認知症予防は40代からスタートするべき2つの理由


認知症予防は高齢になってから取り組むものと考えられていますが、実際は40代から認知症予防をスタートすることが望ましいです。

その理由は2つあげられます。

ひとつ目の理由は、若いときから認知症になりにくい生活習慣(運動や食生活、人とのつながりなど)を続けることで、脳を若く保つことができます。

いわば、認知症発症までの負けしろを増やすことができるのです。

この負けしろが多いほど、健康寿命が延びることであり、歳をとってからも元気に自立した生活を送ることができます。

特に運動習慣は脳を若く保つには大事でして、米国ボストン大学の報告には「40代で運動していた人は、運動していない人と比べて、60代のときの脳は若い」とあります。

(引用ここから)

脳の老化が0.5年ずつ進んでいく
 40代のときのトレッドミル運動負荷試験によると、普段運動していない人では、運動している人よりも運動したときの心拍と血圧への影響が大きかった。

 軽い運動でいわゆる「下の血圧」である拡張期血圧が高まった人は、60代になってからの認識力テストの結果が悪くなっていると分かった。

 40代で運動時の拡張期血圧が7.1mmHg高くなるごとに脳の老化は0.5年進むと分かった。同様に、運動時に心拍が毎秒8.3回早くなるごとに脳の老化は0.5年進んでいた。運動の許容量が低くてもやはり脳の老化につながった。

40代で運動すると60代の脳は若くなる、米国ボストン大学が報告(Medエッジ)

(引用ここまで)

またふたつ目の理由として、長年身につけたきた習慣をやめることはなかなか難しいことです。

新しい習慣を身につけるには、何か古くからの習慣をやめることが必要になります。

年とともに習慣が続くほど、習慣は強化されますし、そのように人格も固まってしまうため、年をとってから習慣を変えようとするのは至難の業であったりします。

何か脳の健康のために運動をしようと思い立ったとしても、身体がいうことを聞いてくれず、時には文字通り痛みを伴います。

この痛みにも打ち勝って前に進み出ようとするには、これまでに身につけてきた前に進もうとしてきた習慣の力がものをいうのですが、これまで習慣を培ってこなかった人には期待できるはずもありません。

良習慣は若いときから身につけておくことが大事なのです。

以上、40代から運動習慣がある人は、脳を若く保つことができ、また長年続けてきた運動習慣がより強固になり、良習慣が続くことから、ますます脳を若く保つことができるのです。

ときどき、高齢者が取り組む認知症予防が話題になりますが、今後は70代と40代の親子で取り組む認知症予防プログラムも求められるだろうと思います。

今いる高齢者の認知症発症を押さえながら、未来の高齢者である中年層の認知症発症リスクもさげなければ、永遠に認知症問題は解決しません。

そういう意味においては、これは知的活動にあたりますが、40代の子どもが使い慣れたパソコンやiPadの楽しく便利な使い方を、70代の親に教えるというのは、実は両者にとっての認知症予防であったりするのです。


要支援者に「二度と来ないでください」とさよならする新しい介護の取り組み


2015年4月から新しい介護保険制度が順次始まっています。

今回の改正により、要支援1、2の高齢者が利用する通所介護と訪問介護が給付対象外になりました。

これにより「要支援1、2」の高齢者向けの介護サービスの一部は、全国一律事業から市町村の独自事業に移行され始めています。

今回の市町村の独自事業への移行は「要支援者の切り捨て」との批判が根強くあるのは事実ですが、一度決まった制度を変えることは一朝一夕にいきません。

3年間の移行期間があるため、様子見の自治体も多い中、今回の制度変更を前向きに捉えて、「機能を改善して、積極的に要支援認定を卒業してもらう」ことを狙いに、先進的に取り組んでいる自治体があります。

大分県杵築市にある自立支援型デイサービス「笑顔(ほほえみ)の詩(うた)」さんの事例では、「できないことを補う介護サービスを提供するだけでは、かえって要介護度を進めてしまう」と「手を出さない介護」を徹底しています。

 出典:介護「要支援」市町村事業に 自立支援へ地域一体 先進の大分・杵築 九州34自治体が開始 本年度内見込み(西日本新聞)

実際に要支援の人の状態が改善して、要介護認定を全員【 卒業 】した事例があるとのこと。

施設内は通常の民家と同様に階段や段差があります。

また日常生活と同じように、人参、ゴボウ、しいたけなどと書き出された食材を見ながら、利用者がメニューを出し合い、メニューが決まれば自ら包丁や鍋を持ち、昼食を調理します。

この方法ですと、デイサービスを離れて自宅に戻ったときでも、デイサービスでの取り組み(日常生活に沿った介護サービス)を続けることができます。

デイサービスでの活動と日常生活での活動がリンクしているからこそ、要支援の状態から改善したのです。

高齢者にとって、自分の住みたいところで普通に日常生活を送ることができることは、お金では買えないかけがえのない財産です。

また周囲の家族も本人が健康で居続けてくれるのは切なる願いでもあります。

自治体にとっても介護給付の負担金を減らせるばかりか、健康都市をPRできるので、自治体のイメージアップや人口流入の増にもつながります。

要支援の高齢者を、積極的に要支援から卒業させる取り組みを実現している施設や団体には、自ずと人が集まり、人はこぞって高い価値を見出すことでしょう。


実際の寿命と健康寿命の意外な関係


 東京大学 高齢社会総合研究機構 特任教授:秋山弘子氏の研究に、実際の寿命と健康寿命との関係を調査した研究があります。

引用:超高齢社会に向けた大規模社会実験(高齢社会総合研究機構)

男女ともに70歳を過ぎて緩やかに自立度が下がっていく傾向があるのですが、いわば死に方について男性は3グループに、女性は2グループに分類されるといいます。

■男性

ピンピンコロリ型 1割 死ぬ間際まで健康寿命を維持して、ある日バタンと亡くなる
なだらか型 7割  徐々に弱っていき亡くなる
急降下型 2割  70代に急に弱って、そのまま悪い状態が続く

■女性

なだらか型 8割強  徐々に弱っていき亡くなる
急降下型 1割強  70代に急に弱って、そのまま悪い状態が続く

 とのこと。

健康な状態で長生きするためには、食生活や運動を含めたライフスタイルの中に健康につながる良習慣を形成していくことが大事になってきます。

認知症予防につながる4つの習慣として「運動」「食生活」「知的活動」「人とのつながり」が推奨されています。

いずれも長期間続けることで大きな効果が期待できますが、その中でも「人とのつながり」については相手がいてこそできる習慣です。

「ああ、○○さんにはまた会いたいな」と思ってもらえる存在でなければ、「人とのつながり」という良習慣を形成することはできません。

いわば人間的魅力が備わっていることが大事になってきますが、それは人との出会いによってこそ磨かれるものであります。

認知症予防にまだまだ関係ないよという40代、50代の方は、人と会うこと、特に自分とは違う分野の人との出会いを、今のうちに心がけておくとよろしいかと思います。

その人とのつながりが、歳をとってからの自分が生きるを支えてくれることになるのですから。