社会とのつながりが認知症予防につながる


「がんになっても認知症にはかかりたくない」

・・そのような切実な思いを
口に出される方は少なくありません。

「認知症=人生の終わり」という
誤解と偏見から生じているところもありますが、
認知症にかからないに越したことはありません。

ちなみに、認知症だから人生が終わるのではなく、
そこであきらめるから終わることには注意が必要です。

その意味では、
認知症に対する正しい理解が求められますが、
認知症予防についても同じです。

そして、日常生活における小さな習慣が
認知症の予防や発症遅延につながることは
是非とも知っておいてほしいと思います。

ここにスウェーデンのストックホルムに在住する
1,203人を平均3年間追跡した調査研究があります。

下記の項目にいくつ該当するかで対象を4段階にわけ、
社会的ネットワークが認知症の発症にどのような影響を
及ぼしているのか、その関係性を調べました。

<社会的ネットワークの状況>
1)結婚して同居している
2)子どもと日常的に接触している
3)親族または友人と日常的に接触している

認知症の発症リスクについて、
3つとも満たす人と比べた場合、
2つを満たす人で2.61倍
1つを満たす人で3.65倍
いずれも満たさない人で8.25倍
という結果であることがわかりました。

家に閉じこもりがちで、社会から孤立した状況は
認知症を招きやすいことになります。

逆に、家族や友人との人付き合いが多い人は、
外出する機会が増え、身体を動かすことが多くなります。

また、人と会って会話をすることは、
それだけでも頭を使うことになりますし、
周囲の人に気を配る、身なりを整えることも
脳の活性化につながります。

嫌なことがあっても、誰かに話してスッキリした!
という経験は、多くの人がもっているものです。

ストレスは脳や身体にダメージをもたらしますが、
会話はストレス解消のきっかけにもなります。

社会とのつながりをひとつずつ見ていけば、
それは小さな変化をもたらすだけかもしれませんが、
積み重なることで認知症予防にもつながるのです。

また、新しいことに主体的に取り組むとき、
脳はフル回転することになります。

そのため、やったことがない人ほど
地域の趣味活動やボランティアなどに
取り組むようにするとよいでしょう。

認知症予防の効果が期待できるばかりか、
新たな出会いが刺激となり、人生にさらなる彩りをそえてくれます。

ここで、要介護の認定を受けている
ある高齢男性の事例をご紹介したいと思います。

絵本の読み聞かせボランティアへの参加をきっかけに、
積極的に活動にかかわるようになりました。

要介護の認定を受けているとは思えないほど、
幼稚園や小学校などで子どもたちを相手に
楽しく絵本を読み聞かせておられます。

「生きがいができた」と話されるその方は
今でも認知症とは無縁な日々を過ごしておられます。

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【文献】
Fratiglioni L, et al.
“Influence of social network on occurrence of dementia:
a community-based longitudinal study”
Lancet ; 355 :1315-1319 (2000)