江東区社会福祉協議会様での講演会において、認知症予防講演を実施


2018年9月21日(金)に、高齢者総合福祉センター(東京都江東区)にて、江東区社会福祉協議会様からのご依頼で認知症予防講演を実施しました。

東京都健康長寿医療センターの小川将先生が講師として登壇され、「今日からはじめる認知症予防」という題目で120分にわたり、認知症の予防と将来の発症に備えて心がけたいことについてお話いただきました。

区内でボランティア活動をされている約40名がご参加され、参加された皆さまからは大変な好評をいただきました。

小川先生は講演の中で、

「認知症と予防法について正しく理解し、自分にあった認知症予防を実践すること」

「日常的なストレスは認知機能の低下を招くが、人とのつながりがストレスの受け止め方を良くし、予防につながる」

など、認知症予防や将来の認知症に備えたときのお話をされました。

認知症は、脳の老化が影響しているため、誰もがいつかはかかる可能性がある病気です。

健康なうちから予防活動に努めることで、認知症の発症時期を遅らせることが可能性が高まります。

また、早い段階から将来の認知症発症に備えた準備をすることで、選べる選択の幅が広がります。

特に将来の認知症発症に備えて重要となるのは、人とのつながりです。

人とのつながりがある人は、認知症発症後でも、周囲から手助けを受けながら、発症前と変わらない生活を送るくことができます。

今回の認知症予防講演をきっかけに、地域活動と密着した認知症予防が実施されるのを期待しています。

当法人がまず目指しているのが、認知症に対してどのようにしていけばいいの?と不安を抱えている方々に、正しい認知症とその予防の知識を提供することで、まずは安心していただくことです。

認知症を100%避けることは、現代の医学では不可能で、全員が認知症を発症するリスクがあります。

ですが、適切な活動を行うことで、認知症の発症を遅延させることは十分に可能です。

もし、高齢者の認知症発症を5年遅らせることができれば、認知症発症者は当初の予想よりも半減(約350万人減)するという試算もあります。

認知症に対する不安を解消し、人生の質を高めるために、認知症の正しい理解と予防方法を、当法人は広げていきたいと願っています。

今回の機会を与えてくださった、江東区社会福祉協議会の関係者の皆さまに感謝申し上げます。

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一般社団法人元気人では、認知症予防講演会における講師の出張派遣を行っております。

認知症予防研究の専門家や講演歴豊富な認知症予防活動支援士などが、「物忘れと認知症との違いは?」「認知症予防のメカニズム」「認知症になっても、人生の質をさらに上げるには?」などを、最新の研究事例を踏まえながら、わかりやすくお伝えします。

認知症予防の講演会を実施するにあたり、講師をお探しの方は、認知症予防 出張講演のページまでどうぞ。


「日本人よ、立ち上がれ」座りすぎが脳に悪影響をもたらすかも!?


今世界では「座りすぎ」が
健康に及ぼす悪影響に注目が集まっています。

例えば、オーストラリアでは、官民一体となって、
座りすぎに警鐘を鳴らすキャンペーンを展開し、
職場では1日2時間以上立って過ごすよう勧めています。

座りすぎは心臓病やがん、早死などの
さまざまな健康問題と関連があることが、
数多くの研究から明らかになっています。

そして、座りすぎは脳に悪影響を及ぼす可能性がある
とする研究結果も発表されています。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームが、
正常な認知機能の45〜75歳までの男女を対象に、
座位時間と運動が脳にもたらす影響を調べました。

分析結果から、座っている時間が長い人は
脳の内側側頭葉の厚さが薄い傾向にあることがわかったのです。

内側側頭葉には記憶を司る海馬があり、この部位が薄くなると、
もの忘れや認知機能障害といった症状が現れるようになります。

つまり、内側側頭葉の部位の厚さを見ることで、
認知症の発症リスクをみることができるのです。

座りすぎると脳に悪影響がある可能性がわかったわけですが、
この研究からはもう一つ衝撃的なことも判明しました。

内側側頭葉の厚さと運動の強度との間には
相関関係がなかったというのです。

研究者たちはこの結果を、
座りすぎによって脳が受けてしまったダメージは
運動しても帳消しできないかもと考えています。

なお、別の調査研究では、
有酸素運動で海馬が大きくなる
という報告があります。

今回の研究では
「運動は座りすぎの影響を相殺する効果がない可能性」
が示された点には興味深いものがあります。

今後のさらなる調査研究が
メカニズムを含めて詳しいことを
明らかにしてくれることでしょう。

以上、今回の研究結果を踏まえると、
週末はしっかりと運動している人も
まったく運動している暇がない人も
日中の座りすぎには注意したほうがよさそうです。

特に働きすぎの傾向がある日本人では、
平日に座っている時間は世界一長いといわれています。

世界20カ国の平均が約5時間に比べて、日本人は約7時間です。
(Bauman A, et al. Am J Prev Med. 2011)

仕事でずっと座りっぱなしのお父さんは、
どれだけ運動する時間を増やそうかよりも
まずは座る時間を減らすことから考えたほうが
いいかもしれません。

具体的に何時間から座りすぎになって
健康被害のリスクがどの程度高まるのかについては
まだ研究段階のようです。

座りすぎを予防する目安としては、
30分〜1時間に1回は立って動くことを
推奨する研究者がいます。

立つ時間になったら、飲み物を取りに行ったり、
同僚との雑談をはさんだり、トイレに行ったりなど、
用事を作って立つようにするとよいでしょう。

スマホの時計アプリなどを使うと、
一定時間ごとにアラームを鳴らせますので、

座りすぎの防止に役立ちます。

ちなみに、喫煙所に行ってたばこ休憩をするでは
あまり意味がありませんので、その点は注意が必要かと思います。

また、なかなか立ち上がれないときは、

座ったままできる
・かかとの上げ下げ
・つま先の上げ下げ
・膝のばし
などの脚の運動を心がけるとよいでしょう。

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【文献】
Sidarth P, et al.
“Sedentary behavior associated with reduced medial temporal lobe thickness in middle-aged and older adults”
PLoS One. April 12 (2018)


ダイエット飲料がもたらす認知症への影響


最近の健康志向から「ダイエット飲料」が
多く販売されています。

ダイエット飲料とは
砂糖の代わりに人工甘味料を使用して
甘みがあってもカロリーがとても低いことが
特徴の清涼飲料水です。

ちょっと気分転換したいときなどに
飲んでいる人もいることでしょう。

ただ、認知症予防の観点からすると、
ダイエット飲料は飲み過ぎないほうがよさそうです。

米ボストン大などの研究チームは、
砂糖と人工甘味料がそれぞれ入った飲料が
健康にどのような影響を及ぼすのかを調べました。

研究対象は米マサチューセッツ州フラミンガムの住民で、
その対象者数は、脳卒中では45歳以上の男女2,888人、
認知症では60歳以上の1,484人でした。

食生活などを質問し、その後10年間にわたって、
どのような人が脳卒中や認知症を発症したのかを調べたのです。

年齢や性別、遺伝などの影響を差し引いて、
ダイエット飲料を1日1回以上飲んでいた人と
全く飲まない人とを比較しました。

すると、前者は後者よりも脳卒中や認知症のリスクが
3倍近く高いことがわかったのです。

ダイエット飲料を日常的に飲んでいる人は
将来認知症になる可能性が高いといえます。

ただ、今回の研究だけからは
ダイエット飲料と発症リスクとの関係が
因果関係なのか相関関係なのかまではわかりません。

つまり、ダイエット飲料を飲むことで
発症リスクが高まるのか(因果関係)

発症しやすい要因(生活習慣など)をかかえている人が
ダイエット飲料を好んで飲んでいただけなのか(相関関係)

まではわからないということです。

とはいえ、この調査研究を踏まえて、
ダイエット飲料との今後の付き合い方は
考えていく必要があります。

ダイエット飲料でなければ、
喉の渇きを満たせないわけではなく、
ほかにも飲み物はたくさんあります。

緑茶やコーヒーのように予防効果が期待できると
指摘されているものもあります。

ダイエット飲料はできるだけ制限して、
水やお茶、コーヒーなどを飲むほうが
認知症予防の観点からは勧められます。

ちなみに、米ボストン大などの研究では、
砂糖入り飲料を飲んでいる場合とそうでもない場合を比較したとこ
目立った影響は見られなかったとしています。

ただ、砂糖の取りすぎは、
肥満や糖尿病などの生活習慣病を招きますが、
これらは認知症の発症リスクを高める危険因子です。

ダイエット飲料から砂糖入り飲料への切り替えも
控えたほうが無難かと思います。

これから暑くなる季節ですが、
夏の甘い誘惑には注意したいところです。

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【文献】
Matthew P. Pase, et al.
“Sugar- and Artificially Sweetened Beverages and the Risks of Incident Stroke and Dementia”
Stroke April (2017)


寝不足でも寝過ぎても高まる認知症リスク


福島の民謡「会津磐梯山」に

♪小原庄助さん なんで身上つぶした
 朝寝 朝酒 朝湯が大好きで
 それで身上つぶした♪

という歌詞があります。

民謡独特のメロディーにのせて
日頃の生活スタイルが身の上にどれほど大きな影響を
与えるのかを教えてくれています。

こと認知症の発症リスクについても、
日頃の生活スタイルからの影響は避けられないようです。

といいますのも、
2018年6月に発表された研究成果から、
認知症リスクの高い睡眠習慣がわかりました。

日本人高齢者において

「睡眠時間5時間未満もしくは10時間以上」
「睡眠薬の使用」

が認知症リスクを高める危険因子であることが
わかったのです。

調査研究は、福岡県久山町に住む60歳以上の方を
対象に実施されました。

ちなみに久山町は、日本の全国平均と
ほぼ同じ年齢・職業分布をしています。

久山町の傾向から日本全体の傾向を知ることができるため、
多くの研究者が久山町での研究に注目しています。

また、九州大学などの研究機関とも距離が近いため、
複数分野からさまざまな研究者が集まりやすく、
多岐にわたるテーマで研究が行われているのも特徴です。

さて、今回発表された久山町での調査研究では、
対象者を1日の睡眠時間(自己申告制)で分類し、
1日の睡眠時間と認知症リスクとの関連を調べました。

1日の睡眠時間の分類は

・5時間未満
・5〜7時間未満
・7時間〜8時間未満
・8時間〜10時間未満
・10時間以上

でしたが、5〜7時間未満の人たちに比べ、
5時間未満の人は約2.6倍、10時間以上の人は約2.2倍
認知症リスクが高いことがわかったのです。

また、睡眠薬を使用していた人と
睡眠薬未使用&睡眠時間5〜7時間未満の人を比べたところ、
前者の認知症リスクは約1.6倍でした。

睡眠習慣レベルでの研究のため、
脳の中でどのようなことが起きているのか、
そのメカニズムまでは明らかにしていません。

子どもの成長と睡眠には密接なかかわりがありますが、
高齢になっても睡眠はおろそかにはできない
・・ということなんでしょう。

睡眠不足も寝過ぎも避けるには、
起床から就寝まで一日のスケジュールを

先に決めておくとよいでしょう。

逆に一日のスケジュールが決まっていないと
状況や気分次第で時間の使い方が乱れがちになります。

まずは睡眠時間を天引きして、
そこから一日のスケジュールを立てるのを

心がけるようにしましょう。

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【文献】
Tomoyuki Ohara, et al.
“Association Between Daily Sleep Duration and Risk of Dementia and Mortality in a Japanese Community”
Journal of the American Geriatrics Society. Jun 06 (2018)


【講習報告】認知症予防活動支援士・2級講習会


先日2018年3月17日(土)に都内にて「認知症予防活動支援士・2級講習会」を開催しました。

今回の講習会は、「水中運動療法」を中心に利用者の自立支援を目的としたデイサービスを展開されている、アクアメイト様(稲城・所沢)からの要請を受けて開催したものになります。

アクアメイト様の施設内には全国でも珍しく温水プールがあり、身体への負担が少ない高齢者に適した運動療法が行われているのが特徴です。

運動療法で使われているプログラムは、アクアメイト様にて独自に開発されたもので、利用者からは高い評価を集めています。

講習会では、高齢者を対象に水中運動を指導される職員(インストラクター)の方が認知症と予防への理解を深めて、さらなるサービスの質の向上につなげることを目的にしていました

講習会の開催にあたり、事前にアクアメイト様から詳しくお話を伺っており、施設の実情に合わせて、講習の内容をカスタマイズしたうえで実施しています。

今回の講習会は2部構成となっており、1部では東京都健康長寿医療センターの鈴木宏幸先生を講師にお招きし、認知症とその予防について、認知症予防活動支援士の2級公式テキストを使いながら、学びを深めました。

2部では、トランプ米大統領の認知機能検査でも使用された「MoCA-J」について、実施する者に必要な心構えと実践的ノウハウを学ぶ研修が行われました。

当日ご参加いただいた方からは次のようなお声をいただいております。

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たくさんの学びがありました。
高齢者に新しいことを伝えるのは、時間も労力もかかるが、それを行うことが認知症予防につながることがわかり、よかった。

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少ない人数で講義を聴くことができ、わかりやすかった。
鈴木先生の説明は、とても理解できたように思いました。

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情報社会に生きる今、情報の正しい判断が必要です。
情報を判断するうえで、「エビデンスがあるか」これがとても重要とわかりました。
間違っている情報を発信しないことは、インストラクターとしてとても重要だと思いました。

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大変ていねいでわかりやすい講習でした。
実際に取り組みながら、学びを深めていけたらと思います。

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日々研究が進む中、認知症予防の最新の話が聞けてよかったです。

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ていねいでわかりやすい講義だった。
もっと学びたいという意欲が出たと同時に、利用者のためにチームとして
今後何ができるか、何からはじめようか、皆で考えていきたいと思った。

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長いようであっという間の講習会でした。
話も聞きやすく、例を出しての説明など、理解しやすかったです。
認知症予防についてさまざま点から勉強ができました。

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ご参加いただきました皆さまに改めて感謝申し上げます。

一般社団法人元気人は、地域の認知症発症を予防し、誰もが笑顔で元気に暮らせる社会を実現したいと考えています。

そのためには認知症予防に携わる人材育成が不可欠と考えており、認知症予防のプロフェッショナルである「認知症予防活動支援士」という認定制度を設立しました。

また、「認知症予防を担う人材を育成したい」などといった法人様のご要望に応えられるように、法人向けの講習・研修も実施しております。

法人向け講習・研修では、ご要望をヒアリングさせていただいたうえで、最適な講師と研修プログラムをご提案します。

認知症予防の人材育成をされたい法人様は、こちらからお問い合わせください。


認知症につながる悪い習慣とサヨナラする方法


厚生労働省の推計によりますと、今では
認知症はその予備群(軽度認知障害:MCI)も含め、
日本の高齢者の約4人に1人になっています。

その数は増え続けており、増加の一途に打つ手なし
・・かというと、そうでもありません。

認知症は新たな生活習慣病ともいわれているように、
生活習慣を見直すことで、認知症の予防や発症遅延ができると
期待されています。

認知症の原因疾患で一番多いのはアルツハイマー病で、
その次に多いのが脳血管障害となっており、
この2つで認知症の原因の約7割をしめています。

認知症の全容はまだ解明されていないのですが、
アルツハイマー病と脳血管障害の発症リスクを高める
危険因子については以下のものが指摘されています。

<アルツハイマー病の危険因子>
・加齢
・歯の喪失
・運動不足
・食生活
・高血圧
・糖尿病
・遺伝要素 / 家族歴
・頭部外傷
・低頻度の知的活動
・低頻度の対人接触
 など

<脳血管障害の危険因子>
・加齢
・高血圧
・脂質異常症
・肥満
・糖尿病
・食生活
・運動不足
・飲酒
・喫煙
 など

加齢や遺伝など一部のものについては、
自分ではコントロールできませんが、
ほかの多くは自分でコントロールできます。

そして、自分のコントロール下にある危険因子でも、
頭部外傷を除くほとんどのものが日常生活での
「悪い習慣」の積み重ねによってもたらされます。

例えば、ついついしてしまう習慣のひとつに
お菓子の間食があります。

これが一日に何回も、そして、長年にわたり続きますと、
肥満や糖尿病、高血圧などの病気を招きやすく、
ゆくゆくは認知症の発症リスクが上昇することになります。

とはいえ、間食のとりすぎはいけないと思っていても、
多くの人は食べてしまっているものです。
(ご安心ください、わたしもです ^_^)

そこで、認知症予防を考える際には、
認知症の発症リスクを高める悪い習慣が「何か」を知ると同時に、
それとサヨナラする「方法」も知っておく必要があります。

悪い習慣とサヨナラしたいときは、
米国の精神科医ジャドソン・ブルワー氏が提唱する
「悪い習慣を断ち切るシンプルな方法」がその手助けになります。

同氏は、最近の研究を踏まえて、

「癖や習慣は人に備わった学習プロセスの一環」

と語ります。

人が生き残るために、特定の行動は強化されるように
脳には報酬に基づいて学習する機能が備わっています。

例えば、食べものは人が生きていくのに不可欠なものです。

そこで、おいしそうな食べものを見かけたとき、
脳は喜び、それを食べたときにはおいしさに満足し、
ときには幸せな気分を感じます。

そして、脳は、生存確率を高めるために、
次のようなプロセスを繰り返すことを学習します。

食べものを見る ⇒ 食べる ⇒ 満足する ⇒ 繰り返す
(きっかけ ⇒ 行動 ⇒ 報酬 ⇒ 繰り返し)

この学習プロセスがあるからこそ、
人類はここまで生き延びてきたわけですが、
逆に満足や幸せな気分が失われたときにも、
脳は(生き延びるために)この学習プロセスを発動させます。

すなわち、何か嫌な出来事に遭遇して、ストレスを感じたとき、
再び幸せな気分を取り戻すべく、脳は「食べる」を選ぶのです。

学習プロセスにあてはめると、次のようになります。

ストレス ⇒ 食べる ⇒ 満足する ⇒ 繰り返す
(きっかけ ⇒ 行動 ⇒ 報酬 ⇒ 繰り返し)

このプロセスが何回も繰り返されることで、
行動が強化され、習慣となってしまうのです。

失恋や仕事の失敗などでやけ食いをしてしまうのは、
生き残るために脳が採用している学習プロセスが
そうなっているからです。

ただ、お腹が空いていないのに、
ストレスを紛らわそうとついつい食べてしまうと、
カロリーオーバーになり、肥満や糖尿病などの生活習慣病、
しいては認知症を招くことになります。

ここからは、ついつい間食してしまうような
悪い習慣から抜け出す方法が必要になってきます。

ジャドソン・ブルワー氏は、
悪い習慣で形成されたこの学習プロセスから抜け出すには、

「悪習にとらわれた結果を客観的に見据える」

ことが大切としています。

具体的には、衝動的に何かをしたくなったときに、
素直に!?その衝動に身をまかせるのではなく、
自分の中で起こっている変化を客観的に注意深く観察します。

そして、まるで他人事のように、

「ああ、自分はあの人の発言にイライラして、
 お菓子を無性に食べたくなっているのだなあ」

と、脳の学習プロセスが作り出した習慣に従って
自分が行動していることを自覚します。

これを何回も繰り返すことで、
100年の恋から冷めた乙女のように

「どうしてこんなことが好きだったのだろう?」

と、自分のしていた行為に幻滅することになります。

すると、報酬に基づく学習プロセスにおける

「きっかけ(ストレス) ⇒ 行動(食べる)」

が起動しなくなるため、悪い習慣から自然に離れられるというのです。

ジャドソン・ブルワー氏は、

「衝動的に何かをしたくなったときには、その衝動に気づき、
 それに関心をもち、手放す喜びを感じる、これを繰り返す」

が悪い習慣を断ち切るシンプルな方法だといいます。

また、この方法は暴飲暴食や喫煙だけでなく、
ついついしてしまうスマホチェックでも効果的です。

この方法をさらに詳しく知りたい方は、
同氏がTEDでプレゼンした動画が公開されていますので、
ご覧になるとよいでしょう。

TED Talk | 悪い習慣を断ち切るシンプルな方法
 ※プレゼンは英語ですが、日本語字幕があります


認知症予防は引き算から考える


厚生労働省の推計によりますと、
認知症はその予備群(軽度認知障害:MCI)も含め、
日本の高齢者の約4人に1人にまでなっています。

残念ながら、認知症の根治的な治療法はまだ確立されていません。

しかし、多くの病気と同じように、
認知症も予防や発症遅延できる可能性があることが
さまざまな研究からわかってきました。

認知症の原因疾患で一番多いのはアルツハイマー病で、
次に多いのが脳血管障害となっています。

この2つが認知症の原因の約7割をしめていますので、
認知症予防はこれらの原因疾患の回避からスタートします。

認知症の全容まではまだ解明されていないのですが、
アルツハイマー病と脳血管障害の危険因子について
以下にそれぞれまとめています。

<アルツハイマー病の危険因子>
・加齢
・歯の喪失
・運動不足
・食生活
・高血圧
・糖尿病
・遺伝要素 / 家族歴
・頭部外傷
・低頻度の知的活動
・低頻度の対人接触
 など

<脳血管障害の危険因子>
・加齢
・高血圧
・脂質異常症
・肥満
・糖尿病
・食生活
・運動不足
・飲酒
・喫煙
 など

加齢や遺伝など一部のものについては、
自分ではコントロールできませんが、
ほかの多くは自分でコントロールできます。

そして、認知症予防では、
これらの危険因子を日常生活の中からどれだけ取り除くのか、
すなわち、悪い習慣をやめていく「引き算」から考えたいところです。

悪い習慣は、中長期的に
・健康が保てない
・時間を浪費する
・生活リズムが崩れる
・幸福度が下がる
などのデメリットをもたらすからです。

認知症予防につながるよい習慣を身につけようとしても、
この状態に陥ってしまうと、意欲も体力も少なくなっていますので、
習慣化どころか実践すらなかなか難しいものです。

机の上が散らかっている場合、
まずは不要なものを捨てて身軽になった後で、
必要なものを整理整頓するのが片付け上手のコツです。

認知症予防でも同じ考え方ができ、
まずは引き算思考で、悪い習慣をやめていきます。

そうしますと、意欲や体力、時間やお金に余裕が生まれますので、
その分を良い習慣の形成にあてることができます。

認知症の危険因子を減らしながらも、抑制因子を増やすという
効率のよい認知症予防が実現しやすくなります。

認知症予防を考えるうえでは、
認知症の発症リスクを高める悪い習慣をやめることから
はじめたいところです。


認知症予備群(MCI)ための認知症予防:交流編


記憶力や注意力といった脳の認知機能が正常より低下しており、
正常ではないが、かといって認知症のレベルには至っていない、
正常と認知症との中間状態を「軽度認知障害(MCI)」といいます。

MCIには認知症予備群との異名がありますが、
そのわけはMCIの段階での認知症発症率の高さです。

MCIの人は、1年以内に12%、5年以内に半数近くが
認知症を発症するという研究結果があります。

逆に、MCIの段階で対策を講じたことで、
認知機能が低下から回復したり、認知症発症を遅らせたりが
できたという事例も報告されています。

認知症においては、MCIは徳俵に足がかかった状態といえ、
この時期にどう取り組むかで、未来が大きく変わることになります。

そこで、今回は認知症予備群(MCI)の人が
心がけたい「交流」についてみていきたいと思います。

もし、MCIになったことを気にして、引きこもりがちになりますと、
不活性な状態がMCIをさらに進行させることになります。

人と話すこと自体が脳への刺激になりますので、
人との交流を少しでも増やすことを心がけます。

中年期になじみの関係を構築できていれば、
集いにはなるべく顔を出して、楽しく過ごすようにします。

なじみの人との会話が脳によい刺激となるほか、
外出機会があることで、身体活動量の低下を防げます。

また、お買い物の際、機械的に作業が進む大型スーパーよりも、
地元の人が店頭で品物を売る商店街を利用するのもひとつの手です。

例えば、一週間に三回も同じ店に顔を出せば、
お店の人とはイヤでも!?顔なじみになりますし、
買い物ついでに行うお店の人との世間話も自ずとはずみます。

ただ、本人がMCIになったことを知人に知られたくない場合は、
認知症に理解がある認知症カフェなどを利用するとよいでしょう。

なお、人とのつながりが希薄な時代ですから、待っていても、
向こうから話しかけてくれることはほとんど期待できません、

人との交流を増やすには、自ら話しかけていく積極性が必要ですし、
そうした積極性がMCIから正常への道をひらくと思うのです。

あと、子どもが親に適度な心配をかけることで
親が元気を取り戻したというケースもあります。

子どもから悩み事の相談をされたことで、
「おっと、こうしちゃいられない」と意欲が向上し、
子どものために活動しているうちに元気を取り戻すのです。

国民的漫画の『サザエさん』にも似たシーンがありましたので、
家族としてはこうしたテクニックも覚えておくといいかもしれません。

以上、まとめますと、
認知症予備群(MCI)の人が心がけたい交流としては、
人との交流を少しでも増やすことです。

また、家族としては、あえて悩み事の相談を持ち込んで、
本人に活動するきっかけを与えるのもひとつの手でしょう。


認知症予備群(MCI)ための認知症予防:生活編


記憶力や注意力といった脳の認知機能が正常より低下しており、
正常ではないが、かといって認知症のレベルには至っていない、
正常と認知症との中間状態を「軽度認知障害(MCI)」といいます。

MCIには認知症予備群との異名がありますが、
そのわけはMCIの段階での認知症発症率の高さです。

MCIの人は、1年以内に12%、5年以内に半数近くが
認知症を発症するという研究結果があります。

逆に、MCIの段階で対策を講じたことで、
認知機能が低下から回復したり、認知症発症を遅らせたりが
できたという事例も報告されています。

認知症においては、MCIは徳俵に足がかかった状態といえ、
この時期にどう取り組むかで、未来が大きく変わることになります。

そこで、今回は認知症予備群(MCI)の人が
心がけたい「生活」についてみていきたいと思います。

MCIの人が日常生活を送る際、
脱水と便秘を防ぐことを心がけるとよいでしょう。

まず、脱水状態が続きますと、
認知症の引き金になることがあります。

人の体のほとんどは水でできていますが、
水の構成比は年齢とともに変化していきます。

子どもの頃は約70%を水が占めるも、
成人では約60~65%、高齢者で50~55%
ほどになるといいます。

これは年齢とともに筋肉が減って、
脂肪が増えていくことと関係があります。

筋肉の細胞は水分を貯めておけるのですが、
逆に脂肪の細胞は水分を貯めにくい性質があります。

特に高齢者は、加齢とともに
筋肉が減り、脂肪が増える傾向がありますので、
体の中に水を貯め込む力が弱くなっています。

さらに高齢者は感覚機能の衰えにより、
のどの渇きも感じにくくなっているため、
高齢者の脱水症状に注意が必要となります。

脱水症状になると、だるくなったり、ぼーっとしてしまったりなど、
一見すると認知症の症状と見まがう様子を呈します。

また、慢性的な脱水症状では、血液がドロドロになるため、
脳梗塞や心筋梗塞の引き金になることもあります。

季節の変わり目などは、脱水リスクが高まる時期です。

トイレが近くなるのを嫌がって、水分補給を控えるのではなく、
適切に水分を補給することが大切になります。

ちなみに、人が一日に摂取すべき水の量は、
食事から1日800ml、飲み物から1000~1500ml
といわれています。

なお、脱水の状態に陥っているときは、
その人の手の甲の皮膚をつまむと、
つまんだ形がそのまま残るようになります。
(ハンカチーフサインといいます)

こうしたサインを見逃すことなく、
早め早めの水分補給を心がけたいところです。

そして、便秘も認知症の症状を悪化させる
原因のひとつといわれています。

認知症ではない健常者でも便秘が続けば、
お腹の張りやイライラなど、心身に不調を覚えるものです。

認知症の症状がみられる人の便秘が解消されたら、
夜間徘徊やせん妄が収まったというケースがあります。

便秘の予防には、ゴボウや大根など、
食物繊維の豊富な食材をとるようにします。

ただ、便秘の人が便秘の改善のために食物繊維をとると
逆効果の場合もあるため注意が必要になります。

便秘のときは、うどんやお粥など消化吸収のよい
炭水化物をとるように心がけるとよいでしょう。

以上、まとめますと、
認知症予備群(MCI)の人が心がけたい生活内容としては、
脱水と便秘を防ぐために、こまめな水分補給と
食物繊維の豊富な食材をとることを心がけたいところです。


認知症予備群(MCI)ための認知症予防:運動編


記憶力や注意力といった脳の認知機能が正常より低下しており、
正常ではないが、かといって認知症のレベルには至っていない、
正常と認知症との中間状態を「軽度認知障害(MCI)」といいます。

MCIには認知症予備群との異名がありますが、
そのわけはMCIの段階での認知症発症率の高さです。

MCIの人は、1年以内に12%、5年以内に半数近くが
認知症を発症するという研究結果があります。

逆に、MCIの段階で対策を講じたことで、
認知機能が低下から回復したり、認知症発症を遅らせたりが
できたという事例も報告されています。

認知症においては、MCIは徳俵に足がかかった状態といえ、
この時期にどう取り組むかで、未来が大きく変わることになります。

そこで、今回は認知症予備群(MCI)の人が
心がけたい「運動」についてみていきたいと思います。

MCIから正常への移行には、普段以上に
予防活動に積極的に取り組むことが大切になってきます。

ただ、MCIの人の場合、有酸素運動だけでは
もの足りないことが指摘されています。

そこで、頭を使いながら運動する

「デュアルタスクトレーニング」

を取り入れるとよいでしょう。

 ※デュアルタスク=2つのことを同時に行うこと

デュアルタスクトレーニングは、シンプルな運動のため、
正常な人はもちろんのこと、MCIの人でも無理なく取り組めます。

また、適度な負荷が脳にかかるため、
認知機能を鍛える予防効果も期待できます。

そして、デュアルタスクトレーニングを提唱する
国立長寿医療研究センターでは、認知症予防における
その効果を実証しています。

同センターが開発したデュアルタスクトレーニングは、
「認知症予防運動プログラム」として、NHKをはじめとする
多くのメディアに取り上げられています。

参考映像:NHK認知症キャンペーン 認知症予防運動プログラム(1)
https://youtu.be/vC7e5uG-JWM

「認知症にはなりたくない」「親の認知症が心配だ」という方には、
是非とも知って身につけておきたい予防法のひとつです。

また、歩くだけでも脳の刺激になりますので、
普段から歩くことも心がけます。

ここでも単に歩くだけでなく、さらに脳の刺激を増やすべく、
一工夫入れたいところです。

例えば、散歩をするときにも
曜日ごとにルートを変えたり、逆回りしたりして
毎回変化をつけるようにするとよいでしょう。

以上、まとめますと、
認知症予備群(MCI)の人が心がけたい運動内容としては、
運動に取り組むことはもちろんのこと、そこに頭を使うトレーニングも
同時に行うようにしたいところです。