生活習慣病以外で心がけたい認知症予防


認知症の原因疾患で一番多いのはアルツハイマー病で、
次に多いのが脳血管障害となっており、この2つが
認知症の原因の約7割をしめています。

まずはこの2つの原因疾患の回避に努めることから
認知症予防はスタートするといえます。

どちらも生活習慣病との関連が指摘されており、
実際に生活習慣病の予防と改善に努めることは、
将来の認知症の発症リスクを低下させます。

そして、認知症の原因疾患の中で
一番多いアルツハイマー病については
生活習慣病以外にも発症の引き金に
なりやすいものがあります。

アルツハイマー病との関連が指摘される危険因子として、
下記の3つをあげることができます。

1)高齢期の寝たきり
軽度認知障害(MCI)の段階で寝たきりになり、
それがきっかけにアルツハイマー病を発症する
と考えられています。

2)頭のケガ
意識障害をともなうような頭部外傷を負った人は
統計上、そうでない人と比べて、アルツハイマー病を
発症するリスクが高くなっています。
(Tanya C. Lye, Neuropsychology Review 2000)

3)歯の喪失
歯の喪失や、その原因となる虫歯や歯周病が
アルツハイマー病の発症に影響しているといわれています。
(Singhrao SK, J Alzheimers Dis 2004)

4)社会的交流が乏しい
趣味がない、友人が少ない人は社会的交流が乏しくなりがちで、
そうした人はそうでもない人と比べて、アルツハイマー病に
なりやすいという報告があります。
(Fratiglioni L, The Lancet 2000)

これらに該当することで、必ずしも
アルツハイマー病を発症するわけではありませし、
いずれも生活スタイルを見直すことで防ぐことは可能です。

「もう歳だから」とコントロール外のものに焦点をあてるのではなく、
生活スタイルなど自分でコントロールできるものに焦点をあてて
行動を変えていくことが大切になってきます。

また、高齢者の転倒は、
寝たきりや頭のケガのきっかけになるおそれがあります。

筋力低下を防ぐなり、バリヤフリー対策を講じるなりの
転倒防止対策は早い段階から心がけたいところです。


たばこをちょっと休んでみませんか?


世の中には因果関係がまだあきらかではなく、
判断に迷うものがいくつかあります。

こと喫煙に関しては、健康を害することで
満場一致の見解が得られています。

厚生労働省は2020年の東京オリンピック開催を意識して、
受動喫煙対策の強化に向けて法整備を進めています。

といいますのも、
2004年以降、すべてのオリンピック開催都市は
罰則付きの受動喫煙防止策を導入しているため、
日本だけ受動喫煙を放置というのはできないのです。

最近では、公共の場所やオフィスなどでは、
喫煙できるスペースが徐々に減っており、
肩身の狭い思いでたばこを吸われている
お父さんも多いのではないかと思います。

これほどまでに喫煙が目の敵にされるには
それなりの理由があります。

たばこの煙には、200種類以上の
有害物質が含まれているといわれています。

その中でも、ニコチン、タール、一酸化炭素が
三大有害物質としてよく知られています。

ニコチンは血管を収縮させるとともに、
血圧を上昇させる物質の分泌も促すため、
1本吸うだけでも血圧を上昇させます。

そして、ニコチンには強い依存性があり、
危険薬物であるヘロインやコカインよりも
依存の危険が高いといわれています。

また、一酸化炭素は全身を酸欠状態に陥らせるため、
運動能力を低下させたり、動脈硬化を促進したりします。

高血圧や動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高め、
しいては認知症の発症リスクを高めることにつながります。

また、複数指摘されている認知症の危険因子の中でも、
喫煙は受動喫煙をとおして周囲の人も危険にさらすため、
タチが悪い危険因子といえます。

喫煙は「百害あって一利なし」で、
是非とも自分と家族のために禁煙を実行したいところです。

とはいえ、禁煙に取り組んだときから
10日間ほどは禁断症状が出やすいといわれています。

禁煙成功者の体験談などから
禁断症状とうまく付き合うコツがまとめられていますので、
禁煙に取り組む際は参考にするとよいでしょう。

<禁断症状とうまく付き合うコツ>

◎イライラ、集中力低下
 ⇒深呼吸やストレッチで気分をリフレッシュする

◎めまい、頭痛
 ⇒水分を補給して安静にする

◎便秘
 ⇒軽い運動、食物繊維や発酵食品を積極的にとる

◎咳やたん
 ⇒うがいをして、水分を補給する

◎眠気、だるさ
 ⇒軽い運動で体をほぐす、短時間仮眠をとる

◎食欲増進
 ⇒野菜をたくさん食べる、ガムを噛む

◎タバコを吸いたい
 ⇒歯を磨く、水やお茶を飲む
 ⇒とにかく10分待ってみる
 ⇒禁煙に取り組む仲間をみつける
 ⇒禁煙で得られるメリットを書き出してみる


適度な運動で認知症予防


認知症の危険因子の中でも
特に危険度が高いとされているのが
「身体不活動(運動不足)」です。

アルツハイマー病の危険因子の危険度を調べた
米国の調査研究から、高血圧や喫煙、うつ以上に、
運動不足が大きく影響していることがわかっています。
(Barnes DE, Lancet Neurol 2011)

運動不足が続くと、生活習慣病である
肥満、糖尿病、高血圧などにもかかりやすくなるため、
脳血管障害を招きやすくなります。

健康を意識して、食生活を見直した後は、
「適度な運動」にも取り組みたいところです。

とはいえ、
認知症や生活習慣病を予防するための運動であれば、
激しい運動に取り組むのは得策ではありません。

これまで運動してこなかった人が(気合いが入って!?)
いきなり激しい運動をはじめても、長続きしないのがオチだからです。

また、激しい運動を長く行うと、かえって
脳内出血やくも膜下出血を増やす恐れがあることを
示唆する研究成果も報告されています。
(Kubota Y, Stroke 2017)

まずは日常生活でこまめに体を動かすところから
意識するとよいでしょう。

例えば、
エレベーターやエスカレーターの利用頻度を減らして、
なるべく階段を使うようにする。

遠くのショッピングセンターに車で行くよりも
近所の商店街などに歩いて出かける。

仕事やボランティア活動、人と会うなど、
定期的に外に出かける用事をつくるなどです。

こうして日常生活の中で
体を動かすことに慣れてきたら、
1日30分の軽めの運動を週3回を目安に
運動する習慣を身につけていきます。

このときの軽めの運動としては、
「ウォーキング」が推奨されています。

また、ランニングに比べて体への負担が少なく、
高齢者など比較的体力のない人にも勧められる
「スロージョギング」を取り入れるのも手です。

スロージョギングとは、歩く程度の
ゆっくりした速度で走るジョギング法で、
速く走るのではなく、楽に走るのを目標にしています。

ウォーキングもスロージョギングも、
時と場所を選ばず、比較的安全にできる運動です。

道具さえ揃えてしまえば、お金もあまりかかりません。

実際に取り組む際は、下記のポイントに
注意しながら行うようにしましょう。

<ウォーキングやスロージョギングを行う際のポイント>

◎服装は動きやすく、発汗性・吸湿性に優れたものを選ぶ

◎タオルと水分は必ず携帯する

◎運動前にも水分をとり、運動中はのどが渇く前に水分を補給する

◎運動中にほどけないように、シューズの靴ひもはしっかりと結ぶ

◎両うでをしっかりと触れるように、
 必要なものはウエストポーチに入れておく

また、人は達成感を味わうと、次の快感情を求めて、
行動が継続する傾向があります。

最初のうちは、ちょっとだけでも歩けば、
「よくできた」と自分を誉めるようにするとよいでしょう。

また、運動の記録を日記や表などにつけておくと、
自分の行動や成長が見える化できるため、
モチベーションの維持につながります。

長く続けるコツを活用しながら、適度な運動を習慣化することで、
認知症や生活習慣病になりにくい生活スタイルが実現できます。


減塩をおいしく続けて認知症予防


認知症の主な原因はアルツハイマー病と脳血管障害で、
いずれも生活習慣病との関連が指摘されています。

生活習慣病の予防と改善を考える際、
塩分のとり過ぎには注意を払う必要があります。

塩分のとり過ぎは高血圧につながり、
特に脳血管性認知症の発症リスクを高めます。

厚生労働省では、生活習慣病の予防を目的とした
食塩摂取量の目標値を以下のとおりとしています。

 18歳以上男性:8.0g/日未満
 18歳以上女性:7.0g/日未満

 出典)日本人の食事摂取基準(2015 年版)

しかし、同省が発表している
「国民健康・栄養調査(平成27年)」によりますと、
食塩摂取量の平均値は10.0g であり、
男性 11.0g、女性 9.2gとなっています。

この10年間では、総数、男女とも減少傾向ですが、
もう一つ取り組みが必要のようです。

また、塩気の強い味付けでは、
食欲が増すため、食べ過ぎてしまい、
ひいては肥満につながります。

そのため、上手に減塩して、
薄味になれるようにもしたいところです。

塩分を選らすには、まずは食塩や醤油などの
調味料の使用量を減らすとよいです。

また、佃煮や漬物、干物やハムなどの
塩分が多く含まれている加工食品を
とり過ぎないことも大切です。

とはいえ、これらを実践すると、
どうしても薄味になります。

今日から減塩をはじめようと思っても、
いきなりすべての品が薄味になってしまうと、
脳がおいしいを感じられず、挫折しがちです。

減塩をおいしく続けるコツとして、
「一品だけは今までどおりに塩分を使った料理」
にするとよいでしょう。

食べたという満足感が損なわれにくいため、
取り組みが長続きしやすくなります。

また、減塩に向いている料理法とそうでもない料理法があります。

減塩に向いているのは、水分をあまり使わない調理法で、
「焼き物」「炒め物」「あえ物」「揚げ物」などです。

ちなみに塩分の代わりに酢を加えることで、
味付けの物足りなさをカバーすることもできます。

一方、減塩に向いていないのは、水分を多く使う調理法で、
「ゆで物」「煮物」「汁物」があてはまり、うま味が逃げてしまうのです。

減塩に向いていない調理法で減塩に取り組んでも、
物足りなさからなかなかに辛いものがあります。

減塩に向いている調理法で減塩に取り組むのであれば、
食べたときの満足感を得やすく、長続きするものです。

また、土地柄などで、
味付けされた料理(漬け物や和え物、塩焼きなど)に
さらに醤油や食塩を足していた人は、それを止めて、
そのままの味付けを楽しむようにしたいところです。

減塩したときでも、
カツオ節や昆布などでとっただしのうま味を利用する、
コショウや唐辛子などの香辛料で風味をつけると、
おいしく感じやすくなります。

減塩の料理に創意工夫をもって取り組むことは、
普段の料理でも新しいことにチャレンジすることになります。

新しいことにチャレンジして、いわば脳が汗をかくことは、
脳の活性化にもつながります。


栄養バランスのとれた「和食」で認知症予防を!


認知症の主な原因はアルツハイマー病と脳血管障害で、
いずれも生活習慣病との関連が指摘されています。

そして、「肥満は生活習慣病の元」といわれており、
生活習慣病の予防には肥満対策が不可欠です。

肥満対策は、まず食べ過ぎをやめて、
摂取エネルギーを減らすことからはじまります。

食べ過ぎを抑えるには下記の記事をご参照ください。

生活習慣病ひいては認知症の元凶である
「食べ過ぎ」を防ぐ7つのコツ
http://genki-bit.com/blog/anti-dementia/795/

そして、肥満対策には食べ過ぎだけでなく
食事内容を見直すことも大切になります。

カロリー摂取を気にするあまり、
偏った食事内容になって、栄養不足に陥りますと、
健康なからだをつくり、維持するのが難しくなります。

また、戦後の日本では、食事スタイルが欧米化したことで、
動物性脂肪やカロリーの摂取量が一気に増えました。

その結果、肥満や糖尿病などの生活習慣病の増加を
招いたといわれています。

そこで、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、
食物繊維などの栄養素をバランスよくとれる「和食」を
見直したいところです。

昔ながらの魚や野菜を中心とした和食を心がけることで、
身体に必要な栄養素をバランスよくとることができます。

和食の基本スタイルは「主食+1汁2〜3菜」です。

主食は、糖質の供給源
(米など)

主菜は、脂質、たんぱく質の供給源
(魚介類、肉類、卵、大豆製品など)

副菜は、ビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源
(野菜、いも類、キノコ・海藻類など)

汁物は、主菜・副菜で不足しがちな栄養素を補う役割
(みそ汁やスープ、牛乳や野菜ジュースなど)

をそれぞれに担っています。

なお、和食だから何でもいいわけではなく、
アンバランスにならないような工夫が必要になります。

それには主食と主菜、汁物は原則として、
それぞれ1品ずつを心がけるとよいでしょう。

それぞれが2品以上になりますと、
主食では糖質、主菜では脂質、汁物では塩分の
過剰摂取につながります。

また、全体的に和食では塩分をとり過ぎる傾向がありますので、
塩分の過剰摂取に注意するようにします。

そして、バランスのとれた食事スタイルを取り入れたい場合、
1日に食べたものを書き出すとさらに効果的です。

毎食の食事内容を振り返ることで、
自分の食事パターンがどのようなものか見えてきます。

食事パターンでは、
油を使った料理(揚げ物、炒め物など)は
できるだけ重複しないようにしたいところです。

1食の中でも1日の中でも、油を使った料理を食べたときは、
別の料理法で作った料理を食べるようにしましょう。

例えば、
昼食は魚を意識してアジフライ定食を選んだけれども、
夕食には野菜炒めが出てきて、一日の食事内容が
油を使った料理に偏っているときがあります。

食事ごとにはバランスを意識した内容でも
一日の全体ではアンバランスだったということは、
実際に食べたものを書き出してみると、見えてきます。

最近では、スマホで食事の写真を撮ると、
食事管理をしてくれるアプリが提供されていますので、
こうしたツールを活用すると、記録をとるときに便利です。

また、食事内容を記録する際、
あえて二日前の食事内容を思い出すようにすると、
記憶力を鍛えることになり、さらなる認知症予防につながります。


認知症は十分に予防できるのです


人は生まれた以上、歳をとって
老いていくことが定められています。

加齢は認知症の危険因子のひとつで、
実際に高齢になればなるほど、
認知症の発症リスクは高くなります。

85歳以上の高齢者の約3人に1人が
認知症であるといわれています。

とはいえ、人は老いれば、
誰しも認知症にかかる可能性があるものの、
認知症の予防もしくは発症を遅らせることは
十分にできることがわかってきています。

認知症の原因疾患で一番多いのはアルツハイマー病で、
次に多いのが脳血管障害となっており、この2つが
認知症の原因の約7割をしめています。

まずはこの2つの原因疾患を回避することに努めることは、
理にかなった認知症予防といえます。

アルツハイマー病については、
発症のメカニズムが未解明なところもありますが、

・運動
・抗酸化食品や不飽和脂肪酸の摂取
・知的活動
・対人接触

などが発症リスクを低減するという
研究結果が報告されています。

最近では、生活習慣病によって、
アルツハイマー病の発症リスクが高まる
という報告もあります。

また、脳血管障害は、
糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病によって、
発症の危険度が高まります。

認知症の全容は解明されていないところもありますが、
認知症の発症リスクを高める危険因子のほとんどが、
生活習慣と関係しています。

アルツハイマー病と脳血管障害において
日々の暮らしの中でかかわってくる危険因子を
それぞれまとめてみました。

<アルツハイマー病>
・加齢
・歯の喪失
・運動不足
・食生活
・高血圧
・糖尿病
・遺伝要素 / 家族歴
・頭部外傷
・低頻度の知的活動
・低頻度の対人接触
 など

<脳血管障害>
・加齢
・高血圧
・脂質異常症
・肥満
・糖尿病
・食生活
・運動不足
・飲酒
・喫煙
 など

加齢や遺伝など一部のものについては、
自分ではコントロールできませんが、
ほかの多くは自分でコントロールすることが可能です。

危険因子を避ける生活スタイルを心がけることで
認知症の発症リスクをさげることにつながります。

つまり、認知症は十分に予防できるのです。

また、認知症予防に励んで楽しんでいる人の
体験談などをみていますと、

「同じ立場の仲間と会話をすること」

が大切と話される人が多いです。

一人で黙々と生活スタイルの改善に励むのもいいですが、
同じ立場の仲間を見つけて、一緒に認知症予防に励むのが
成功の秘訣といえます。

人はよくも悪くも環境から影響を受けやすいため、
動かざるを得ない環境(グループ)に身を置くことで、
自分一人では難しい生活スタイルの改善もうまくいきやすくなります。

地域を探せば、こうした予防教室やグループ活動が
いくつも見つかりますので、是非とも活用するとよいでしょう。


アルツハイマー病は予防がまず大切


現在、日本の認知症の発症者は約500万人、
認知症の予備群とされる軽度認知障害(MCI)の人は
400万人以上とみられています。

認知症の約7割をしめるのがアルツハイマー病で、
そのアルツハイマー病の原因と考えられているのが、
アミロイドβやタウという特殊なたんぱく質の蓄積です。

この特殊なたんぱく質の蓄積によって、
神経細胞が壊れて死んでしまうために
認知症の症状を呈し、脳全体も萎縮していくと
考えられています。

その意味では、アルツハイマー病を克服するには、
アミロイドβやタウというたんぱく質の蓄積を
抑えればよいことになります。

製薬各社は、この見解に基づき、
根本的なアルツハイマー病の治療を実現する
薬の開発にしのぎを削っています。

中には効果が期待されたものもありましたが、
今のところ結果は惨敗です、、、

そのため、根本的な認知症治療薬は
いまだに開発されていないのが現状です。

治療薬の開発が失敗してきた原因のひとつとして、
投薬するタイミングが遅すぎると考えられています。

つまり、認知症の症状が見られるようになった時点では、
神経細胞の死滅がそれなりに進んでおり、薬が作用しても、
脳はすでにやられているということです。

さらに由々しき問題があり、
仮に治療薬の開発に成功したとしても、
認知症を発症するかなり前から薬を、しかも
死ぬまで飲み続ける必要がある点です。

長期間の薬の服用による副作用や膨大なコストを考えると、
実用に向けてはさらにハードルが高くなります。

その意味では、アルツハイマー病は
治療よりも予防することが大切になります。

心疾患や脳卒中と同じように、
病気になってから「治す」ではなく、
ならないように「予防する」にまず注力するのです。

幸いなことに治療薬の開発と並行して、
アルツハイマー病の予防の研究も進んでおり、
科学的に確証の高い予防法があきらかになってきています。

その予防法のひとつが、
糖尿病や高血圧などの生活習慣病にならないように心がけることで、
これには運動習慣とバランスのよい食事スタイルが欠かせません。

また、日頃から頭を使う、人と会うことを習慣にして、
脳を鍛えておくことも大切になります。

薬と違い、これらの予防法のほぼすべては副作用がないため、
安心して家族にも勧めることができます。

「スーパー治療薬が開発されて、人類は認知症から解放される」

このように期待できる状況に今はそうでもないですし、
薬の開発はそもそも自分のコントロール外の出来事です。

それよりも、自分がコントロールできる範囲内の

・認知症についての正しい理解
・認知症予防につながる行動

このことを選択していくことが賢明であり、
現実性の高いアルツハイマー病対策ではないかと思うのです。


生活習慣病ひいては認知症の元凶である「食べ過ぎ」を防ぐ7つのコツ


脳が正常に機能するには、
血液が運んでくる酸素や栄養素が不可欠です。

脳は重さにしたら、体重の2%ほどですが、
脳の酸素消費量やエネルギー消費量は
全身の約20%に相当するといいます。

そのため、何かしらの原因で
脳への血流が悪くなったり、途絶えたりすると、
脳の機能が低下するか、脳の神経細胞が死滅するかして、
認知症の症状を呈するようになります。

脳の血流を悪くする主な原因は、脳の老化や動脈硬化です。

そして、動脈硬化を促進する危険因子は、
高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病です。

さらに「肥満は生活習慣病の元」といわれており、
生活習慣病の予防には肥満対策は不可欠となっています。

特に中年期の過体重および肥満は、
アルツハイマー型認知症および脳血管性認知症の
発症リスクを高めることがわかっています。

認知症予防は、お父さんのような中年期から
すでにはじまっているのです。

認知症と生活習慣病の両方を予防する観点からも、
肥満の予防や改善には本腰を入れたいところです。

肥満の予防や改善には、
運動により消費エネルギーを増やすと同時に、
食べ過ぎをやめて、摂取エネルギーを減らすことが
必要になります。

特に食生活の改善なしに、
運動を強化してもあまり意味がありませんので、
まず取り組むべきは、食べ過ぎを防ぐことになります。

食べ過ぎる人の食べ方をチェックしてみますと、
そもそも食べ過ぎる行動パターンをとっています。

例えば、「早食い」「まとめ食い」「ながら食い」などは
食べ過ぎに陥りやすい食べ方です。

逆にいえば、
「早食い」「まとめ食い」「ながら食い」をしながら
食べ過ぎないというのは、至難の業なのです。

ということは、
食べ過ぎない行動パターンを心がけることで、
食べ過ぎを防ぐことができます。

ここからは食べ過ぎを防ぐ行動パターンを
確認していきたいと思います。

<食べ過ぎを防ぐ7つの行動パターン>

1)ゆっくりとよく噛んで食べる
 (目安は1口30回噛む)

2)テレビやスマホを見ながらなど、ながら食いをやめる

3)家の中で食べる場所は1ヵ所に限定する

4)1日3食、できるだけ時間を決めて食べる

5)おかずはひと口残す

6)ご飯のお代わりは5分待ってから

7)1回の食事でまとめ食いはしない

これらの行動パターンを意識しはじめた頃は、
気がつけば元の食べ過ぎの行動パターンに戻っているかもしれません。

ですが、辛抱強く意識して行動を繰り返していれば、
最終的には意識せずともできる、すなわち習慣にまでなります。

食べ過ぎるきらいがある人は、
自分が食事する際の行動パターンを自分で確認するか、
身近な人に確認してもらうとよいでしょう。

例えば、自分のことを早食いだと思っていなくても、
身近な人の評価は違っていたりするものです。


認知症予防に向け「全国認知症予防ネットワーク」発足


2017年9月4日 (月)に、
東京・永田町の衆議院第一議員会館において、
「全国認知症予防ネットワーク設立総会」が開催されました。

総会内では、同日に発足した「全国認知症予防ネットワーク」の
設立趣旨や事業内容、参加団体・企業などが発表されました。

呼びかけ人は、衆議院議員の鈴木隼人氏で、
ボランティア団体「認知症予防の会」が事務局を務めます。

同会が目指すところは、認知症になる人を一人でも減らすこと、
また認知症の人の進行を少しでも遅らせることです。

認知症予防に取り組む16団体と2企業が参加し、
協力関係を築きながら、認知症予防の発展・普及のために
活動していきます。

今後の活動内容として、
認知症予防の質の向上のために勉強会や団体間交流が行われる他、
認知症予防を普及啓発するシンポジウムの開催などを行うとしています。

また、設立総会に続いて、「認知症予防サミット」も開催されました。

厚生労働省と経済産業省の担当者による基調講演の後には、
認知症予防をテーマにパネルディスカッションも行われました。

パネルディスカッションのモデレーターは、
認知症予防の会代表である衆議院議員の鈴木隼人氏。

パネリストとして

日本イーライリリー株式会社
研究開発本部担当 副社長 藤本利夫氏

東京都健康長寿医療センター
社会参加と地域保健研究チーム 鈴木宏幸先生

元気!ながさきの会
代表 伊藤登氏

の三人がそれぞれの専門や経験から話をされました。

その中では下記の内容が印象に残っています。

「認知症は症状であって、その症状をもたらしている原因がある。
 認知症は本人の意思や性格に起因するものではなく、
 また外見上は変わりがなくても、脳の病気によるものである。
 周囲はこのことを理解して、ふさわしい対応が大切になってくる」

「アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβがたまったとしても、
 取り組み次第で、認知症の発症を遅延させた事例がある」

「認知症の正しい理解が全国的に普及するには、
 政府やメディアの情報発信もさることながら、
 正しい理解をもった人たちが身近な人に伝えていく、
 そして、その輪が広がっていくが不可欠である」

認知症予防に携わる人材育成を事業とする
当法人においても、目的とするところは同じです。

一般社団法人元気人も
全国認知症予防ネットワークの設立趣旨に賛同し、
同会の参加団体・企業のひとつとして名を連ねております。

同会に参加される皆さまと協力しながら、
認知症ゼロ社会の実現に向けて取り組んでまいります。


認知症予防に関するおすすめの書籍


4人に1人が65歳以上の高齢者がしめる日本では、
高齢者をめぐるさまざまな問題が生じています。

その問題の一つは、認知症の増加と介護の問題です。

ですが、この問題の深刻さに反比例しているのが、
当事者の認知症や介護に関する知識や理解と思います。

「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」という
孫子の兵法でとても有名な言葉がありますが、
認知症や介護についてもあてはまります。

認知症や介護の問題について適切に対応するには、
これらについての正しい知識や理解が不可欠です。

それを手助けしてくれる書籍をご紹介したいと思います。

トップ専門医の「家庭の医学」シリーズ
『スーパー図解 認知症・アルツハイマー病』。

認知症という病気のメカニズムから、
予防、早期発見のサイン、治療法、
安心して暮らすための介護のコツまで
網羅的に取り扱っています。

そして、書籍の構成が、
カラーの図解と平易な文章からなっており、
認知症のことがわかりやすくまとめられています。

そのため、文字を読むのがちょっと苦手という方は、
パラパラと図解ページから読むとよいでしょう。

また、本書からは認知症予防を考えるうえで、
2つの大事な視点(思考パターン)を得ることができます。

ひとつめは「認知症は先手必勝であること」。

武道でもビジネスでも、必敗のパターンがあり、
それは「後手に回る」ことです。

認知症においても例外ではありません。

認知症において対応が後手に回りますと、
こちらのペースで動ける範囲が狭くなるため、
質と量において、選択肢が限られてしまいます。

そして、対応が後手に回る大きな理由は
情報不足と(偏見からの)間違った判断によります。

本書は、東京都健康長寿医療センターの医師が
執筆と監修に携わっています。

本書をとおして、エビデンス(科学的根拠)に基づいた
認知症の知識と理解を得ることができます。

そして、ふたつめの視点は、
「認知症は誰でもなる可能性があること」。

つまり、自分や家族の認知症発症を
あらかじめ想定しておくということです。

加齢が認知症の大きな危険因子である以上、
長生きをすれば、誰もが認知症にかかる可能性があります。

年齢別の認知症の割合を調べた統計データによると、
85歳〜89歳で約40%、90歳〜94歳で約60%、
95歳以上で80%とあります。

その意味では、どれだけ認知症予防に努めたとしても、
認知症にかかる可能性はあり、認知症発症を想定しておくことも
大事になってきます。

自分も家族もいつかは認知症を発症するかもと
想定しておけば、将来の介護に備えて、
早い段階から準備を行うことができます。

本書には、認知症のサインやその治療、
介護が必要になったときの対処法が
わかりやすくまとめられています。

認知症の人の言動や行動を知っていれば、
無用な混乱や困難が避けやすくなります。

親の認知症が心配な家族の方も、
また自身のもの忘れが気になる方も、
本書を手元に置いておかれるのをおすすめします。

家族間に認知症に関する共通の知識や理解があることで、
予防や治療、介護はよりスムーズなものになっていきます。

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◆目次◆

第1章 認知症は先手必勝―シグナルチェックと予防法
第2章 正しく理解しよう、認知症
第3章 認知症の最新治療
第4章 認知症の家族とともに生きる

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