60歳以上の認知症予防:食事編


認知症の発症原因は、70近くあるといわれていますが、
割合ではアルツハイマー病と脳血管障害で約7割をしめています。

この2つの認知症の発症原因を回避することから
認知症予防はスタートするといえます。

近年の研究からは、脳血管障害だけでなく、アルツハイマー病も
運動や食事などの生活習慣が関係していることがわかっています。

生活習慣であれば、多くの場合でコントロールが可能で、
生活習慣を見直すことで、認知症に強い脳とからだ作りが達成されます。

とはいえ、認知症に強い生活習慣を確立するにあたり、
どこに比重を置くかは年代によって変わってきます。

今回は60歳以上が心がけたい「食事」についてみていきたいと思います。

高齢になると食が細くなりがちですので、
60歳以上では”低栄養”に陥らないことが大切になります。

脳細胞は脂質とたんぱく質で構成されており、
栄養状態はそのまま脳の健康にも影響を及ぼします。

そのため、何かの病気で食事制限が必要でなければ、
栄養をどんどんとるようにします。

群馬県と新潟県に住む70歳以上の約1,150名を対象に
栄養状態と認知機能との関係を調べた調査研究があります。

この研究結果から、低栄養状態だと
認知機能が低下しやすいことがわかりました。

血液検査の項目の中で、
・アルブミン値(血液中のたんぱく質)
・HDL(善玉)コレステロール値
・赤血球数
の3つの指標が、認知機能の低下と強く関連していたのです。

認知機能の低下リスクとしては、
アルブミンが低い人は、そうでもない人と比べて約2倍
HDLコレステロールが低い人は、そうでもない人と比べて約1.8倍
赤血球数が低い人は、高い人と比べて約2.6倍
それぞれ高くなるという結果でした。

つまり、栄養状態が悪く、貧血傾向にある人は、
将来的に認知症になりやすいといえます。

食習慣は長年にわたって心身の健康に影響しますので、
60歳を過ぎたら、自身の食事内容を振り返って、
必要があれば、見直したいところです。

また、高齢の一人暮らしだからと、
麺類など手軽にできる食事ばかりとっていますと、
栄養が偏りがちになります。

特に肉を食べる習慣がない高齢者の場合、
食べているつもりでも、たんぱく質が不足し、
隠れ栄養失調になって、身体が弱まっていきます。

肉にはたんぱく質以外にも
身体を作る材料となる”必須アミノ酸”が
バランスよく含まれていますので、
積極的にとっていきたいところです。

以上を踏まえますと、60歳以上の食事としては、
魚ばかりではなく、肉も含めたバランスのとれた食事を
意識することが大切になります。

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【文献】
Yu Taniguchi, et al.
“Nutritional Biomarkers and Subsequent Cognitive Decline Among Community-Dwelling Older Japanese”
A Prospective Study. The Journals of Gerontology Medical Science (2014)