはその活動自体が
認知症予防につながっています。

関係性を通して、お互いがお互いの理解を深めていくことは、
もしもの認知症のときに必要となる介護でも好影響していきます。

介護において、本人も介護者も
何が望みで、何が嫌なのかの理解が進めば、
BPSDの症状も緩和していくことでしょう。

以上をまとめますと、
コミュニケーションがいかに大事であるかということになります。

ちなみに、親やパートナーの
好きな食べ物やされて嫌なこと、
今興味あることや過去の歩みなど、
家族のことを十分に知っていますでしょうか?

「いいえ」になったとしても大丈夫です。

今からでもコミュニケーションを重ねて、
関係性を築いていけばいいのですから。

また、お父さんにおかれましては、
いつもの鬼嫁が寝静まってからの帰宅ではなく、
早めに帰宅して、ケーキのひとつでも買って、
ちょっと会話の時間をもつのはいかがでしょうか?


意外と知られていない認知症のデメリットその2:手術やリハビリが困難に


認知症に対しては誤解も多く、
また、意外と知られていないこともあります。

認知症については、
マイナスのイメージは先行しているものの、
認知症がもたらすデメリットについては
意外と知られていなかったりします。

今回も、認知症がもたらすデメリットについて
確認していきます。

認知症は脳の老化によって引き起こされますが、
老化は脳だけに影響しているわけではありません。

同じように骨や筋肉、内臓も老化してきており、
それだけ病気や怪我が増えることになります。

病気や怪我の中には、
手術を受けることで完治するものがあります。

例えば、白内障です。

眼の中の水晶体が濁る病気で、
60代で70%、70代で90%、80代でほぼ100%の人が
白内障による視力低下がみられるようになります。

現在のところ、手術による治療手段しかないのですが、
最近では簡単な手術で済み、日帰りも可能になっています。

通常の白内障の手術は、
局部麻酔で済ますことができます。

ただ、認知症が進行した人では、
安静にいることが難しくなりますので、
全身麻酔で行う必要がでてきます。

また、
怪我や病気の治療後はリハビリに進むわけですが、
正常と認知症の場合では、ここでも差が出てきます。

認知症が進んでしまっている場合、
リハビリのやり方を理解できない上に、
手順も覚えられないので、続けることが難しくなります。

それでは筋力などの回復効果が期待できず、
運動機能が低下して、そのまま寝たきりにつながります。

一般的に「認知症」では、
もの忘れや実行機能障害などの中核症状や
妄想や徘徊などのBPSDに目が行きがちになります。

男女ともに日本人の死因の第一位はがんであり、
認知症だけでなく、がんも合併する可能性は低くありません。

認知症の人は、どの病気についても
自覚症状を訴えることが少ない傾向にあります。

そのため、がんがかなり進行していても
自ら症状を訴えることは、あまりありません。

周囲が異変に気がついて、慌てて検査を受けさせる頃には、
がんがかなり進行していたケースは、実は少なくないのです。

そして、いざ検査や治療がはじまったとしても
認知症のため、通常の方とは同じように行うことは
難しいものがあります。

発見が遅れている上に、
処置も難しいという二重に苦しい状況に
本人も家族も陥ってしまうのです。

生活習慣病は、がんも認知症もその発症リスクを
高めることがあきらかになっています。

生活習慣病を基本疾病として抱えている人は、
認知症×がんというダブル発症も想定した未来を
考えておく必要があるかも知れません。

がんに対処することも、認知症に対処することも
それぞれが肉体的にも精神的にも経済的にも大変です。

それが発症の時期にズレはあったとしても、
同時に発症したときには、その大変さは
単に2つを足したどころではありません。

大変なものが2つ同時にやってきたときの大変さは、
会社では上司から詰められ、家庭では鬼嫁が待っている
お父さんでしたら、この大変さをわかっていただけると思います(笑)

以上を踏まえますと、
認知症の発症後は、正常時と同じような治療を受けたり、
リハビリを続けることが難しくなります。

虫歯一つにしろ、治せるものは元気なうちに
早めに治療を済ませておくことが大事になります。

また、生活習慣病を経て発症した認知症の場合、
がんとのダブル発症の可能性も高いため、注意が必要となります。

ちなみに、
認知症とがんの発症リスクを高める生活習慣病の改善は、
40代、50代の壮年期から取り組むのが効果的とされています。

生活習慣病の改善も後回しにすることなく、
今日これからでもはじめるといいでしょう。

この世の中において、遅らせてもいいものは、
怒ることと貸したお金の督促ぐらいではないかと、
わたしは思うのです。


意外と知られていない認知症のデメリットその1:病気にかかりやすく、治りにくくなる


ある高齢の方が発した言葉が
とても深く印象に残っています。

「がんにかかるのはいいが、
 認知症になるのだけはイヤだ」

この方のように、
数ある病気の中でもできればかかりたくないと
思われているのが、認知症です。

記憶が失われていき、
自分が崩壊していくというイメージが
強いからでしょう。

とはいえ、認知症に対しては誤解も多く、
また、意外と知られていないこともあります。

認知症については、
マイナスのイメージは先行しているものの、
認知症がもたらすデメリットについては
意外と知られていなかったりします。

今回は、認知症がもたらすデメリットについて
確認していきます。

認知症は脳の老化によって引き起こされますが、
老化は脳だけに影響しているわけではありません。

同じように骨や筋肉、内臓も老化してきており、
それだけ病気や怪我が増えることになります。

認知症により認知機能が低下すると、
正常なときであれば、気がついていた
病気のサインを見逃しがちになります。

普段とは違う痛み、血尿や血便などが
重篤な病気の兆候だとわからず、周囲が異変に気づいたときには、
かなり病気が進行していたケースがみられます。

また、病気だと気がついたとしても、
定期的に交通機関を使って通院するとなると、
認知症の人にはハードルの高い話であります。

また、生活習慣病を患っている場合、
アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の
発症リスクが高まります。

生活習慣病を患ったまま認知症になった場合、
運動や食事の改善を継続するのが困難になり、
生活習慣病の重症化が心配されます。

そして、薬で治療するにしても、
服薬管理も難しくなりますので、
家族などからのサポートが不可欠になります。

正常のときと比べて、
認知症は他の病気にかかりやすくなり、
また治りにくくなるといえます。

認知症だけでも
本人や家族のQOL(人生の質)が下がるのに、
他の病気も発症すると、QOLはさらに下がることになります。

認知症予防には、広義の意味において、
いろいろな病気の予防も含まれているのです。


認知症が問題ではなく、認知症に対する捉え方が問題なのである


ある経営者から次のような
格言を聞いたことがあります。

————————————————————
問題が問題ではない。
その問題に対する捉え方が、問題なのである。
————————————————————

人は生きている限り、
問題が起こることは避けられません。

問題の発生自体を
自分でコントロールすることはできないのです。

ただ、その問題に対する対処の仕方には、
選択の余地があり、自分でコントロールできます。

とはいえ、対処の仕方を選択するときに
影響を及ぼしてくるのが、問題に対する捉え方です。

正しく捉えていれば、正しい対処の仕方を選択でき、
間違って捉えていれば、間違った対処の仕方を
選択することになります。

これは、問題を認知症に置き換えても
通じる話ではないかと思います。

認知症は高齢になるほど発症リスクが高まるため、
誰もが認知症と向き合って生きていく必要があります。

生きている限り、本人や家族の
認知症を避けることはほぼ不可能かと思います。

ここで大事になってくるのは、
認知症に対する捉え方です。

認知症に対する捉え方に問題がある場合、
つまり、間違った理解や思い込みがあることで、
認知症への対処が後手に回ったり、間違ったりします。

例えば、認知症に対して

「歳を取れば、誰でもボケるし
 認知症はもう治らない」

と、捉えていて、
自分や家族にもの忘れの症状が出てきているのに
あきらめていませんでしょうか?

そのような捉え方から、
受診する機会が遅れたり、
適切な治療を受ける機会を失ったりすることが
起きています。

適切に対処できていれば、
本人も家族も苦しまなくても済み、
もっと楽に認知症と向き合えたはずだったのです。

認知症予防においては、
認知症に対する誤解を解き、
正しく捉えるプロセスも含まれています。

認知症研究は日進月歩で進歩しており、
以前は常識であったことが
今では非常識であることもあります。

認知症に対して古くて間違った考え方と
新しくて正しい考え方とを比較しながら、
自身や家族の認知症への理解を確認するとよいでしょう。

<古くて間違った考え方>
・認知症は歳をとれば誰もが発症する
 ↓
<新しくて正しい考え方>
・加齢によって発症リスクは高まるが、
 全員がかかるわけではない

<古くて間違った考え方>
・治らない病気だから、治療はムダである
 ↓
<新しくて正しい考え方>
・一部の認知症は適切な治療で治る可能性がある
 進行を抑えたり、症状を緩和する治療やケアもあるので、
 早めに専門家に相談することが大事

<古くて間違った考え方>
・どうせ認知症は防げない
 ↓
<新しくて正しい考え方>
・発症を遅らせたり、進行を抑える方法が
 いろいろと明らかになっている

<古くて間違った考え方>
・認知症予防は何か面倒くさい
 ↓
<新しくて正しい考え方>
・認知症発症後のほうがもっと面倒なことになる
 楽しくて、日常生活を豊かにする認知症予防がある

<古くて間違った考え方>
・認知症になってしまったら、
 何もしないで家の中でじっとしてもらう
 ↓
<新しくて正しい考え方>
・本人ができることに内容を変えても、
 役割までを奪わないことが大事


認知症診断その3:脳の中を調べる画像診断


認知症の疑いがあって認知症の診断を受ける場合、
問診、脳と身体のはたらきを調べる検査が行われた後は、
脳の中を調べる画像診断を行います。

脳の病変によって、認知症を発症していることが多く、
画像検査を通して、脳の内部を調べることができます。

画像検査は、大きく分けて二種類あります。

1)脳の形を調べる検査
CT検査やMRI検査などがあります。
脳の萎縮、脳梗塞や脳出血や脳腫瘍などの
脳内の病変の有無を調べます。

2)脳のはたらきを調べる検査
SPECT検査やPET検査などがあります。
脳の血液の流れや代謝を画像化し、
脳のはたらきの様子を調べます。

今日では、問診や神経心理学的検査の他に
画像検査の結果も踏まえた上で、
認知症の診断や治療薬の処方が行われることが
多くなっています。

また、画像診断は、一度だけでなく、
定期的に検査を受けることも大切です。

以前の画像と比べることで、
脳の萎縮の程度や進行具合を確認することができます。

アルツハイマー型認知症の場合、
画像検査はどのような結果になるのでしょうか?

MRI検査は、認知症の診断でよく用いられる検査です。

健康な脳とアルツハイマー病の脳のMRI画像を比べると、
後者のほうは、記憶を司る「海馬」に変化が現れており、
特徴的な萎縮がみられるようになります。

MRI検査からは脳梗塞の有無も確認することができます。

また、SPECT検査では、
脳の血流の状態を画像にして確認します。

健康な人の場合、正常な脳の血流の画像となるのですが、
アルツハイマー型認知症の人の場合は、
海馬などダメージを受けている部位の血流が悪いことが
画像から確認できます。

あと、PET検査では、
アルツハイマー病の重要な原因物質と考えられている
アミロイドβが沈着している様子を調べることができます。

画像検査には、次のような好事例がありました。

ある高齢の方のケースでは、
SPECT検査でアルツハイマー型認知症の初期と
同じ脳血流のパターンを呈していることがわかりました。

認知症の症状はまだ出ていない状態でしたが、
画像結果をきっかけにして、積極的に
予防活動に参加するようになったのです。

2年後でも、この方には
認知症の症状は認められませんでした。

画像診断の結果を踏まえて、
早期に認知症予防に取り組んだことが
認知症の発症を遅らせることにつながったのです。

この事例にならうのであれば、
予防活動に取り組むきっかけとして、
認知症診断を活用するのもひとつの方法といえます。


認知症診断その2:一般的な脳と身体の検査


認知症の疑いがあって認知症の診断を受ける場合、
問診が行われた後は、脳と身体のはたらきを調べる検査を行います。

脳のはたらきを調べる検査としては、
多くの病院では、神経心理学的検査として
改定長谷川式簡易知能評価スケールやMMSEが用いられています。

神経心理学的検査では、
テストを通じて、記憶力や見当識などの認知機能の状態を
数値化し、定量的・客観的に評価します。

数ヶ月ごとに検査を行って、点数が下がってきていると、
認知症の進行が疑われます。

なお、本人の体調次第で、点数は変わってきますし、
この検査の結果だけで認知症と診断されるわけでもありません。

本人も家族も一回の検査の点数で
一喜一憂しないことが大事になります。

さらに運動機能や神経のはたらきを調べる検査も行い、
原因となっている身体的疾病の有無を調べていきます。

例えば、脳の血管障害で引き起こされる脳血管性認知症の場合、
記憶障害などの認知症の症状に加えて、手足の麻痺や言語障害を
伴うことがあります。

以上、脳と身体のはたらきを調べる検査をみてきました。

これらの検査は、試験でもなく、
その人を評価するためのものでもありません。

認知機能や身体機能の中で、今の状態すなわち
保たれている機能とうまくはたらかなくなっている機能を
知るために行うものです。

今の状態を適切に把握することで、
今後の治療方針、必要な介護や支援の体制を
考えることができるようになります。

検査ではどのような数値がでるか不安ですし、
もしも、認知症と診断されたときのショックは大きいと思います。

そのようなときは、
周囲に気持ちを話したり、専門家に相談したりするなど、
一人で抱え込むことなく、どうぞつながりを求めてください。

受け止めてくれる人が必ずそばにいます。


認知症診断その1:本人と家族への問診


認知症の疑いがあって認知症の診断を受ける場合、
詳細な検査に進む前に「認知症かどうか」を判断する問診が行われます。

医師は、まず本人への問診を行います。

いくつかの質問やちょっとした世間話を通して、
記憶障害の有無を確かめていきます。

そして、本人の病識(自分は病気であるという自覚)が
あるかどうかも、問診でのポイントになります。

認知症の初期段階では、本人にはまだ病識がなく、
心配した家族に連れられて病院に来るケースが多くみられます。

一方で本人に「自分は認知症ではないか」と強い不安がある場合は、
うつや神経症の可能性が考えられます。

また、問診の際は、
本人だけでなく、家族や介護者に対する
聞き取りも重要になってきます。

認知症がある場合、
本人と家族との話に食い違いがあることが多いため、
それが重要な判断材料になるからです。

例えば、本人は「いつも自分が料理している」と答えても、
家族からは「料理らしい料理を作らなくなった」という回答であれば、
認知機能の低下により、手間がかかる料理を作ることができなくなった

・・とも考えられます。

家族への問診が行われる際は、
診察に同行した家族は、医師に対して具体的に説明することが

ポイントになります。

「もの忘れがひどい」という抽象的な言い方ではなく、
「洗剤を何度も買ってくる」など具体的に伝えるようにします。

加えて、家族への問診では、
もし、本人が認知症だった場合、
今後の治療方針についても話し合われることもあります。

このように認知症診断では、

問診はとても重要な役割を担っています。

逆にいえば、
問診で本人や家族に真摯に接してくれる医師を選ぶことが、
今後の認知症治療や介護を進める上では大切といえます。

一般的な認知症診断の流れを知って、受診への不安をなくそう


「おかしいな、認知症かな」と感じた場合、
他の病気と同じように、早めに受診することが
大事になります。

アルツハイマー型認知症の場合、
早い段階から治療を開始することは、
重症化を遅らせることにつながります。

また、一部の治りうる認知症の場合、
発見が遅くなると、治りにくくなる可能性があります。

家族や身近な人に気になる言動がみられた場合、
まずはかかりつけ医に相談してみましょう。

「もの忘れ外来」などの
認知症専門の医師を紹介してもらい、
受診するようにします。

一般的な認知症診断は下記の流れで行われます。

1) 家族や周囲からの情報収集
 日々の症状や病歴などを医師が確認
 ↓

2) 患者の診察・問診
 会話を通して記憶力などを医師が確認
 ↓

3)認知機能検査
 MMSEや改訂長谷川式簡易知能評価スケールなどを用いて
 認知機能を客観的に評価
 ↓

4)諸々の検査
 脳の状態を調べる検査や身体の状態を調べる検査など
 ↓

5)認知症の原因となっている病気の診断、家族への説明
 すべての結果を元に医師が総合的に認知症かどうかを診断

なお、診断の際は家族からの問診が大切になりますので、
本人の日常の様子をよく知っている家族が同行するようにします。

以上、一般的な認知症診断の流れをみてきました。

認知症診断で何が行われるかがわからず、
不安を覚えて、受診をためらう方がおられるかも知れません。

ですが、おおよそでも認知症診断の予備知識があることで、
不安が解消され、受診につながりやすくなります。

認知症治療は医療機関への相談がその第一歩となりますので、
ためらわず、病院に行くことが大切になります。

また、認知症と診断されなかった場合でも、
年齢とともに認知症の発症リスクは高まっていきますので、
定期的に受診することも心がけたいところです。


認知症にかかりやすいのは男性か女性か


認知症はさまざまな要因によって
引き起こされる病気です。

認知症の有病率に、男女差という要因は
どの程度関係しているのでしょうか?

男女差について検証した研究報告があります。

参考資料:平成23年度 筑波大学 朝田隆提出資料 P19(厚生労働省)

これを元に認知症有病率の男女差について
みていきたいと思います。

認知症の発症原因において半分以上の割合を占めるのが、
アルツハイマー型認知症です。

アルツハイマー型認知症の有病率では、
女性は男性より1.4倍ほど多いとされています。

なぜ男女差が生じるかは、諸説があり、

アルツハイマー型認知症は加齢がリスク要因であるため、
平均寿命が長い女性のほうが、自ずと発病者が多くなる

女性の健康を守ってきた女性ホルモンの分泌が
閉経後は低下するため、その恩恵が受けられなくなる

男性のほうが女性と比較して、脳容量が大きい分
認知予備力の蓄えも大きくなる

などと考えられています。

では、認知症の発症において、
男性は女性より安心できるかというと
実はそうでもなかったりします。

認知症の発症原因の中で
アルツハイマー型認知症に次いで多いのは、
脳血管性認知症です。

脳血管性認知症の有病率では、
男性のほうが女性より1.9倍ほど高くなっています。

三大生活習慣病(がん・脳卒中・心臓病)による
死亡率をみてみると、男性のほうが女性より高くなっています。

参考資料:死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(厚生労働省)

不摂生な生活スタイル、
過度の飲酒や喫煙などの生活スタイルは
生活習慣病につながりやすいです。

男性のほうが、こうした生活スタイルをとりやすく、
その分動脈硬化が進行し、脳血管性認知症の発症リスクを
高めていると考えられます。

「まさにわしのことではないか」と、
どきっとされたお父さんがいらっしゃるかも知れません。

ストレスも認知症にはよろしくないのですが、
驚かすつもりはありませんでしたので、どうぞおゆるしください。

以上を踏まえますと、
認知症予防の活動目標を考える際、
男女で少し比重を変えるといいかも知れません。

例えば、受験対策では、
限られた勉強時間の中でも合格圏に近づけるように
まずは苦手分野から克服していきます。

限られた時間の中で、
成果を出すという意味においては
受験対策も認知症予防も同じです。

受験対策と同じ考え方を認知症予防にもあてはめて、
苦手な分野の克服から予防活動に取り組むのもいいでしょう。

男性の場合は、
脳血管性認知症の発症リスクを抑えるべく、
生活習慣病の改善に取り組む、すなわち
運動不足の解消や食生活の見直し、禁煙など
生活スタイルを見直していく。

女性の場合は、
アルツハイマー型認知症の発症リスクの抑制につながる、
運動、食生活、知的活動、人とのつながりの活動を増やす。

・・を心がけると、認知症予防がさらに効果的になると思います。